水いらず (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102120019

感想・レビュー・書評

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  • 初サルトル。
    剥き出しな印象。
    「私の盲腸を瓶にいれてこの人に見せたら、まるで見当もつかないだろう。‥してみると、ひとでなんかは人間よりもっと愛し合っているにちがいない」
    ボヌール、ボヌール。

  • あちこちに三島由紀夫が見えてきた。三島に与えた影響の大きさを感じた。

  • また読みたくなりそうだ。

  • 難しい。けど読み始めると勢いづく。

  • サルトルといえば実存主義哲学だけど、そういうのぜんぜん知らなくてもいけます。本の裏には脅し文句みたいに「実存主義」という言葉が並んでいますが、必ずしもそういう思想と照らし合わせる必要はないと思うし、肩ひじの張るものでもないです。まあ存在と無は今度時間があったら読むとして…
    この中にある「部屋」を読んで、セカイ系は危ないなとなぜか思いました。

  • 抽象画を観てるみたいに、感覚的にわかる話が多いのが印象的。
    さすが哲学者。
    感覚を刺激されます。

  • しっかり読みこんだのは「水いらず」だけ。
    あとは事情で駆け足。
    再読必須の予定。

    話の面白さとか、そういうものではない。
    難解な言葉は特に無く、ただよくある男女のもめ事が
    一人称と三人称を混合した視点で描かれているだけ。
    だがそれは文章以外に、決して表現できない世界だった。

    その表現の奥深くに存在する様々な人間の確かさ。
    確かでありながら、多くの不可思議と矛盾。
    それらのぐちゃぐちゃと混乱した存在を否定することは
    生きて存在している私たちには不可能だ。
    これはもう、丸ごとの人間そのもの。つまり実存。
    そして物語の結末では「人間は自由という刑に処せられている」という
    有名なサルトルの思想を彷彿とさせられた。

    サルトルの描いた小さな世界のなかに、
    ぎゅうっと詰め込まれたサルトルの哲学、思想、叫び、苦しみ、諦観・・・

    それは文にのみ許される言葉による芸術だ。

    ・・・ということで「水いらず」の感想でした。

  • サルトルの短編集。

    一作品ごとの完成度は期待以上のものではなかったけれど、作品全体を通しての人間存在の追求は、やはり考えさせられるものがあります。
    「存在する」という不完全さから目を背けることができない作家だと感じました。

    彼の長編小説は読んだことがないけれど、読まなければと思わせてくれる一冊でした。

  • (1971.02.14読了)(1971.01.31購入)
    1964年のノーベル文学賞を辞退。
    (「BOOK」データベースより)
    性の問題をはなはだ不気味な粘液的なものとして描いて、実存主義文学の出発点に位する表題作、スペイン内乱を舞台に実存哲学のいわゆる限界状況を捉えた『壁』、実存を真正面から眺めようとしない人々の悲喜劇をテーマにした『部屋』、犯罪による人間的条件の拒否を扱った『エロストラート』、無限の可能性を秘めて生れた人間の宿命を描いた『一指導者の幼年時代』を収録。

  •  実存主義を打ち立てた哲学者が書いただけあって、ここに収録された五篇はどれも、人物の内面描写が中心となっている。とはいえ、あくまでも小説なので描写は観念的になりすぎない。実存的な感覚とはどういったものかをめぐる、肉感的な表現が頻出する。

     なかでも、物の生々しさへの不快感や恐怖感、特に人間の肉体への違和感は全篇に共通して流れている。登場人物たちは、たとえばセックスへの不快感にとらわれ、「なぜ人間には体があるんだろう」と感じるリュリュ(「水いらず」)や、自分の考えや行いとは無関係に存在しつづける自分の体にとまどう思春期のリュシアン(「一指導者の幼年時代」)のように、自分ないし他人の肉体を異物として感じる。
     さらに彼らが異‐物としての身体を抱えている以上、彼らのあいだでいとなまれる性愛が、人格の交流としての「愛」よりも、性器と性器(物と物)の奇妙な接触としての「性」に重きを置いて立ち現れるというのも頷ける。
     また、狂気/正常の襞が重層的に織りなされるにつれ、もはやだれが本当の狂気なのかが分からなくなる「部屋」や、自分で自分を犯罪へと駆り立てていく男を描いた「エロストラート」に見られるように、人間精神の暗黒面を剔抉した場面も多い。
     そして、実存の肉体性や、健康からの逸脱といったこれらの感覚は、後年の『嘔吐』のロカンタンへと結晶していくことになる。

     五篇のうちでは、死を目前にしてみずからの実存の有限性に直面する囚人を描いた「壁」に、死への凝視の真摯さという点で特に好感を持った。「きれいに死にたい」という、その願いさえ叶えられそびれた人間はその後、どのように生き延びていったのだろうか。

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