人間の土地 (新潮文庫)

著者 : サン=テグジュペリ 堀口大学

• 新潮社 (1955年4月12日発売)

感想・レビュー・書評

[bukuroguidkodamaさんの感想 · 2018年12月8日]

大戦間の飛行機乗りという時代を生きた作家の随筆
ロマンというと不明瞭であり詩的は的があやしいし
哲学は宗教と区別がつかないが
飛行機から眼下に眺める景色
砂漠の人々が在る現実を見下ろす固定された視点からの描写が
空を飛んで地に足が付いていないところが価値有る一品

どうでもいいけれど随筆と小説の区別は内容の形式でなく
読みよう次第だと「おすすめタグ」をみて思う

[Yu Kinoさんの感想 · 2018年11月24日]

乗り換えで何となくよった駅中の本屋で何となく書棚から手に取った。久しぶりに良い本に出会った。堀口大學の訳も詩的で読みにくいときもあるけど、やはり美しい。
「今日の世界を把握するのに、ぼくらは昨日の世界のために作られた言葉を用いているわけだ」
「完成は付与すべき何ものもなくなったときではなく、除去すべき何ものもなくなったときに達せられるように思われる。（中略）海がみがきあげた小石と同じほど」

[岡山県高校図書館司書部会さんの感想 · 2024年2月20日]

『星の王子さま』で知られるサン＝テグジュペリの作品です。彼は定期郵便飛行機のパイロットとして世界中を飛びました。サハラ砂漠に墜落して生還した経験をもとに書かれたのが本書です。飛行機と友人（僚友と書かれています）、砂漠の体験などを通して、自分とは何か、自分はいかに生きるべきなのか、自分が生きる責任を問い続けています。冒険譚としても読めるため、バランスが良い作品です。『星の王子さま』は一見読みやすいのですが、読み解くのは難しいと感じます。この作品を読むことで、彼の作品を理解する補助線になるのではないでしょうか。文庫本『夜間飛行』のあとがきで、訳者堀口大学はサン=テグジュペリの言葉として「飛行機は決して目的ではなくて手段だ。自分を創り上げる手段だ。」を紹介しています。
　私自身は、『夜間飛行』の夕暮れ時に家々に明かりがともるのを空から見ている描写が好きです。

[NDC] 953.7
[情報入手先]
[テーマ] ちょっぴり背伸び本

[くうふうさんの感想 · 2023年6月29日]

テーマ的には好きなジャンルなんだけど、なんか一人芝居の台本を読まされている感じに苛まれてしまった。どこまで意訳しているんだろ？詩人じゃない別の訳者さんにすればよかったのかな。それともそもそもこの作家さんがこんな作風？
ーーーーー
“我慢しろ……ぼくらが駆けつけてやる! ……ぼくらのほうから駆けつけてやる! ぼくらこそは救援隊だ! " サハラ砂漠の真っ只中に不時着遭難し、渇きと疲労に打克って、三日後奇蹟的な生還を遂げたサン=テグジュペリの勇気の源泉とは……。職業飛行家としての劇的な体験をふまえながら、人間本然の姿を星々や地球のあいだに探し、現代人に生活と行動の指針を与える世紀の名著。

[naoさんの感想 · 2023年3月23日]

内容を理解するのに難しかったけれど、時々ハッとするような心に染み入る文章に出会う。2回目の方がすんなり入ってくる。もう1回読もう。

[irobanaさんの感想 · 2022年9月10日]

途中おいていかれたけど、自分の中の琴線に触れる箇所がいくつかあった。

[M. Nakamotoさんの感想 · 2022年7月18日]

「夜間飛行」は出来事や人と人のやりとりに重きがあったが、「人間の土地」は一人称、内省的。難しかったです。

[ゆうすけさんの感想 · 2020年8月29日]

独特な和訳が読みにくくもあるが、作品全体の世界観を引き出している。自分を律したい時に何度も読み返す本。

[✳︎さんの感想 · 2020年7月2日]

けっこう昔の本のはずなのに、今読んでも感心してしまうことが多いのがすごい。

[bluesdgshkさんの感想 · 2020年6月4日]

深い。何度も読みたい本。極限状態の中で、人間の本質を考える。

著者プロフィール

アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ。1900年6月29日、フランスのリヨン生まれ。
幼少の頃より飛行士に憧れてその職につく。飛行士と兼業して、飛行士の体験をもとに『南方郵便機』、『夜間飛行』などを発表。
第二次世界大戦中、亡命先のニューヨークにて『星の王子さま』を執筆し、1943年に出版。同年軍に復帰し、翌1944年7月31日地中海コルシカ島から偵察飛行に飛び立ったまま、消息を絶つ。
その行方は永らく不明とされていたが、1998年地中海のマルセイユ沖にあるリュウ島近くの海域でサン＝テグジュペリのブレスレットが発見される。飛行機の残骸も確認されて2003年に引き上げられ、サン＝テグジュペリの搭乗機であると最終確認された。