劇場

  • 新潮社
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (474ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102130223

感想・レビュー・書評

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  • 彼女自身が劇場なのですね。
    人生の全てを演じ続けている。
    でも、誰にでもあるんじゃないかと思います。
    自分自身を演じることが。
    演じている自分を冷静に見つめている自分がいることが。
    そして自分がいま演じているのか、自分自身そのままなのか、一体本当の自分というものがなんなのかわからなくなることが。
    そんな彼女の演技に乗せられながらも、彼女の見えていない彼女を見ている夫マイケルさんと、信奉者リチャードさんのお二人。
    彼らのことも全部分かってるつもりなんですけどね、彼女は。そしてそれは当たっていることもたくさんあるのだけど、でも彼らだから見えているものがある、そんな彼らがそばにいることは彼女にとって大きな財産だったのではないかと思います。
    そして息子。
    これからどう生きていくのでしょうね。
    全てが欺瞞に見えてしまうというのは、とてもつらい。

  • 奥さんが入って行った部屋を覗いたとき、そこに奥さんがいないような気がする。仮面被って生きている人、自分が何だか分からない人にとって、この言葉は重いんだろうなと思った。

  • 2014/11/16(読了)
    モームの作品は初めて
    面白かったので他の作品も色々と読んでみたい。
    恋愛には愛欲と愛情の二つの意味があることを、ジューリアを通して描かれる物語で感じ取れた。演技論も興味深かった。真実は芝居の中にあるというのが印象に残った。ロジャーは演技はみせかけだと言うけどジューリアは芝居の中に真実があるという境地に至る。

  • モー娘。

  • 主人公ジューリアは40代半ば、
    イギリスを代表する美貌の舞台女優

    自分の魅力と機転と演技力で
    大体のことを上手くやっていけると
    自信を持っている。

    窮地に立たされると、
    ハラハラと泣いて見せたり
    (顔を歪ませず!)、
    絶妙に上手いセリフを言ったり、
    (そうしながらも「これはあの舞台のあの場面みたいね…」)

    また、突然のことで感情が動作に現れた時、
    「これは今度舞台でこんなシーンがあったら使おう」と
    考える。

    つまり、生まれついての女優なのだ。

    周りの人の事は大概馬鹿にして見下しているんだけど、
    そんなことは感じさせない。

    舞台を離れても、良き妻、良き母、
    いろんな役柄を上手にこなしていると
    思っていたのだが…

    何と言うか上辺は滞りなく、幸せそうなのだが、
    一たび何かが起こると、
    良いことも悪いことも、
    それを心から分かち合う人がいないことに気付く。

    ああ、こんなこと話せる人がいたらなあと
    ジューリアさんは時々嘆いている。

    あるとき一人息子に説教したら逆捩をくわされて、
    自分の人間性について批判され、
    しばらくそのことばっかり考えるようになり…
    ってところがジューリアさんの人間味がよく
    現れて面白かった。

    ジューリアさんの長年のファンで、
    そのせいもあり離婚した、でもプラトニックな関係の
    男性とのある夜、
    それがジューリアさんの盛大な勘違いが…で大笑い。

    最後のジューリアさん一人ご飯のところで
    ほっとして安心。

    モームさんは劇作家もしていたから、
    舞台の裏事情にもお詳しいのでしょう。

    今途中まで読んでいる本(「サミング・アップ」)には
    誰かへの感情はあっても、
    そのことで自分がゴチャゴチャになったりしない、
    と言うようなことが書いてあったので、
    いろんな人や物事を冷静に観察できるのかな。

    モームさんの小説に出てくる女性は
    リアリティがあって、魅力的な人が多い。

    ところでジューリアの夫マイケル君。
    ほんとにこんなに何も気付かないものかしらん?

  • 8/10 おもしろかったです。昔の本、外国の話でここまで読みやすいものってなかなかない。状況説明じゃなくて心理描写に寄り添って書かれているからかなあ?訳もいい。女優という生態を書ききっている。ラストにかけての女優の自覚が芽生えて行くところは圧巻だった。わざとらしさのかけらもないのにヴィヴィッド。

  • 2010年6月3日(木)、読了。

  • ジュリアが息子と話す場面が圧巻!

    息子が「お母さんの皮をむいてったら、何が残るのか?」と問う場面以降、物語が急展開し、核心をつき始める。
    ただ中盤からこの展開はある程度予想できた。

    人間の皮をむいていくと何があるのか、ジュリアという人間は作り物でできてるんだけど、芸術家、つまり自分自身を芸術作品に還元する演者にとってはそれがむしろ良いことなのかもしれない。芸術は創りものから生まれる。

    恋愛は幻想だということがよくわかった。
    相手が社会的にどんな立場にあっても、なにかぐっとくるものがあればそれはもう絶対的な恋愛感情になってしまう。
    ただそれが絶対でなくなった瞬間に恋愛感情は崩れてしまう。

  • 楽しめる。


    ジュリアはどこまでも自信がある。
    腹が立つくらい。
    でもその自信が時々誰かに覆されたり、
    プライドをズタズタにされたり
    するのだ。
    それなのにどこまでも前向きでおろかなひと。

    不思議なのはおろかなのに嫌いになれない
    この描かれかた。

    お金も美貌も地位も名誉も
    すべて持っている彼女が
    最後にビールをぐびぐび飲む。
    素敵だ。

  • 読みやすい。やっぱイギリス人いぢわる。

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