英国諜報員アシェンデン (新潮文庫)

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制作 : William Somerset Maugham  金原 瑞人 
  • 新潮社 (2017年6月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (445ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102130292

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英国諜報員アシェンデン (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 特にモームファンというわけではないが、新訳が出たことで気になって手に取った。

    タイトルのとおり、「アシェンデン」のコードネームを持つ諜報員がミッションを行う上で遭遇するあれこれ。モームは実際に英国情報部に在籍した時の経験をもとに作成したといわれ、標的に目の前で死なれる、などのエピソードは本当のことだという。それにしても、そんなことまでネタに使っていいのか?MI6は刺客を放ってこないのか?と思わないではないけれど、それは時代のなせるゆるさということでいいのだろう。おそらく、現代の諜報員のみなさまは「墓場まで持っていけ」的な契約を結ばされているだろうから、暴露本的な体裁にならない限り、もうこういう素材は出てこないだろうな、と思う。

    諜報活動は意外と淡々としたものだが、それにまつわる人物の描写などは巧みで、1話1幕のドラマ仕立てできちんと作られていると思う。ヨーロッパ中部の貴族社会、労働者、貴族階級の過ちなど、WW1あたりの英国が好きな人のハートもわしづかみ。個人的には、ミス・キングのくだりは好きだ。謎はなく、単なる郷愁のエピソードだとは思うけど。

    ジェームズ・ボンド的なスーパー諜報員を想像すると、かなり物足りないのかもしれないけど、現実はこんな感じだろうというリアリティと、作劇の上手さが私は非常に好き。阿刀田高さんの解説も、まさにそんな感じ。

    翻訳については、「ハイボール」と日本人に気を使っていただくこともないように思ったので、そこがちょっと気になる。あと、私の手元にあるのは初版だが、文中の仏語表記に1か所誤りがあるのに気づいてしまったので、訂正されたほうがいいんじゃないかしら。

  • 第一次大戦中,モームは実際にイギリスのスパイだった.その時の体験を踏まえて書かれた小説.
    ここに描かれてあることの,どこまでが実話でどこまでが虚構なのかは分からないが,ロシアを舞台に工作をしていたのは事実らしい.恐らく,事実を背景として借りてきて,そこに細やかに描かれた人物を重ね置くことによって,小説として創作されていると思われる.
    もちろんモーム自身が主人公なので,アクションは全く無く,情報を集める,偽情報を与えることが諜報活動であり,モーム的な可笑しいエピソードも挟まれつつも,巻末に近づくにしたがって,徐々にトーンが緊迫してゆく.いや,連作であるのだが,後半にゆくにしたがって短編の緊迫度がましてゆき,最後はロシア革命に巻き込まれた男の悲劇で終わる.

    個人的には,アシェンデンが熱弁する「虚栄心」のエピソード,それからスクランブルエッグのくだりが好きだ.

  • モーム自身が諜報員であった経歴を活かして書かれたフィクション。諜報員アシェンデンの仕事が短編を連ねて描かれる。小粋な会話が多くて、本編も楽しめたけれど、フィクショナルなものについて書かれた前書きが、作家の熱を感じさせるようで良い文章だった。

  • 文章の上手さ(訳の上手さももちろん)が際立つ。
    スパイなのだけど、007のように派手に銃撃戦をしたりするわけではなく、上司の言う通りに地味にあちこちへ。
    けれど淡々と描かれているそこに、関係した人達の生が
    滲み出ている。
    「ジゴロとジゴレット」収録の「サナトリウム」に出ていたのがアシェンデンだったとは!
    読み返してより胸に沁みた。

  • どこをきってもモームはモーム。
    期待したほどハードボイルドでなくて、でもやっぱり安定の面白さだった。
    スパイ的な要素は、政治的事情により書けなかったこともあるのだろうが、
    それよりもモームは人間を描きたかったのかと思う。
    スパイではなくて、根っからの小説家だ。

  • 短編の名手、そして「月と六ペンス」のイメージの強いモームであるが、こんなに娯楽性の高い作品があったとは。

    ゴダード1919三部作も思い出す。

  • サマセット・モームのスパイ小説が新訳で登場。
    岩波文庫版と創元推理文庫版を持っているので、『アシェンデン』に関してはこれで3冊目となる。
    スパイ小説というと手に汗握るアクションや謀略を想像するが、本書に関して言うならば、そういう如何にもといった道具立ては登場しない。寧ろ解説にもあるように、『人間ドラマのおもしろさ』を楽しむ小説だと思う。

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