シャーロック・ホームズの叡智 (新潮文庫)

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制作 : 延原 謙 
  • 新潮社 (1955年9月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102134108

シャーロック・ホームズの叡智 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 「シャーロック・ホームズの叡智」新潮文庫は、 訳者の延原謙氏が、勝手に命名したもので、大人の事情で各文庫版に載せ切れなかった短編作品をまとめて出版したものです。

    ≪技師の親指≫「シャーロック・ホームズの冒険」より

    1889年の夏、ワトスンの結婚後まもなく、また開業することになった頃の話です。

    『私はベーカー街にホームズをおきざりにはしたが、それでもちょいちょい訪ねてはいったし、ときには彼を説きふせてその放縦癖(原文ではBohemian habits)を一時おさめ、私の家を訪ねてくるようにもしたのだった。』

    放縦とは「何の規律もなく勝手にしたいことをすること」ですが、ホームズの身勝手さは、自分の健康を損ねたりすることもあるので、ワトスンとしては、離れて住んでいても心配の種だったのだと思います。

    朝早く、患者でもある依頼人をホームズの所へ連れて行くと、ホームズは『例のもの静かな愛想のよさで私たちを迎え、ベーコンのうす切りと卵とを注文してくれ、いっしょに気持ちよく食事をとった。』のでした。
    さらに、怪我をしている患者に対してソファーや枕や気付け薬や優しい言葉を用意して、話を聞こうとします。

    そういうホームズの気遣いが、他の話や場面でのワトスンへの身勝手ぶりと対比していて面白いです。
    もちろんワトスンをないがしろにしているわけではなく、自分の一部であるかのような扱いとでもいえるような「甘え」があるのだと思います。

    ホームズは、人当たりをよくしたり、女性の心に入り込んだり、やろうと思えばいくらでも素晴らしい紳士にもなれるのに、事件解決のためなど目的がないと、好き勝手に振舞います。


    尊大な態度、無礼な振る舞い、いきなりの行動、 解っていることを隠してもったいぶったり、果てにはチェスの駒のようにだまして利用することもあります。

    「瀕死の探偵(シャーロック・ホームズ最後の挨拶)ひどいよホームズ! と、私は思わず怒ってしまいました。
    最後のフォロー「僕が医者としての君の才能を、それほど見くびっているとでも思うのかい……」がなければワトスンもきっと怒っていただろう……と思うのですが、本文では、瀕死のホームズが心配で心配でたまらないという感が強く表れていました。
    さすが、ワトスン、人がいいというか、ホームズに対してはなんでもありなのか。


    ハドソンさんもホームズを「尊敬している」という記述が見受けられますが、どちらかというと、 『わがままな子どもを見守り、世話を焼く身内』のような感覚に思います。


    ワトスンは、ホームズの態度にむっとしたり、口げんかをしたり、怒ったりすることも時にはありますが、結局のところ、事件の新事実なんかを提示されると
    「それでどうなったんだい?」
    などと、興味のほうが先に来て、ころっと機嫌がなおってしまうようです。
    ワトスンが単純で浅はかというのではなく、ホームズに対する、保護者のような慈愛と、友としての親愛と、そしておさえきれない好奇心とが、彼を許す動機になっている……
    などと、文字にあらわすと随分陳腐になってしまいますが、つまり、ワトスンはホームズが大好きなんですよ。
    ホームズも、他の誰とも違う信頼をワトスンにおいています。

    人前などでは「Doctor」などと型で呼ぶこともありますが、「my dear fellow(私の友達)」や「my dear Watson」と心を込めて呼ぶこともあります。

    一緒に法を犯す危険をくぐって泥棒の真似をしたり、一緒に静かな夜を暖炉の前で過ごしたり、どんなことでも行動をともにしてくれる存在のありがたさよ。


    「いつでも! どこへでも! 一緒にいくとも」
    「それでこそわが友!」

    その関係性が、ホームズにとってどれだけ貴重なものだったか、そしてその関係にどっぷり浸かっていたがために、許してくれるだろうという予測の元に、甘えとなって『ひどい態度』が出ていたのでしょうか。

    「技師の親指」では、そんなに『ひどい事』はしてませんが、
    態度にあまりに差があったので、思わず書いてしまいました。

  • 「観察」という情報収集力に加えて、想像力を働かせて、論理的にストーリーを構築する。
    これこそがシャーロック・ホームズのシャーロック・ホームズたる所以だと感じる。

    技術や飛び道具的な内容での解決ではなく、ごくごく地味な、泥臭い活動から結論を導き出す。
    普段との違いは何か、可能性の排除の連続。そして残ったものが真実。

    同じものを見ていても違うものが見えている。
    これは蓄積していくと大きな差になるんだろう、継続していくことが重要だと感じる。

  • 再読。
    電車の中で読もうと思って持って出掛けました。
    外出先で読む場合、途中になってしまうと続きが気になって仕方がないので、一遍読み切りの短編集は重宝します。
    ホームズの短編集は、ぱぱっと読めるうえに、面白い!
    そして、何度読んでも飽きが来ない!
    最高です!!

  • ホームズ・シリーズ、短編集。この巻は新潮文庫のオリジナルで、ドイルの原作にはない。頁数の関係で本来の巻に入りきらず、割愛された短編をまとめて掲載したもの。タイトルは訳者の命名。

  • 原作には「シャーロック・ホームズの叡智」というタイトルはなく、新潮文庫が諸般の事情で他の文庫に載せきれなかった短編の寄せ集め。聖典60作品を読むにあたっては出来るだけ発表順に読む事にしたので、この「叡智」を通して読んだわけではない。推理の過程はもちろん、ワトソン博士とのやりとりや当時のロンドンの街並み等、総じて面白く読む事が出来た。

  • 「緋色の研究」を読んだ後に読んでみました。短編集なのであっさり読めました。が、少しあっさりしている印象で、私には長編の方が向いているのかな、と思いました。

  • 読んでいる時は面白いのだが、短編ミステリーは読み終わった端から内容を忘れていく自分の悪い癖が、顕著になってしまいます。

  • 相変わらずよい。

  • シャーロック全編完読。叡智の中の短編は、初期から後期まで含まれており、関連性がないが時代の変遷を感じさせる。特に、技師の親指は、オススメ。

  • 「冒険」から「事件簿」まで順に読んできて、最後の短編集。
    「叡智」は他の短編集と違って、別々の時期に書かれた作品が収録されているので、それぞれの話に微妙な作風の変化が感じられたのが興味深かったです。
    「事件簿」から続けて読んだのですが、「技師の親指」など、まさに初期の作品といった感じで、読んでいて「冒険」が懐かしくなりました。

    お気に入りは「ノーウッドの建築士」。インパクトのある依頼人の登場に始まり、容疑者に不利な状況から一転して意外な結末にたどり着きます。話の展開がとても凝っていて、ホームズではマイナーな話ですが、秀作の一つだと思いました。
    個人的にツボだったのは、ホームズが真相の手がかりを発見して、あまりの嬉しさに挙動不審気味になるところです(笑)

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