シャーロック・ホームズの叡智 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102134108

感想・レビュー・書評

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  • 新潮社から出ているシャーロック・ホームズシリーズの最後の短編集。「ページ数が多くなるので読者に迷惑をかけるという考慮から」それぞれの文庫で割愛された短編をまとめておさめている(「冒険」から二作、「思い出」から一作、「帰還」から三作、「事件簿」から二作)
    新潮社版ホームズシリーズのネックは古風な訳とこの余計な配慮であるわけだが(世の中にはとんでもなく分厚い文庫はいくらでもある)、まあそれは最初からわかっていたことなのでまだいい。
    それでも「冒険」の表紙にでも「当時の刊行順に読みたい読者にはおすすめしません」とでも書いておいてほしいが。

    しかしいくらなんでも、割愛する短編くらい選べと言いたい。
    私は「帰還」を読んだ時、説明なくしれっとホームズと同居生活を再開したばかりか医院の仕事をしている様子のないワトスンに「???」となった。そのあたりの事情を説明してくれないなんて、ドイルは不親切だなあと思ったくらいだ。
    しかし!本書「叡知」に収録されている「ノーウッドの建築士」にはそこのところの経緯がばっちり書かれているではないか。しかもあとがきによると、これは本来「帰還」の二番目におさめられているはずの作品なのだ。
    つまり、ドイルは悪くない。ちゃんと説明していた。
    悪いのは新潮社だった。

    どういう基準で選んだのかは知らないが、いくらなんでもキャラクターの前提情報が書かれている話を削るのはいかがなものか。
    新潮社版でホームズシリーズを揃えた私だが、古風な訳も味があって好きになってきたところだったが、すっかり白けてしまった。
    これからホームズシリーズを読んでみようと思っている人には、はっきり言って新潮社版はおすすめしない。
    でも内容は良かったので、その分星2にした。

  • 「観察」という情報収集力に加えて、想像力を働かせて、論理的にストーリーを構築する。
    これこそがシャーロック・ホームズのシャーロック・ホームズたる所以だと感じる。

    技術や飛び道具的な内容での解決ではなく、ごくごく地味な、泥臭い活動から結論を導き出す。
    普段との違いは何か、可能性の排除の連続。そして残ったものが真実。

    同じものを見ていても違うものが見えている。
    これは蓄積していくと大きな差になるんだろう、継続していくことが重要だと感じる。

  • 再読。
    電車の中で読もうと思って持って出掛けました。
    外出先で読む場合、途中になってしまうと続きが気になって仕方がないので、一遍読み切りの短編集は重宝します。
    ホームズの短編集は、ぱぱっと読めるうえに、面白い!
    そして、何度読んでも飽きが来ない!
    最高です!!

  • 「技師の親指」
    親指を失くした人の奇妙な依頼。ただ、最後に犯人が逃亡してしまったのは残念。なんとなく、犯人たちが『名探偵コナン』に出てくる黒の組織のように感じた。

    「緑柱石の宝冠」
    良くある、父親がバカ息子の盗難を疑うと言うもの。共犯ができる娘というのも良くあるトリックであった。

    「ライゲートの大地主」
    探偵ものの常となっている、休養中に事件が巻き込まれるやつの二つ目。

    「ノーウッドの建築士」
    犯人を隠れているところから、炙り出す「家事だ」もどこかで聞いた事のあるトリック。これも、ドイルが発祥なのだろうか。

    「三人の学生」
    真面目な学生が犯人という典型的な感じ。

    「スリー・クォーターの失踪」
    アームストロング博士との知恵比べは面白かった。最初のホームズとの嫌悪感丸出しの会話は、ホームズが、モリアーティ教授の再来と勝手な判断を下したことも一因なのではないだろうか。結末が悲しく、そこは残念。

    「ショスコム荘」・「隠居絵具屋」

  •  これまでの短編集に収録されなかった短編をまとめたもの。刊行順としては最終巻らしいが、どこかで見たオススメ順に則り本書から読む。『技師の親指』は淡々と語ってるけど、なかなか怖い目に遭っている依頼人。『緋色の研究』や『恐怖の谷』のように復讐のためどこまでも追いかけてくるパターンでは?とハラハラしていたが、襲われることなく完結。『緑柱石の宝冠』は家に持って帰るなよ、しかも家族だからって喋るなよとツッコまざるを得ないが、総じて面白かった。
     シリーズ読了したら『シャーロック・ホームズの建築』をじっくり再読したい。手元に置いて読みながら参照したかった。

  • 本作は、原典から新潮文庫に収録する際、省略した物語を集積したもの(巻末解説より)。1892年から1927年にかけての作品で、ホームズが事件に関与し、探索が行き詰まるかに見せ、隠れていた事実をホームズが見つけ出して解決するという展開の多いものになったのか? しかし、ついつい惹き込まれてしまう。「緑柱石の宝冠」では壊された宝冠の始末がどうなったかが気になってしまった。「ノーウッドの建築士」のカラクリは脱税にも使われそう。最も印象に残ったのは「ショスコム荘」だった。

  • 読了!

  • シャーロックホームズ最終巻、やはりシャーロックホームズシリーズは推理モノというより冒険モノだったと思う。

  • 原作には「シャーロック・ホームズの叡智」というタイトルはなく、新潮文庫が諸般の事情で他の文庫に載せきれなかった短編の寄せ集め。聖典60作品を読むにあたっては出来るだけ発表順に読む事にしたので、この「叡智」を通して読んだわけではない。推理の過程はもちろん、ワトソン博士とのやりとりや当時のロンドンの街並み等、総じて面白く読む事が出来た。

  • 読んでいる時は面白いのだが、短編ミステリーは読み終わった端から内容を忘れていく自分の悪い癖が、顕著になってしまいます。

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著者プロフィール

アーサー・コナン・ドイル(1859—1930)
イギリスの作家、医師、政治活動家。
推理小説、歴史小説、SF小説など多数の著作がある。
「シャーロック・ホームズ」シリーズの著者として世界的人気を博し、今なお熱狂的ファンが後を絶たない。

「2024年 『コナン・ドイル⑥緋色の研究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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