郵便配達は二度ベルを鳴らす (新潮文庫)

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制作 : James M. Cain  田口 俊樹 
  • 新潮社 (2014年8月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102142035

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郵便配達は二度ベルを鳴らす (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • シンプルなストーリーで描く人間の機微。
    古い作品ではあるけれど全く古さを感じない。
    そしてそこへノスタルジアを乗せてくる田口訳。
    良い組み合わせだ。

  • ある機会のために選書をしなければいけないのと、このたび改訳が出たということで手に取った。そういえば読んだこともない、“The Postman Always Rings Twice”。カバーデザインは映画版のジェシカ・ラングっぽいのかな。

    あらすじとしてざっくり知っていたとおりのシンプルなストーリー展開で、「これでいいのか」と思ったくらい、王道の夫殺し事件である。流れものの男と、田舎の食堂の美人妻。夫がじゃまだ、何とかならないものか…と二人が企てる。絵に描いたような未遂と成功、陪審の評決…と、前半はありがちな流れで、刺激がないわけではないけれど、犯罪小説ではほぼテンプレート通りの展開である(出版年があとに記すとおりなので、ひょっとしたらこれがテンプレートとして後に流布するのかもしれないけど)。そこまで読んで正直なところ、ちょっと飽きて「もういいや」となりかけたのだが、男の評決が下ったあとの展開が、お互いが仕組んだようで仕組んでいない食い違いを見せ、そこに素直なひねり(変な言いかただけど、こうとしか言いようがない)があって、がぜん面白く読めた。帯によれば映画化が7回だそうである。分量と展開のコンパクトさが映像に最適なのだろう。「名作」というより「定番」の印象を強く持った。

    奥付けを読んで、1931年の出版と知って驚いた。コーラの、「美貌を引っ提げてハリウッドへ乗り込もうとしたが、トーキー映画の隆盛で、潰しがきかなくてダメだった」という背景をアレンジすれば、1980年代くらいまでのアメリカ中西部ならフツーに成立しそうなドラマである。調べてみたところ、1927年に最初のトーキー映画が作られているし、1939年にはカラー+トーキーの大作『風とともに去りぬ』が公開されている。わずか12年でここまでくるのか…と、コーラの失敗よりもコーラの周りの時代の流れの早さに驚いてしまった。

  • 何回も映画化された作品だが(私が見たのはルキノ・ヴィスコンティ版)なぜ映画化に向いているのかわかる気もする。
    全編主人公のモノローグなこともあり、戯曲形式で発表した方がよかったような気もする。

  • この作品は、何度も映画化されていて、
    私も、ジャック・ニコルソン主演のと、
    もう一本多分、ルキノ・ヴィスコンティ監督のを
    観ているが、本を読むのは初めて!

    私の記憶に残っている
    「銃をもっているわよ!」「はぁ?」で銃声、
    のシーンはヴィスコンティ監督のイタリア版だと思われ…
    違うかな~

    この本を読んで、やっぱりジャック・ニコルソンと
    ジェシカ・ラングの映画と比べてしまうけれど、

    まず、コーラの髪の色が黒くてギリシア人と間違えないでと
    怒るところがあって、へー違う、って思った。

    それにフランクが24歳!若いのね。

    映画では二人が…と言う感じだったけれど、
    本では割と女のいう事を男が聞いて…と言う印象。
    フランクが殺した男の事を「好きだった」と言うような
    記述もあったし…。

    フランクも良い男なんでしょうけれど
    根無し草というか、甲斐性がねえ…

    終わりの方の非常に暴力的なシーンに
    釘付けになり、電車で最寄り駅に降り損ねそうに…

    悪い人じゃない、
    ただひたすら「脂ぎっている」と言うだけの理由で
    殺されてしまった、ニック・パパダギスが可哀想。

    犯行については同情も出来ないし、
    身勝手だな、と思うけれど、
    やっぱり心に残る作品。

  •  
    ── ケイン/田口 俊樹・訳
    《郵便配達は二度ベルを鳴らす 20140828 新潮文庫》201409‥
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4102142037

    (20161112)
     

  • こちらの作品は何度も映画化された有名な作品。
    有名だが、映画も本も今まで手に取ったこともなかった。
    その理由は

    エロエロなんでしょ

    という先入観。
    タイトルにエロ要素は全くないにもかかわらず、わたしは本書をエロ作品だとずっと思っていた。
    何故なのか。思い返してみるけれど、よくわからない。
    かすかに想像できることとして、不倫があって殺人を犯すらしいと何かで知って、不倫ってなんなの、汚らわしいとなってエロ認定したのじゃないかと思う。

    なんて純粋なわたし。

    大人になってそれなりに汚れたわたしは、本屋さんで本書を見かけたときに特に躊躇することなく手に取った。
    適度に汚れると読む本の幅が拡がる。メリット大きい。

    物語はとても簡単。
    流れ者のフランクは、たまたま入った食堂でギリシャ人の男とその妻に出会う。
    ギリシャ人に誘われるまま食堂で働くうちに妻であるコーラと関係を持つようになる。
    ギリシャ人が邪魔になったふたりは、深く考えることなく殺害を計画する。
    一度は失敗するものの、二度めには成功する。しかしすぐに容疑をかけられてしまう。

    こうはじまって、特になんということもなく物語が進んでいく。
    計画が甘いので当たり前に容疑がかけられて、別々に取り調べを受けたらそりゃそうなるといった展開をし、そうなったらその後、そして結果も想像でき、ほぼ想像した通りに終わる。いや寧ろ、わたしの想像のほうがもっと悲惨だったかもしれない。

    でも、くだらない一冊という感じはなかった。
    文章が良いのか、この身勝手な理由でひとを殺すフランクとコーラにも嫌悪感はそれほど感じない。特にコーラは、人妻の不倫から連想されるお色気ムンムンの思慮の浅い愚かな女というよりは、小さな夢を追い求めるある意味では真摯な女性だった。

    エロエロな文章も殆どない。映画は観ていないので何とも言えないけれど、そこが中心ではないので終始エロエロということはないと思う。
    読んでみて解けた誤解だった。

    この本で物語を知らないわたしは、いつ郵便屋さん出てくるんだとずっと思っていた。読む前は人妻と郵便屋さんとの不倫で、ふたりの合図がベルを二度鳴らすことだと思っていた。
    結論から言うと、郵便屋さんは最後まで出てこない。
    郵便配達がないので、ベルも一度も鳴らない。
    それじゃあこのタイトルはなんなんだとなるが、この疑問は巻末の訳者あとがきを読めば解決する。
    物語と関係ないタイトルではあるけれど、このタイトルにはとても魅力があると思う。
    響きもリズムもいいし、印象に残る。
    それに、作者のエピソードと作中のフランクの気持ちにどこか通じ合うものもあって、物語と関係がないようでいて仄かに関係している。そこが奥ゆかしいというか。

    ありきたりな、愚かなふたりの物語ではあるが、最後まで読ませる魅力がタイトルだけでなくある作品だった。

  • 題名だけは知っていたが、一度も読んだことのない本の一つ。神谷町のTSUTAYAで偶然目についたので購入。

    これほどまでに、題名とストーリーの関連性が無い本も珍しい。映画の影響か、かなりセクシュアルな描写が多いものと思っていた。文庫の表紙もそういう雰囲気を持った女性の絵で、電車の中で読むには多少勇気がいる。

    実際のところ、そういう描写がない訳ではないが、それを売りにしているものでもない。2度目の「事故」が起こってからからのスピード感と、不意を突かれる展開に引き込まれてしまうと、もう最後まで一直線。

    6回目の邦訳とある。読みにくい訳でもない。しかし、なんとなくしっくりいかないというか、いかにも翻訳本を読んでると感じてしまう所が残念かな。。。。(204頁のコーラのセリフも代名詞が誰を指しているのかわからない)

  • 有名ですが読んだことも映画見たこともなかった作品。

    何度も警察のお世話になっている根無し草のフランクは、カリフォルニアの安食堂通りで見つけたギリシャ人が営む安食堂に住み込みで働くことになり、ギリシャ人の妻であるコーラ(アメリカ人)に惚れる。コーラもそんなフランクの気持ちに気づき、2人はギリシャ人の殺害を企て、1度は失敗。2度目は成功するが・・・。

    というのがあらすじ。
    解説にもあったけれど、シチュエーションや話自体はよくあるものなのに、ふたりの心理描写がなんとも秀逸で、これが名作とされる理由なのだろうと思います。
    最後にはフランクとコーラのために祈りたくなる不思議。

    しかし一番かわいそうなのはやはりギリシャ人なわけでw「あんな脂ぎったギリシャ人!」とコーラが何度か言っていますが、著者はギリシャ人に何か個人的な恨みがあるのだろうか・・・と思うようなひどい目にあわされっぷりでした。

  • 題名が有名で、映画化もされてるから、ずっと気になってた。
    もっと主人公たちは、知的な人間で完全犯罪を成し遂げると思い込んでいたので、期待はずれ。
    ただ、訳者のあとがきにある「二度」がライトモチーフになっているというのを知ると、なるほど!って感じ。

  • 郵便配達人が全く出てこないのにこのタイトル。郵便配達に完全犯罪の謎を解く鍵があると思って読んだら肩透かしをくらった。誤訳でも何でもなく原題は『The Postman Always Rings Twice』でほぼそのまんまである。何でこのタイトルがつけられたのかは解説を読んでみてください。

    分類としてはハードボイルドとかミステリーとかの枠に入るのだろうけど、ストーリー自体はいたってシンプル。主人公の男女が非常に魅力的で、この2人の感情が生々しくぶつかり合うところがとても面白い。この作品が描かれたのは80年前だけど、舞台を現代に置き換えてもほとんど違和感なく読めるところが凄い。

    本作は長らく絶版状態だったが、最近になって新潮文庫の新訳のほか、光文社古典新訳文庫でも新訳が発表されている。読み比べてみるのもいいかもしれない。

  • 今から80年前、第二次世界大戦に世界が突入する前の好景気から一転経済不安が広がった頃、禁酒法が撤廃された直後の作品。
    アメリカンマフィアを気取ったチンピラの主人公フランクが定食屋の女房コーラを引っ掛けるところから物語が始まる。
    心情表現の少ないあっさりとした文章。検事、弁護士、探偵、保険屋が登場し、裁判での大逆転と裏切り。淡々とした格闘シーン。当時のハードボイルドの定番を踏んでいるのではないだろうか。しかしフランクの思考は単純で、コーラの亭主を殺す過程はスリリングである一方でコミカルでさえある。
    そしてコーラに愛を感じた直後の暗転。
    僅か200ページを淡々と、それでいて30年代のアメリカの空気とジェットコースターに乗ったような展開を感じさせてくれた。

  • 登場人物も、舞台も、ストーリー展開も、とにかくありふれた設定である内容をかくも見事な作品に仕上げていることに感動。テンポ良く歯切れいい文体は新訳によるもので、運命の歯車が主人公を乗せて山から転げ落ちていくスピードを感じさせてくれる。メディアミックスされたり読み継がれる魅力は、何より主人公達のあっけらかんと今を生きるその刹那さに読者が嫉妬し、また誰もが羨望しているからだと思う。

  • 途中までは、ありきたりと思っていた。後半に向けて苦々しくもあった。しかしラストは…。後書きにあるように2人のために祈りたい気分になった。これが80年前に書かれていた作品とは。

  • 何もかもが淡々と進む。最後は、一般的にいう悲劇であるが、悲しいのではなくあったかい気持ちになる不思議な作品。

  • 可もなく不可もなく。スタンダードすぎる物語展開だけど、この作品がそのスタンダードを作ったのなら、それはすごい名作だと思う。真相は不明。

  • 男は、なんとなく流れ、流されて。
    女は、堅実な考え方の割に、目の前に転がってきた
    動くものに飛びついたくせに、自分のせいではなく
    人生がうまくいかないと足掻き。
    判事と弁護士は、事実を追うのではなく
    相手を出し抜くゲームに興じ、
    200数ページの短い中でドラマは二転三転。
    サスペンス?ハードボイルド?
    タイトルにしか登場しない郵便配達、
    「二度」の意味、最終章の独白。
    ニヒル、イロニー、エンターテインメントです。

  • とんでもない殺人なのに、つい感情移入してしまう本。ストーリーとしては、風来坊の主人公がつい立ち寄った食堂の女将と通じて食堂の主人を殺害し、二人で幸せになろうとしたが・・・・というもの。この本の良いところは、主人公と食堂の女将のキャラクターだと思います。特に食堂の女将は、田舎から都会に出てきた女性で、非常に堅実な考え方をしながら、風来坊につい好意を寄せてしまうというリアルなもの。ああ、うまくいけばもっと幸せになれたんじゃないかなと思うのですが、風来坊チックな人を好きになるからこそ感情移入できるのかもしれません。ストーリー自体はそれほど変わっていませんが、ラストは個人的には好きな終わり方でした。何度か読むと、何とも言えない感情がじわじわ来る本です。

  • 映画化7回!ヴィスコンティ監督作しか観てないなぁ、、、

    新潮社のPR
    「何度も警察のお世話になっている風来坊フランク。そんな彼がふらりと飛び込んだ道路脇の安食堂は、ギリシャ人のオヤジと豊満な人妻が経営していた。ひょんなことから、そこで働くことになった彼は、人妻といい仲になる。やがて二人は結託して亭主を殺害する完全犯罪を計画。一度は失敗するものの、二度目には見事に成功するが……。映画化7回、邦訳6回のベストセラーが新訳で。 」

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郵便配達は二度ベルを鳴らす (新潮文庫)の作品紹介

何度も警察のお世話になっている風来坊フランク。そんな彼がふらりと飛び込んだ道路脇の安食堂は、ギリシャ人のオヤジと豊満な人妻が経営していた。ひょんなことから、そこで働くことになった彼は、人妻といい仲になる。やがて二人は結託して亭主を殺害する完全犯罪を計画。一度は失敗するものの、二度目には見事に成功するが……。映画化7回、邦訳6回のベストセラーが新訳で。

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