カクテル・ウェイトレス (新潮文庫)

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制作 : James M. Cain  田口 俊樹 
  • 新潮社 (2014年8月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (513ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102142042

カクテル・ウェイトレス (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 特に気には留めていなかったのだが、書店で『郵便配達は二度ベルを鳴らす』の隣にディスプレイされていたのもあって、選書候補にも入れてみようか…と読んでいた。原題もそのまま“The Cocktail Waitress”。聞けばJ.M.ケインの遺稿だという。

    夫を亡くし、シングルマザーになった女性・ジョーンの周りで起こる波風の数々。DV夫はどうも勝手に死んだらしいが、「ひょっとして」という噂も絶えない。子供を育てる余裕もないが、事情があって実家には頼れず、やむなくタイトルどおりの「水商売」に身を投じて…という展開。水商売のやりとりの描きかたがなかなか巧みに思う。あちらの給仕はチップ商売なので、その額をはずんでもらう駆け引きや、はずんでもらうと、この種の店ではそれに含まれるであろう「追加サービス」などなかなか下司な事情も織り込まれながら進むのだが、主人公の女性・ジョーンの育ちのよさで、話の品が保たれているように感じる。

    サスペンスはあるものの、基本的にはミステリーではなくハーレクイン方向の話だと思う。でも、『郵便配達は二度ベルを鳴らす』でも感じたように、本人が意図して行ったものではなく、意図していない「悪意」に見える立ち居振る舞い、言動と、そこから生まれる誤解や曲解(らしきもの)が典型的ながらすごく巧みに描かれている。「火のないところに煙は立たぬ」という状況を描き出す手腕にきわめて秀でているということだろう。ジョーンの行動の隙を突いて立ち上がる世間の悪評、付随するように起こるうさん臭い出来事がねちねちとリアル。確かに、ジョーンのふるまいのいくつかは軽率だが、そう浮ついたものではなく、むしろ自分と息子が生きていくためにはこれしかない、という直球のストロングスタイルの戦法ではないか、という解釈の余地も現代では大きくなっているのではないだろうか。それにしても、ジョーンが生きている世界にネットがなくてよかったと思う。まあ、作中でも新聞で毒婦扱いされたりしてバンバン叩かれているけれども、現代社会はその比ではありませんからなあ。

    「遺作にうまいものなし」的な言い回しがあるというのを読書仲間から最近仕入れたので、ちょっと心配していたのだが、そこは余計な心配に終わったようで、ガシガシ読みとおしてしまった。この作品を発掘したチャールズ・アルダイ氏の解説がノンフィクションのようで面白いのと、本筋とは関係ないが、薬禍で有名になった薬の名前を久しぶりに目にして、時代の流れなども感じてしまった。それ以外は、今でも同じ素材でまったく通じる話だし、事実そういう小説をまだまだ沢山目にするわけで。

  • うら若き未亡人のジョーンは生活を立て直し、義姉に預けた息子を取り戻すためにカクテル・ウェイトレスとして働き始める。
    そこで出会った初老の富豪とハンサムな貧乏人のどちらを彼女は選ぶのか?

    リドリー・ストーリーもの。
    古き良き時代の香りがプンプンするよ。
    田口さんの訳文、いいなぁ。
    ジョーンはファム・ファタルなのか? 彼女の一人称の回顧譚をどこまで信じていいのか。
    そして新たなる悲劇を予感させるラスト。
    いろいろと怖い読書だった。

  • 登場人物各々の欲望がありありと描かれている。結構好きな作品。
    解説で圧倒的な大衆娯楽性があると書かれているように、身近な感情に訴えかけてくるものがある。
    プロットは面白くないが、人物描写の深さで読ませてくれる。

  • 男性運が悪く人生に翻弄される淑女か、はたまた打算と美貌を売りに男性遍歴と殺人を繰り返す世紀の悪女か、一番知りたいそれが明かされることなく話が終わる。
    著者は前者のように持って行きたかったような気がするが、私は後者だと勘ぐってしまう。
    ジェーンのみの語りによって話が進行するので公平な視点というのはない。
    ただ、並外れて魅力的な女性なんだろうとは思う。

  • ゴーンガールのエミリーのおばあちゃん。という印象。欲しいものは手に入れるのだっ。

  • ジャケでやられて中身でさらにやられた。

  • 作品は、全般的には一連の事件後の主人公による回想で、一人称の語りだ…これが、なかなかに好い…

    何か「甦った古典」という感であると同時に、「敢えて“一寸昔”を作中世界とした新作」という感でもある。この女…悪女なのか?周辺事態が悪い方へ転ぶばかりなのか?何か不思議な感でもある…

  • 本邦初翻訳!

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    「うら若き未亡人のジョーンは、幼い息子を養うため少々怪しげなバーで働いている。そこで彼女は、初老の富豪に見初められるものの、若くてハンサムだが貧しいトムにも出会い、心惹かれる。彼女はどちらの男性を選ぶのか。そして、いかにして自らの人生を切り開いていくのか――。あの永遠のベストセラー『郵便配達は二度ベルを鳴らす』の巨匠が生前秘した、幻の遺作が堂々の上陸! 」

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カクテル・ウェイトレス (新潮文庫)の作品紹介

うら若き未亡人のジョーンは、幼い息子を養うため少々怪しげなバーで働いている。そこで彼女は、初老の富豪に見初められるものの、若くてハンサムだが貧しいトムにも出会い、心惹かれる。彼女はどちらの男性を選ぶのか。そして、いかにして自らの人生を切り開いていくのか――。あの永遠のベストセラー『郵便配達は二度ベルを鳴らす』の巨匠が生前秘した、幻の遺作が堂々の上陸!

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