優雅な生活が最高の復讐である (新潮文庫)

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制作 : Calvin Tomkins  青山 南 
  • 新潮社 (2004年8月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102144213

優雅な生活が最高の復讐である (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • まずタイトルが圧倒的に美しい。「Living Well is The Best Revenge.」というスペイン語の諺らしい。フィッツジェラルドの『夜はやさし』の元々のモデルとなったジェラルドとセーラのマーフィー夫妻の伝記。夜はやさしの何とも言えないもの哀しい感触は覚えているけど、もう一度読み直したい。

    生活にスタイルを持つこと。身なり、食事、友人との交流に決して手を抜かず、洗練を保つこと。お金はあるけどなんだか擦り切れた人もいる一方、お金はそんなにないけど美しい生活をしている人もいる。彼らは金はそこそこあって美しいて感じなのだけど、スタイルを持つことの格好よさは再実感させられる。そこには自分の意志で人生の洗練さを維持しようとする努力があるし、ジェラルドの「手を加えないかぎり人生はとても耐えがたい」という台詞は一つの真理だと思う。

  • どうして自分が本を読み続けるのか、不思議に思う瞬間があるんです。理由は色々あるでしょうけど、短い一節にガツンとやられるせいじゃないかと、最近思ってます。この伝記は、自分にはあまり馴染まず、「読むのをよそうか」という気持ちが膨れあがっていたんですが、ある一節が衝撃的で、40分ほど電車に揺られながら、ずっと考えてました。帰宅して、お湯につかってる時も頭にチラついてました。多分、明日もまとわりついてるでしょーね。こういう体験が、僕は好きなんだと思うんです。映画を観るのも、音楽に耳を傾けるのも、多分同じような理由です。

  • 1920年代文化に関心があったのと,タイトルに惹かれて買った。前者の点でもきらびやかな文化人との交流ぶり(ピカソ,ストラヴィンスキー,ヘミングウェイなど。特にフィッツジェラルド夫妻のエピソードは強烈)を楽しめたのでほどほどによかったが,特に後者の点で有益だった。もしかしたらこのタイトルの意味が直感的にすぐわかるような人なら読む必要はないのかもしれない。読み終わった瞬間はそうでもなかったが,後から尾をひくような感じがあって,いろんなことをつい考えてしまう。

  • 初読

    フィッツジェラルドの「夜はやさし」のディックとニコルのダイヴァー夫妻モデルになった(された)
    ジェラルドとセーラのマーフィ夫妻の回想録。

    ディックとニコルはジェラルドとセーラをモデルという形にしておきながら、
    (本人達からしたら似ても似つかないのに!)
    途中からフィッツジェラルドとゼルダになってしまっている、
    「ぼくは誰かを好きになるとその人みたいになりたくてたまらなくなる」
    というのは、もう、フィッツジェラルドの哀しさ、切なさの最たるものだろう。

    20年代のパリの目眩く日々。
    ピカソ、ヘミングウェイ、コール・ポーター、エリック・サティ、ディアギレフ、ストラビンスキー、コクトー、ガートルート・スタイン…

    アルバムの章は必見。

    それにしてもフィッツジェラルドにもヘミングウェイにも愛される
    セーラのモテモテぶりをもうちょっと詳しく知りたかったものです…

  • 作家の多くは身近な人々をモデルにして小説を書くけれども、書かれた方の立場の居心地の悪さはいかなるものか。この本を手に取る人の多くはフィッツジェラルド『夜はやさし』を既に読んでいることが前提となっているだろう。登場人物のモデルになったアメリカ生まれヨーロッパ暮らしの裕福なマーフィ夫妻について書かれた本。
    著者は実際にマーフィー夫妻に直接インタビューを行った上でこの本を執筆している。前半は夫妻がストラヴィンスキーの成功を祝うパーティを開催したり、ピカソやヘミングウェイなどの文化人との華やかな交流が描かれる。後半、ジェラルド・マーフィー氏は絵を描いていたことが明かされ、ジェラルドが本気で画家になりたかったことをフィッツジェラルドは知らなかったというくだりから、憧れているだけでは本質的な人間関係を育めなかった作家の性質が侘びしい。フィッツジェラルドの娘の学費をマーフィー夫妻が支援しているところのあたり、充分に親しい関係であったことは伺えるが、おそらくマーフィー夫妻にとっては、フィツジェラルドは支援した芸術家、文化人のひとりに過ぎず、晩年のスコットとゼルダの素行には手を焼いていたのではないだろうか。
    成り上がりが見つめる生まれも育ちも恵まれた裕福な家系、という構図は『グレート・ギャツビー』にも『夜はやさし』にも一貫してながれるフィツジェラルド作品の虚しさ。その根源がこの夫婦の中にあったと感じられる。
    フェルナン・レジェと並ぶ絵を描きつつも筆を折るというジョセフ・マーフィの苦悩をフィツジェラルドは知ることはなかった。ジェラルドの絵の雰囲気はカッサンドルに似ている(沢木耕太郎の『深夜特急』装丁といえばわかりやすい)。作品はキュビズムの影響を受けた20~30年代の画家たちのありふれた作風といえば残酷かもしれないが、おそらく家族と生活の維持のためにジェラルドは父親の仕事を継ぐことを選び、芸術に向かう夢をあきらめた彼の人生に想いを馳せたときに初めてこの本のタイトルの意味の重みが増してくる、『優雅な生活が最高の復讐である』。
    いつか、この本を読んだわたしたちも昔を懐かしく思い出すのだろうか。「パーティをするのは皆と毎日会いたいから」と無邪気に笑う妻セーラの面影のように。

  • 恵まれた環境に生まれたように周囲には見えても、じぶんでつくりあげたものだけが気に入っているという人もいる。お金があるからこその生活に見えるが、それでも彼ら夫婦の暮らしぶりは素敵だな。

  • よい題名の本ですよね。次回入手してよみたいです。

  •  タイトルだけで魅かれてしまう。これは、スペインのことわざだそうで、正確には<優雅な生活が過酷な人生への最高の復習である>らしい。フィッジラルドの「夜はやさし」のモデルとなったマーフィ夫妻の華やかな友好関係を、さまざまなエピソードで綴った作品。一応ノンフィクションになると思うのだが、不思議とフィクションのような手触りがある。もっとも、いわゆるジャズエイジといわれる頃の作品(小説に限らず、映画等などでも)は妙に現実感がないのではあるのだけど。
     ともあれ、アメリカ人のヨーロッパでの生活なのだが、何か過酷なことやダメージがある訳ではない。とにかく優雅な生活が続く。が、読み終わったら、このタイトルの持つ意味がずっしりとくる。
     …しかし、この字の組み方はちょっとなぁ(苦笑) 

  • -しかし、マーフィーには、優雅な生活は十分な復讐にはならなかった-

    フィッツジェラルドの最後の長編「夜はやさし」のモデルになったジェラルド・マーフィー夫妻の物語。20世紀はじめの時代の空気がよくわかる。タイトルが秀逸。テツガクできる。本文に使われている薄紅色の紙が上質で、手触りに満足する・・・マーフィー夫妻の優雅な生活を意識したハイセンスな装丁。すでに廃番で値段があがっているのでお早目に。

  • ずるずる読むのを伸ばしていた矢先、書店へ行ったら「絶版」って…(泣)。邦題は直訳ながら素晴らしい。さすが青山南さんですね。大体のところは知っています。「セレブなライフスタイルご提案」というぬるめの指南本ではありません(笑)。1920年代、米国で「ジャズ・エイジ」「アスピリン・エイジ」と呼ばれたこの時代に生きたあるご夫妻を描いた作品です。このご夫妻は、フィッツジェラルドの「グレート・ギャツビー」のモデルとなったセーラ&ジェラルド・マーフィー。当時の世界中の文化人を相手にした、高雅で洗練された、しかもオリジナリティあふれる美しい暮らしは彼の憧れをかきたてたようで、彼と妻ゼルダのキャラをはめ込んで「‐ギャツビー」が出来上がった…ということらしい。英米文学をやっていればちょろっと出てくるネタらしいのですが、なかなか面白い展開が待っていそうで楽しみな本です。私はフィッツジェラルドが好みではないのですが、映画ではラルフ・ローレンが衣装(男性の)をつとめたということで、素晴らしく美しいコスチュームにしびれました(笑)。さあ、いよいよ図書館の登場?

  • ロストジェネレーション作家を翻弄し続けた一人の画家の伝記的作品。フィッツジェラルドやヘミングウェイ、ピカソらと付き合い、華々しい生活をおくっていたマーフィ夫妻の裏側に潜む苦悩とその寛容さを青山南の見事な翻訳で読める。

  • ジャズエイジを語る上での必須の
    バイブル。

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