自閉症だったわたしへ (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (489ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102156117

感想・レビュー・書評

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  • 自閉症の方の著書。
    人間の「感情」(情緒)がわからず、負担に感じるということらしい。彼女の場合は多種かつ重度のアレルギー疾患があったそうで大変そうだ。
    こういう風に考え、見えているんだなと知ることができた。いろんな人がいるのだ。ほんとに。

  • 自閉症の人の感じ方、ものの見方、考え方を、心で感じたものをそのままに文章に表されていて、どんな感覚で生きているのかをイメージして読むことができた。

  • 近年、「発達障害」「自閉症スペクトラム」といったことばはよく聞かれるようになりましたが、自閉症の方の世界観を知る機会は少ないのではないでしょうか。この本は、自らが自閉症であるドナ・ウィリアムズさんが執筆された本です。自閉症の方の、世界の見え方・感じ方を知る手がかりとなる1冊です。

  • とっ散らかって読みにくいというレビューが多いが私としては素直に読めた。常々自分が自閉症に似たところがあると感じていたせいかもしれない。
    あまり理屈で考えず、彼女の目覚ましい成長と変遷に目をみはる感じ。誰かと知り合ったこととその影響という因果関係が鮮やかすぎる気もするが、書いた本人が整理・認識したことなのでそのまま受け止めたい。
    専門知識のある人は違った読みをするのだろうが。
    ただ、自閉症の人みんながこんなふうではないことは留意しないといけないと思う。

  • なかなか読みづらくて、10日以上かかりました。
    訳者後書きによると、原文はもっととっ散らかってるそうで、これが各国でベストセラーになったなんて信じられません。海外の読み手さん達は凄いですね。
    これが、どのくらいリアルな自閉症手記なのか、結局わかりませんが、自分の職場で考えても、完全にノーマルって人は少なくて、多かれ少なかれ人って何処か偏ってるものだと思います。そんな中でかなり振り切れている人の手記を読む事で、少しですが周りの人に寛大になれた気がします。

  • 請求記号:WM203.5-WIL
    https://opac.iuhw.ac.jp/Akasaka/opac/Holding_list?rgtn=2M020309

    <藤田郁代先生コメント>
    幼いころから人とうまく付き合えなかった高機能自閉症の著者が自分のこころの世界と成長過程を記した自伝書。周囲から理解されない苦しみ、つらい経験、人生への希望が胸に響く。

    <BOOKデータ>
    わたしってそんなに「変でおかしな子」なの? 幼い頃から、周囲の誰ともうまくつきあうことができず、いじめられ、傷つき苦しみ続けた少女—。家族にも、友達にも、学校にも背を向け、たった一人で自分の居場所を求めて旅立った彼女が、ついに心を通い合わせることができる人にめぐりあい、自らの「生きる力」を取り戻すまでを率直に綴った、鮮烈にきらめく、魂の軌跡の記録。

  • ずっと読まなきゃと思ってはいた、自閉症者の当事者本の先駆けとなった、ドナ・ウィリアムズの自伝。

    修論終わって、心身の極度の疲労から回復するなかで、これなら(気分的に)読めるかな…と取り組んだ。

    …重かったーーーーー

    特に前半。「感動の!」「爽やかな」「心あたたまる」「ありがとう!」みたいな、そういうのは、私には全然思えなかった…

    いや、すごいんだよ、すごいことだと思うの。
    こんな風に文章にしてくれて、それが一体どんな世界なのか覗かせてくれることは、本当に希有な、素晴らしい、ありがたいことだと思うの。

    だけど…。なにが苦しいって、お母さんとお兄さんへの恨み節…かな…私にとっては…

    そりゃ、お母さんは今でいう虐待に当てはまるのかも知れない、お母さんの妹(ドナの叔母さん)がそう言うんだから、きっとそうだったに違いない、だけど…

    ドナの生まれた60年代、自閉症というものが今よりもっと受け入れられてなかった時代、ともすれば「母親のしつけが悪い」と安易に非難されてた時代…

    そしておそらくお母さんの生まれ育った環境も、あるだろう。

    そんななか、ドナに辛く当たるお母さんのことを思うと、それを単に責める気持ちには私はなれなくて…

    どこにも当てはまれないドナの送り迎えするお母さん。ダンスの好きな娘に一縷の望みを掛けてダンス教室へ連れて行き、やがてその希望も断たれるお母さん…

    ドナがお母さんを憎むのも恨むのも当然起きていいことなんだけど、お母さんも辛かっただろうなって思っちゃうんだよね。

    ましてお兄さんなんて。

    なんにも知らずに、妹の誕生を楽しみにして、関心を向け続けたのにも関わらず、一度も、目さえ合わなかった妹に、どう接すればいいか、モデルはお母さんしかいない環境で…お兄さんの心の中に、ドナを許せない気持ちがあるのもまた当然起きていいことだったと思う…

    だから、ドナの視点からだけで、恨み辛みを書かれると、ちょっと辛い…

    もちろん、そんな風に傷つけあわなくて済むように、もっと周囲に、理解とサポートがあれば良かったんだけど…充分なほどにはなかったんだよ…

     
    そう、責任を全部母親に帰すのは、私は違うと思う…
    (もちろん、お母さんのしたことは酷いことだったんだろうし、もっと違う関わり方ができたんじゃないかって、言うのは自由だけど、それができなかったんだよね、現実は。)

    そして、優しかったけれど、母の前に力を持たなかったお父さん。
    それって、「パパは優しかったから許す」っていう問題でもない…
    だって、パパは結局、娘を守れなかったんだから…

    それらの絡み合った糸が、外からだとわかる。
    わかるだけに辛い…

     
    ドナが、もがきながら少しずつ少しずつ、傷つきから回復し、自分を知り、人との関わりを学ぶ過程は、本当に素晴らしいと思う。
    本当に良かった。そういうことが人生に起きて。いや、それを掴んで。

    でもなんとも言えない、気持ちが重くなる本だった。

  • 自閉症の方が自叙伝を書くことができるの…?
    疑問を拭いきれないまま読み進めてみたが…

    ここかしこに発見や驚き、学びがちりばめられ、本当に価値ある興しろい本に出逢えた…そんな気分だった☆

    ドナがどのように感じ、人生を歩んできたかを通じて一人でも多くの方の理解に繋げられたらどんなに素敵だろうか…!!

    キラキラしたものがなぜ好きなのか、どのように捉えているのか、なぜ雲を掴むような仕草になり、永遠に物と戯れることができるのか…疑問を挙げはじめれば枚挙に暇がないが、そんな一つひとつを解決したり、ヒントになってくれたり…

    ドナの勇気と聡明さに改めて感謝したい。

    読了後どう感じるかは人それぞれだろうが、一読の価値はある!!

  • 克己心という言葉が思い浮かんだ。
    自閉症である一人の心の内を明確に描写した、非常に功績のある記録だと思われる。
    克己心という言葉を使うと、まるで自閉症であることが悪いことのように聞こえてしまうかもしれないが、そうではない。あくまで、この作品から読み取れる、ドナさんひとりの生き方に対する感想である。

  • この本は是非いろんな方に手にとってほしい。そう感じました。

    私は自閉症について何の知識もないまま今まで生活してきましたが、よく電車などで、そうだと思われる行動をしている方を見かけることがありました。
    ある日、電車内でその方は同じ言葉を繰り返したり、動き回っていました。その時はその言動が、たまたま目の前にいた男性の癪にさわったのでしょうか、男性はいらいらして怒り、一方的に言葉で責め立てた後に、「謝れ!」とののしり、その方を手で(突き放すような感じで)押したりしていました。
    周りの乗客の視線もあったので何十分かの闘いの末に、その男性は下車していきました。

    私は発達障害の存在は知っていましたが、それがどのような症状、感覚なのかが分かってはいませんでした。この本は、実際にその障害と闘ってきた著者の生の声が綴られています。
    全ての人が無理に優しく接する必要はないと思いますが、日々闘い続けている方々に対する配慮が自然とできる社会になっていけば良いのかな、と思いました。

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著者プロフィール

1963年、オーストラリア生まれ。幼い頃からの記憶を綴った『Nobody Nowhere』(邦題『自閉症だったわたしへ』新潮文庫)を1992年に発表。世界で初めて自閉症者の精神世界を内側から描いた同書は十数カ国語に翻訳されて世界的ベストセラーとなった。94年には続編の『Somebody Somewhere』(邦題『自閉症だったわたしへⅡ』新潮文庫)を、96年には続々編の『Like Colour To The Blind』(邦題『自閉症だったわたしへⅢ』新潮文庫)を発表。自閉症の分析や対応策について書いた『ドナ・ウィリアムズの自閉症の豊かな世界』(明石書店)、『自閉症という体験』(誠信書房)などの著作もある。そのほか作曲、絵画、彫刻に取り組むかたわら、世界各地の自閉症関係の講演やワークショップでも活躍中。現在は夫と共にオーストラリアに在住。

「2015年 『毎日が天国 自閉症だったわたしへ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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