アムステルダム (新潮文庫)

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制作 : 小山 太一 
  • 新潮社 (2005年7月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102157213

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アムステルダム (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • ブッカー賞受賞作。スリリングかつスキャンダラス。

  • 「百年の誤読」から。これは素晴らしかった。200頁に満たない中編小説ながら、名作映画を堪能し尽くしたような贅沢な内容。テンポのいい会話シーンも含めて、それぞれの映像がありありと目に浮かぶ。苦手意識のある海外文学で、栄誉ある受賞作品ってこともあり、ちょっと身構えてしまったけど、至って普通に楽しめました。楽しいです。

  • 訳者あとがきを読んでタイトルの意味を知る。なるほど。でも訳者は「まず本文を読んでからがおすすめ」という。たしかに。自意識のぶつかり合いが最後の15ページくらいである方向へ向かっていく。他人事だと突き放しきれない。

  • 【Entertainment】アムステルダム/イアン・マキューアン/20161104/(141/567) <211/60401>
    ◆きっかけ
    ・同著者、「【Entertainment】甘美なる作戦/Ian McEwan(村松潔訳)/20150307(31/315)<410/6646 ><R>」を読んで。

    ◆感想
    ・もともとは「甘美なる作戦」を読了して、同著者に興味を持ち、折角ならと、ブッカー賞を受賞した作品を読もうと、(丁度図書館の予約本が尽きていた頃か?)珍しく購入したものである。が、その後他の本にかかりきりになり、最近になってようやく読み始めたもの。
    ・タイトルとは裏腹に、ストーリーの最後のほうまでロンドンでの出来事。何故、アムステルダムなのかは、合法的殺人を装った相互殺人を可能とする地だから、というのには最後の最後に納得。主人公は、過去、同じ愛人を持っていた友人に、自分が愛人同様に若年性アルツハイマーになったら、殺してくれと依頼する、その友人の返答は、わかった、が、自分のその状態なら同じことをしてほしいと。結果的には、相互殺人なのかもしれないが、友人同士の約束は果たされた、と見て良いのではないだろうか。
    ・「自分がボケたら殺してほしい」、それを家族ではなく、友人に頼むということ自体、理解に苦しむが、こうした形の友情もあるのかなとも思える。
    ・彼の文体は、結構粘着質的。もとの英文では当方の拙い英語力ではまず無理。その意味で、この翻訳者の技術はすごい。しかし、かと言って、ストーリーそのものは、結構輪郭のみをなぞっている感もあり、彼の文体に読者が合わせないといけない苦労はある。

    ◆引用
    なし

  • 以前から読んでみたかったイアン・マキューアン。
    「贖罪」を探したがどこにも売っていない。本屋さんでもネットでも取り扱っていない。ようやく見つけたのが「アムステルダム」だった。

    物語は単純なもの。
    性に奔放と言えるモリーが亡くなった。
    モリーの葬儀から物語は始まり、モリーに関わりのあった男性ふたりを中心に進む。

    物語の途中でだいたいの予想はついてしまう。でも翻訳がいいのか、文章の流麗で品のある感じが最後まで惹きつける。

    物語に出てくるふたりの男性の友情。同じ女性を愛し、その女性を失い、仕事においての悩みや挫折といったものがあってと描かれているが、そもそも時期は違っても同じ女性を愛した者同士で友情が成立していることに驚きも感じる。
    男性だとわだかまりもなく友情を築くことが出来るものなのか。わたしには経験がないけれど、わたしの周囲では同じ男性を愛し合った女性同士の間に流れるものは、何とも言えない落ち着かない感じや牽制し合うような騒ついたものだった。
    男女の違いは様々で面白い。

    訳者のあとがきもわかりやすく良いものだった。
    マキューアンの作品の中ではこの「アムステルダム」は少し毛色が異なるらしいので、やはり「贖罪」が読んでみたい。でも入手出来ない。
    取り敢えず「未成年」を入手したので、次のマキューアンは決定。
    興味を持ち、読んだ後に他も読んでみたくなる作家だ。

  •  冷たくて鋭く感じる文章が物語にとてもマッチしていて入りやすかった。作曲家のクライヴや新聞編集長のヴァーノンが地位や名誉、道徳心を持ちつつも、ちょっとしたことがきっかけで坂を転げ落ちるように堕落していく様がスリリングで、自分を含む世の中の大半の"善人"っぷりというのは実はとても脆いものであると感じる。主要登場人物の男たちがモリーという女に魅了され、そのことが物語の最後の最後まで存分に効いていたことも、皮肉がきいていてぐっときた。

  • 存在している(であろう)人間の自意識は、常に自身の人間存在としての是非に向けられている。
    そしてそれが人間存在自体を奈落の底へ落としていく根本原因なのだ。

  • 開始十数ページは退屈で、ガマンしながら読みました。中盤からおもしろさがじわりじわりと出てきたように思います。
    三人称がとても合う作品でした。まるで楽曲のように、ある終点に向かってうねりながら流れていくさまが見えてくるようでした。終盤は特にそれが顕著で、解説にもあったと思うのですが、だんだんラストが分かってきたぞってなる人多かったんじゃないかと思います。
    自分も読みながら、プロの作家が書くならばラストのオチは「そうでなければならない」「そうくるに違いない」と予感めいたものを感じながらページをめくっていたのですが、また一方で「この予想を超えて、あるいは裏切ってくれたなら自分はこの本をたいへん気に入るのに」とも思っていました。
    用意されたようなオチ通りでない、読者の予想もつかないような、かつ納得のできる別の結末。そういうものが読めたらもっと良かったです。おもしろかったけど、最後はまぁそうなるよね、で終わってしまった作品でした。

  • 新作が出たのを機に再読、何げにこの作家好きなんです(といっても本作と数冊しか読んだことないですが)。
    奇妙なようで普遍的にも見える設定、人間の奇天烈さ、醜悪ぶりそして可愛らしさ等をわずか200ページ程度で豊かに語っている。
    読者に考えさせつつ、楽しませることも忘れない。間違いなく一級の作品かと思われます。

  • 面白かった!!
    最後には、もう、ストーリーの展開はどうでも良くて、イアン・マーキュンの文章を読んでいることで満足してた。小説を読んでいてストーリーがどうでもいい、って初めての経験。とにかくマーキュンに魅了された。

  • 非常に綿密に作曲家の仕事を書いているのは作者に素養があるからだろうか?モリーという女を取り巻いたエリートたちが陥る運命は、果たしてモリーと関係がどれだけあったのか?どちらにしろ、高度に大人の小説でありこのような生活に浸かっていない私にはなかなか感情移入が難しかった。ブッカー賞だそうだが、この複雑なストーリーをこの長さで書く事はやはり賞賛に値するのだろう。

  • ある女性の死をきっかけに、かつて関係していた男性達の人生が少しずつ狂っていく様を描いている。だけ。

    だけ。なんだけど、その緩やかな変化をとても綺麗に書いている。
    作中に交響曲の作曲について何度も触れているが、まさに打ち合わせのない交響曲といったところ。多種多様な楽器が指揮者に操られながら見えないラストへ進んでいく様子は流石でした。

  • 面白い。だけれど作曲家が主人公の一人だから音楽についての文がわかりにくいところもあるので、クラシック音楽好きか、皮肉を含んだ海外ドラマ好きに薦めても、日本らしい小説が好きな人にはおススメできない。

  • マキューアンはいつからこんな洗練された作家になっちゃったの? 初期の作品から受けたような衝撃は感じなかったです。

  • アムステルダムの医師なら出来る、尊厳死の使い方…
    ラストの行方はお互い合意していたのかしていなかったのか。

  • 強烈。ひどい状況が、どんどん凄まじくなっていく過程がすごい。ここまで!こんなにも!うわぁーーと叫びたくなるほどの結末。

    山歩きのシーンで創作過程を邪魔されて、もう少しで手に入りそうだった「何か」が逃げていきそうなところの描写など、とてもリアル。

    どっぷりとイアンマキューアンの世界に引き込まれました。

  • 人間の本質を描いているようでぞくっとするが説明が多くて暗い印象。

  • <数々の愛人関係を築いてきた女性モリーの死。
     彼女の遺した写真が巻き起こすスキャンダルは
     大臣や編集長、作曲家などの高い階層の人々を巻き込んでいく。>

    著:イアン・マキューアン

    ブッカー賞受賞作。
    200ページほどでありながら、それほど真新しくない筋でありながら、
    めちゃめちゃ知的な文体が読者を物語の中へひっぱります。

    これはかっこいいわ。

    でも他の著作はもっと気持ち悪かったり、衝撃的だったりするらしい。

    次も読んでみよう。

    ・・・なんかレビューになってないね 苦笑
    読んで時間をおいて書くもんじゃないわ。

  • 98年ブッカー賞受賞作品。

    前半部分は筋がいまいちつかめず、気が付いたら要所だったという急展開で多少辟易していたが、後半は流れに乗ってすんなり読むことができた。

    主な主人公である二人の男性の共有(?)愛人であるモリーが亡くなったことにより、二人の独善的な道徳観がむき出しになり、社会的破滅へと追いやっていく。

    各個人は、大義だったり建前だったりと道義的精神に乗っ取って行動しているつもりだが、その二人言動を第三者的視線(読者)からみると偽善性が浮き彫りになる。しかしこれは他人事ではなく、人はみな自分の経験や地位や社会という尺度によって物事を判断していることを忘れてはならない。本書はその矛盾を鋭い視点で描写している。

  • マッチョな小説である。奔放な女性モリーが亡くなった後、元恋人だった3人がモリーが残した写真を中心に、複雑に絡み合う。

    その3人のうち作曲家のクライヴと新聞社の編集長のヴァーノンが本書の主役である。ふたりともかなり俗物的。そしてそのエゴがぶつかり合う先は…

    醜悪なストーリーであるが、ところどころに見られるマキューアンの描写はさすがである。例えばクライヴの作曲しているところや、ヴァーノンと部下のフランクとの間の微妙な力関係の移動を伴ったやり取り、クライヴの山歩きのシーンなどである。こららがこの作品を下品に落ちるところから救っている。

    「贖罪」に比べれば完成度は低く感じるが、面白いことは面白い。

  • 資料ID:C0026697
    配架場所:本館2F文庫・新書書架1

    エルサレム賞

  • イアン・マキューアンにはずれはありません。
    僕にとってはお気に入りの現代作家の一人。どういうわけか体質?的にイギリスの作家はしっくりきます。小説の世界にすっくり入っていけるわけです。
    この著者の作品には粘着質的な文体もありますが、本書はドライでシンプルかつエレガント。題材は相変わらずショッキングなもの(合法的な自殺を装った相互殺人?)を取り上げていますが、そこに辿り着くまでの道行きが物語の中心です。それはひとりの女性を巡る三人の男たちの輪舞であり、それぞれが若かりし頃、彼女と関係を持ち、現在は社会的に成功をおさめ、地位や名声、お金を手にしてますが、若年性アルツハイマー病で?亡くなった彼女の無残なまでの死に様を目の当たりにし、そこに自らの死の面影を見いだしてしまいます。
    やがて男たちのうち二人が、いくつかの偶然や互いの思惑違いから軌道を外し正面衝突します。
    当初は破滅させられそうな状況だった男が結局は生き残るのですが、もちろんそれなりの代償を払ってのことです。彼が一番嫌なヤツで嘘つきであるにもかかわらず、もしかしたら亡くなった女性と付き合っている当時、一番正直だったのではないか。自分や彼女に対し・・・読み終えた後、僕はそう想像せずにはいられません。こうした余韻に引きづられるのも小説を読む楽しみなんでしょう。

  • 友情が少しずつ欠けていくところは引き込まれる。それ以外の部分はイマイチだった、

  • 一人の恋多き女性の死によって、歯車を狂わせた男たちの物語。

    かつての恋人の葬儀で振り返した嫉妬と敗北感が、ボディブローのようにじんわりと男たちの冷静さを失わせる。
    彼らは似た者同士だけに、友人関係が壊れた時は辛辣だ。
    他人の道徳的立場を分析するように自己を認識することができないのは普遍的な人間の弱さなのか。
    社会的地位がある人でも、堕ちる時はあっけない。
    そんな彼らを見て静かに微笑む男のしたたかさこそが勝者の条件であるとしたら、何とも苦い世界である。

  • へぇー、というシュールなエンディングだった。
    アムステルダム、ていうかオランダの人は何も文句言わないのかしら。日本だったら面倒なこと言われそう。

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