フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

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制作 : Simon Singh  青木 薫 
  • 新潮社 (2006年5月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (495ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102159712

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フェルマーの最終定理 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 数学が苦手でも楽しめます。フェルマーの最終定理に魅せられた数学者アンドリュー・ワイルズの挑戦、紀元前からの数学の歴史、若くして亡くなった天才数学者。などなどドラマがいっぱいでした。
    自分一人では答えの出ない難問を、過去や現在の成果を駆使して証明を積み上げていく様子は感動します。また逆に、難問に挑戦していく過程で数学的に非常に重要な発見がなされて行くのもわくわくします。

  • 数学や数学者の生き方の面白さを存分に味わえるノンフィクション。面白いとは聞いていたが、こんなに面白い本とは思わなかった。

    フェルマーの最終定理とは、3 以上の自然数n について、xn + yn = zn となる 0 でない自然数 (x, y, z) の組が存在しないとする定理。
    リーマン予想とは違い、命題内容そのものは単純。17世紀にフェルマーという数学者が予想。しかも、フェルマーは「私はこの命題の真に驚くべき証明を持っているが、余白が狭すぎるのでここに記すことはできない」という言葉を残している。しかし、3世紀を経ても、この問題は解決されず、1993年アンドリュー・ワイルズによって、やっと完全証明がなされる。本書は、そこに至るまでの幾多の数学者の数々のドラマを描く。

    この命題の証明は、とてつもなくやっかいだ。命題が偽であるという証明は、この式が成立する解(反例)を示せば良い。しかし、この命題が「真だとすると、少なくとも反例を挙げるという明快な証明方法はなくなってしまう。つまり、フェルマーの最終定理が真だったとしても、それを証明する方法が存在するとはかぎらないのである」。
    1980年代、イリノイ大学は n=4百万まで該当する自然数が存在しないことをコンピューターで計算したが、それだけでは証明したことにはならない。また、該当する自然数が有限数であることを証明した数学者もいたが、これも証明には至らない。

    フェルマーの最終定理の証明には、日本人数学者の谷山=志村予想が重大な役割を果している。ワイルズは、この予想を使い背理法と帰納法で最終定理を完成している。ただし、残念なことに谷山=志村予想は難解。「すべての楕円方程式はモジュラーでなければならない」と書かれても、全く分からない。しかし、本書は敢えて、詳細な説明を避けている。要は、この証明がわからなくとも、本書の面白さは全く減ずることはない。
    本書の主人公は、最終証明に成功したワイルズだが、3世紀にわたって登場する数学者たちの生き方、友情、運命は、フィクション以上のすごさがある。
    また、フェルマー定理以外でも、数学の楽しいエピソードが紹介されている。青木薫さんの翻訳も素晴らしいと思う。

    読み終えるのが、もったいないと思えるような稀有な本。絶対お勧めの★5つ。

  • 数学者達の350年に渡る難問「フェルマーの最終定理」の挑戦を書いた本。
    数論や数学に特に詳しくなくても読み進める事が出来た。
    この一冊を読んで数学への興味が再沸騰した人も少なくないのではないだろうか。

    アンドリュー・ワイルドが証明するまでの道のりは決して平坦ではなかった。

    歴史的講義の終了の瞬間まで、まるでそこにいたかのような臨場感があった。

    個人的にはやはり日本人なので、谷山志村予想の章は食い入って読んでしまった。
    若くして自ら命を絶って谷山には残念でならないが、日本人がこの世紀の数論に一役買っていたのは嬉しい。

    著者、サイモン・シンのこれが一冊目とは信じられない完成度で自作の「宇宙創成」なども是非読んで見たい気になった。

  • 積読状態だったものを読破。

    これはもう本当に素晴らしい一冊だった。

    数学、数論という非常に難解な世界を、
    その誕生から遡り、一般読者にも分かりやすいよう丁寧に説明しながら、
    本書のゴールであるフェルマーの最終定理の証明まで、一切飽きさせることがない。
    むしろクライマックスに近づくにつれ、益々読者を引き付けていく。
    最初の証明から破綻、そして再証明まで、ワイルズの心情が真に伝わってくる。

    本書、そしてフェルマーの最終定理証明までの物語は、
    どんな人にも薦められる、素晴らしい人類の財産だと思う。
    そして、物語の中核に多くの日本人が関わっていることが、
    同じ日本人として非常に嬉しく誇らしい。

  • 数学者の思考回路や判断基準が少し分かった気がする。
    今後、このような証明問題はAI利用の最たるものと考えると、数学者はどこに活路を見出すのだろうか?
    将棋の世界とは違って人間性とか美意識なんかは数学の論理には必要ないし、、、

  • 見た目はピタゴラスの定理とほぼ同じ、2乗がn乗に変わっただけ。中学生でも理解できる等式、それがフェルマーの最終定理。これを満たす自然数解はないとフェルマーは本の余白に書いた。そこから一流の数学者を悩ます長い350年が始まった。
    これはある種、宝探しである。宝(自然数解)を見つけても、宝がないことを示してもどちらにしても名声を手に入れることができるはず・・・。
    フェルマーの最終定理完全証明までの苦闘、諦め、誤り、協力、発見、挫折そして達成と証明者のワイルズだけでなく過去、現代の偉大な数学者、証明の大きな礎となる予想を立てた日本人数学者までその功績を証明の過程に合わせてわかりやすく説明している。
    日頃、物理の世界については本なども多く読むが、数学の世界にも魅せられる部分があることに気付かされた。
    中学生の時、角の三等分線を目盛りのない定規とコンパスでは作図できないと教えてもらい、それでも夢中で試行錯誤したことを思い出した。(鋭角を三等分できれば、どんな角でも三等分できることまではわかったが、肝心の鋭角の三等分線は結局というか当たり前のごとくできなかった)
    そんな無邪気な好奇心を持って、もう一度数学を勉強したくなった。

  • 数学は得意でも不得意でもないですが、細かく説明してあるから誰でも読める。
    むしろ、数学の説明よりも数学の歴史的背景の方が滅入ってしまった。(私事ですが、社会が苦手なので。)
    この本には、フェルマーの最終定理以外の事も書かれている。
    フェルマーの最終定理に大きな一歩を踏み出した人がした証明の数々、世に与えた新しい概念とかそういう風に蜘蛛の巣状に色んな情報が詰まっている。別に関係無いんじゃないかとも思ったが、数学者たちの完璧主義な証明、誰にもなし得無かった証明に取り組む高鳴りとかを感じさせる土台になっていると思う。
    きっと、数学の定理や考えは誰かが見つけ出して多くの数学者による正確さの元に現在まで伝わってきて、私たちにはその中身だけを教えて貰ってるんだと感じられるはず。
    沢山の方法を試された中の、一番最短の求め方を。なんの努力なしで。
    数学に興味がなくても、一読の価値有り。

  • 『x³+y³=z³において指数がn=3以上になると、これを満たす整数解は存在しない。』
    有名なフェルマーの最終定理であるが、実は固有名詞として知っていたけれど式は忘れていた。
    この定理が有名なのは、フェルマーがこれを明示し、さらに「私はこの命題の真に驚くべき証明をもっているが、余白が狭すぎるのでここに記すことはできない」
    と書き記したからだ。
    以降あまたの数論学者が解き明かそうとしたが、350年間解けなかった定理をアンドリューワイルズが8年間を費やして証明するに至る、ドキュメンタリー。
    難しそうな話が続くのか思いきや、これがなんと感動のドキュメンタリー。
    数学に全く興味のない人はそもそもこの本は手に取らないだろうから、ホンの数学初心者でも判りやすく面白く描いている。
    ピタゴラスの定理からドイツ暗号解読で有名なエニグマ機まで話題は幅広い。
    また日本の数学者が提唱した「谷山・志村予想」が解明に大きく寄与していた等、日本人の活躍も詳しく描写されているのも嬉しい。
    読み応えありました。最初の章でいったん解き明かしたと思いきや重大な不備が発覚、どうなってんねん、どうすんねん、と思いページをめくると、次章からフェルマー以前からの数論の歴史。フェルマーも含めた数々の研究者の紹介(変人多し)と構成も上手い。
    1年以上かけて不備を解明していく過程、そして最後のヒラメキ!不覚にも涙が出ました。
    偶然見つけた本なんだけど固い内容の割にレビューも多い。
    みんな面白い本上手に見つけるんだね~。

  • 【新潮100冊】
    「私はこの命題の真に驚くべき証明をもっているが、余白が狭すぎるのでここに記すことはできない」

    3世紀に及んで証明されることのなかった不屈の予想問題、数論学界最大の魔物『フェルマーの最終定理』に挑んだ数学者たちの苦闘をドラマティックに描いた数学ノンフィクションです。
    さまざまな数論問題や数学テクニックが登場しますが、数学に興味がない人でも飽きなく読めるように充実した巻末補遺と丁寧にかみ砕かれた説明がされています。
    特筆すべきは青木薫さんの名翻訳!流れるような日本語と限りなく正確で優しい言葉選びに惚れぼれとしました。もうとにかく読みやすいし面白い!

    ピュタゴラスやユークリッド、オイラー、ニュートンといった有名な数学者・物理学者たちの人間的な部分に触れているところも良かったです。そして、そんな歴代の勇者(数学者)たちが門前払いにされてきた『フェルマーの最終定理』がいかに難攻不落の難問か・・・。さながら少年ジャ○プの熱い冒険ファンタジーを読んでいるかのような高揚感と感動を味わえる一冊でした。

    わたしにとって2014年ベスト3間違いなしです(灬╹ω╹灬)

  • おっもしろかったー。
    最初は図書館で借りて来て読み始めたのだけど、あまりにも面白いのでさっさと返して急遽購入致したました。
    数の世界は美しくて残酷。数学者って絶対ロマンチストだよねぇ…
    知識が算数レベルで止まってる私でも大変楽しく読めたので、そういう意味でのハードルは全く高くありませんよ。おすすめ。

  • 350年証明出来なかった「フェルマーの最終定理」を数学者ワイルズが証明に至るまでを描いたノンフィクション。

    紀元前にまで遡って数学についての歴史や、ピタゴラスやフェルマーがどういう人だったのかまで語られていて面白いです。
    また、ワイルズ以前の人達がどういう失敗をしたのか、ワイルズが用いた手法とはどういうものなのかまですごく分かりやすく、かつドラマティックに解説してくれるので、読んでるこっちも熱くなります。
    さすがドキュメンタリー番組を作った人が書いただけあって、とても話の流れが上手い。

    そもそもフェルマーの最終定理ってなんだっけ、って位の私でも証明のキーポイントは分かるし、どれだけすごい事なのかが伝わるところがすごい。

    途中、「数そのものを定義する」と言い出した辺りから「数学者、めんどくさいなw」と思ったが、こういうところに視点を持っていって問題意識を持つことで、数学者が見ている世界は私とは全然別の世界なのかもしれない、と思った。

    論理的パラドックスの話なんかを読んでると頭痛がしてくるし、谷山=志村予想がフェルマーの最終定理と結びついているという証明のステップについてとか、何を言ってるのかさっぱりわからない部分もあるけども、それが分かる人は世界でも一握りしかいないらしいので諦めが付きます。

    「まったく愕然としましたよ。(M)構造のガンマ・ゼロを加えるだなんて、こんな簡単なことに気づかなかったなんて」

    言ってることの分からなさ加減に愕然としますよ。

    そういった専門的な事が分からなくても楽しめるのがこの本のすごさだと思います。
    おすすめしてもらったのですが、読んでみて良かった!ヽ(´∀`)ノ

  • これは素晴らしいわ。今まで読んだ本の中でトップ10に間違いなく入る。数学、とりわけ数論の話なんやけど、分からんなりに分かるし、ガウスとかテイラーとかオイラーとかフーリエとか馴染みのある(公式や定理として)レベルの人が登場人物になってたりするのも面白い。なんとか畑でつかまえてとか、若い時に読んでおきたかったとか言うけど、これを中学とか高校の時に読んでたらやばかった。知的興奮だとかロマンだとか、私が大事だと思うものがたくさん詰まってた。いやはや面白かった。オススメってレベルじゃなく、無理やり買って読ませるレベル。

  • もっと早くに読んでおきたかった。出来れば高校生の時かな。
    歴史小説と言っても良い感じで、各人の人間性も特徴も踏まえた記述で読みやすかった。ワイルズも凄いけど、なんと言ってもここまで読みやすくした作者のサイモン・シンと訳者も凄い。

  • もともと数論的なものは好きなのですが。
    残念ながら頭がついていかないので専門的な本は読めないし、
    かと言って暇つぶしの「頭を使う本」みたいなのは物足りない。
    という私には非常にぴったりの本でした。

    サイモン・シンの一冊目ということで読んだのだけれど、
    やっぱり面白い。
    カール・セーガン亡き後、
    今一番追いたい(広義の)ライターです。

    もちろん「フェルマーの最終定理」という言葉は知っていたし、
    これまでの人生で何か耳にした記憶は朧げながらあったのだけど、
    そうですか、証明されたんですか。
    感慨深いです。

    本そのものの事を書くと、
    やはり第一作目なためか、
    構成がすごく練られている感じがする。
    フェルマーの最終定理が生まれた時代、
    そもそものフェルマーその人から現代のワイルズまでの
    フェルマーの最終定理を巡る歴史と、
    ワイルズが幼少の頃から証明を果たすまでの彼の人生を
    オーバーラップさせてある点、
    またワイルズが定理を証明するシーンの盛り上げ方、
    そういった作為的な演出に
    なんとなくサイモン・シンの気負いのようなものを感じる。
    この気負いや作為は以降の著作では感じられなかったもの
    (以降二作はより自然な構成だが、
    その分ちょっと冗長になっている部分もあったかもしれない)。
    でも決してそれは悪い意味ではなく、
    その演出はとても上手に機能しています。
    特にラスト近くのワイルズの最初の失敗から一年後の成功までの行(くだり)は
    本当にドキドキして、
    成功したと知った時には心から喜びが湧き上がったくらい。
    一冊を通じてワイルズという人間に感情移入が多少あったのもあるのですが、
    やはりね、こういう大きな謎が解かれた時代に生きているという喜び、
    これが大きい。
    だって証明できなければ、
    あれだけ歴史的に盛り上がったフェルマーの最終定理は、
    実はガセだったのかもしれないという
    つまらない結末の可能性を抱えたまま
    人生を終わらなくてはならないのだから。

    最後に、サイモン・シンはフェルマーの最終定理なき後の
    謎は何かについて言及しています。
    なかなか面白い候補も挙がっていたのだけれど、
    個人的にはですね、
    ワイルズが20世紀の数論を駆使してようやく証明したフェルマーの最終定理を、
    フェルマー自身は如何に証明したのか?
    という謎に興味があります。
    フェルマー勘違い説もある中、
    私は、実はこれまで300年間の様々な人が見逃していた、
    17世紀の数論知識で可能な証明がある、
    という方にかけたい。
    だってその方がロマンがあるじゃないですか。
    世の数論学者の皆さん、
    頑張ってください。
    願わくば、
    私が生きている内に。

    ところで訳者の青木薫さんって女性なのね。
    素晴らしい。
    数学系って(本人は理論物理学者さんらしいが)男性が多いので、
    同性として嬉しい限りです。

  • 数学の歴史を扱う本としては、かなりドキュメンタリーよりの構成なんだろうと思う。
    出てくる数学的知識は最低限だし、必要であれば巻末にある補足を読めばいいし、数学と言うより歴史と人物に焦点を当てた一冊である。

    が、読んで非常に疲れた。
    最低限でもよくわかんないものはわかんないのだ。

    数学ってのは、私たちが生きている世界に寄り添っている別の世界あるいは宇宙で、
    才能を持った一部の人間がその世界の奥深くに潜り込める。
    人によって数学世界の様子も変わり、同じ景色を見ている者はごく一部。
    世界のすべては、普段は見えない「数」に支配されている。

    そんなことをぼんやりと考えた一冊。

  • 数学は苦手だけど、この本は楽しく読めた。

    フェルマーの最終定理を軸として、
    数学の歴史や数学者のエピソードなど。

    今まで触れてこなかった分野なので新鮮だった。
    この本に出会えて良かったと思う。

  • 三世紀もの間、誰も証明出来なかった難問「フェルマーの最終定理」が証明されるまでの物語。

    学生時代から数学どころか算数も苦手だった人間(年々苦手意識は増すばかり)でも楽しめる凄い本。
    面白いと感じるのは難問に向かう数学者の知的好奇心。
    ただただその問題を解きたいというだけの純粋な欲求が、この本の中でキラキラ光っている。

    もちろんこの物語の本当の輝きは、証明の内容なんだろう。
    でも、証明の内容が分からなくても、本に出てくる数学者のことを全く知らなくても、それでもこんなに引き込まれてしまったことに凄いの一言だ。
    著者の力はもちろんのこと、訳者も素晴らしいと思う。

  • かなりベストセラーになったので読まれた方も多いと思いますが、私自身、実はずっと以前に単行本を購入し結局読まず引越しの際に処分をして、その後文庫版を購入したもののまた読まずに本棚に放置してあった本。
    最初に読もうと思ってからもう10年以上も経ってから読んだ訳ですが、一言で言えば「こんな面白い本をなぜ読まないでいたのだろう!」という感想。
    翻訳も良いのでしょう。読みづらいところは全くなく、展開に引き込まれてかなり一気に読んでしまいました。

    「3 以上の自然数 n について、xn + yn = zn となる自然数の組 (x, y, z) は存在しない」という文系の私でも理解できる内容ながら、17世紀のアマチュア数学者フェルマーが「私はこの定理について真に驚くべき証明を発見したが、ここに記すには余白が狭すぎる。」という言葉とともに残し、350年間も誰も解けなかった定理を巡る歴史が極上の「物語」とした描かれている。
    文句なしの星5つのエンターテインメント・ノンフィクションでした。

  • 難解かつ専門的な概念や用語を極力使うことなく、高度な数学の世界で繰り広げられていた数々の偉業や試行錯誤を実にドラマティックに綴り、門外漢の我々にも充分呑み込めるように仕上げている技術の凄さたるや。
    自身も、まだ今よりは脳味噌が働いていた10代当時の気持ちなどを想起し、なぜだか懐かしいような思いを抱いた。
    本書にも、数学の分野で大きな仕事を成し遂げるのは実は若い時がほとんどだ、という趣旨のことが書かれているが、なるほど、物事の本質や根元に迫る直観的な着想は経験等で補えるものではなく、可塑性が高いフレッシュな脳だからこそできるのだな、とよく分かる。
    老いさらばえ、錆びついた愚脳が恨めしくなる。

    フェルマーの最終定理はかくして証明に至ったという事実は分かったが、著者も述べているように、それは20世紀のテクニックと知識を駆使した結果で、17世紀にフェルマーが考え付いたと主張するプロセスとは間違いなく異なる。
    証明が成立したとはいってもその謎はまだ残っているし、これも書中で披瀝されているが、まだまだ数学には一見単純そうでも未証明の予想がいくつもあるという。
    数学も物理学も天文学も哲学も生物学も文学も、突き詰めていけばその根っこは実は1つにつながっているのではないかという気がしているが、そんな世界で純粋な謎に挑み続ける学者たちの生き様は本当に価値あるものなのだと改めて感じる。

    最後に、訳者の仕事も相当なものだと思う。

  • 感動しました。
    数学者の意地と根性。夢を追う姿に感動。
    おかげで、数学マイブームで数学を再度勉強しはじめました笑

  • 数学とはただ計算をしたり、図形やグラフの問題を解くだけではないし、自分が知っていないだけで身の回りには数学を応用した機械や仕組みで豊かな生活を送ることができている、さらに数学の問題や証明の際の考え方は、数学以外のことにも役に立つ…このような認識でいた。
    この本は、予想以上だった。歴史、情熱、夢、絶望、好奇心、人生をかけて難題に取り組む人もいれば、思想や時代に妨害されて数学に専念できなかったのに、功績を残している人もいた。
    数学的証明は、一つでも該当しないものがあれば真の証明にならない。かといって、無限にある数を一つずつ計算していってはいつまでたっても証明はできない。背理法、帰納法、それにワイルズが用いた、志村=谷山予想を証明することで、フェルマーの定理も真であると証明するように、別のものと組み合わせて考えていく方法もある。日常生活で悩んだり困難なことが起きたら、ずっとその悩みに正面から向き合うだけじゃなくて、否定してみたり、特殊の中から不変の要素を見つけてみたり、まったく別の分野の物事からアプローチしてみたり、そんな考え方は参考になるし、そんなことができる人間の思考も無限なんじゃないか。
    目には見えないし二次元に表現すらできないけれど、確かに存在するものがあること、そしてその数学に情熱をかける数学者がいることに感動する。

  • 数学の面白さ、人類の歴史を積み重ねることの尊さ、理論を統一することのロマンを存分に味わうことができる素晴らしいノンフィクション小説です。数学の知識がない人、数学が嫌いな人(私もです)にも数学って面白い!という気持ちを喚起させる著者の技量に感服です。数学の魅力は不確実性の一切ない純粋な論理の結晶であることだという説明に心から納得させられてしまった。そしてなにより時代を超えた多くの人々によって知識が受け継がれ深められていくことの尊さを実感します。たくさんの悲喜交々のドラマや運命が歴史として積み重なっていることに深い感銘を受けずにいられませんでした。人間には負の側面も多くありますが、本書には人類の営みの素晴らしさが詰まっています。

    本筋から少し外れた部分ですが、コンピューターによる数学の証明に関する話は別の意味で興味深かったです。いまでは人工知能が広く一般の話題になり機械が人間の知力を超えるということが現実になりつつありますが、数学の世界では20年近く前にいち早くコンピューターが人間の創造力を超える事態を目の当たりにし、その強力さと不気味さに直面していたということに驚きました。コンピューターが行った数学の証明は人間の力では審査できず別のコンピューターで再現性を確認しただけで受け入れるしかなかった、という話は今後の人間と機械の関係を示唆しているようで恐ろしい。フェルマーの最終定理の証明は人類の叡智の結晶だったが、科学を含めた文明の発展の担い手は今後人間からコンピューターに移ることになるのだろうか。

  • 昨年初めに購入していたのに、積読本の仲間入りをしていたもの。マイケル・サンデルの『これからの「正義」の話をしよう』が、思いのほか難解だったので、少し抵抗があった。やっと読む気になって、読んでみると・・・凄い!読み進むうちに加速度がついて話に引き込まれていく。もう、感動ものですわ。難しい数学の題材を、ここまで面白く書けるものだろうか?歴史、文化、人間性すべてを語りながら、数学の本質を伝える作者の力量に完敗。それを損なうことなく、翻訳した訳者の方も素晴らしい。私は、M.C.エッシャ―が大好きで、彼の作品を丸一日眺めていても飽きないのだが、数学の概念(双曲空間)を作品のなかで表そうとしていたという記述と、「サークルリミットⅣ」の挿絵を見て、それだけでワクワク。日本の数学者の名前が出てくるのも嬉しいし、その他逸話ももちろん面白い、。時々最先端の数学が出てきて「ん?」な箇所もあるが、読み飛ばしてもなんら問題ない。サイモン・シン氏の著書は、あと3作品あるようで、読んでみたくなった。

  • みんなご存知
    x^2+y^2=z^2
    はピタゴラスの定理
    これには整数解があり、三角形の辺長を求めるのにも使いますよね。

    では
    x^n+y^n=z^n (ただしnは2より上)
    の解は?
    上記の数式には整数解がない

    としたのが、フェルマーの定理

    面白いのが、フェルマーは本数式の余白に
    「本定理の証明を発見したが、余白が少なすぎて記述できない」
    という憎たらしい置き書きを残して世を去った。

    それから300年以上。
    様々な数学者が証明を試みたが、この定理が証明されることはなかった。
    しかし20世紀。アンドリュー・ワイルズがついに証明を果たした。

    その定理と数学者たちのロマンの物語。

    数学の中でも実用性や応用性に乏しい「数論」という人の興味をそそりにくいテーマでここまで面白い本を書き上げた著者および数学者たちの情熱が素晴らしい。

    とても面白い本でした。

  • 数学者アンドリュー・ワイルズが証明した3世紀にも及ぶ数学の謎、「フェルマーの最終定理」。この謎めいた定理に魅せられた数多の数学者の生きざま、そして数学という学問がどのように発展してきたかをドラマティックに描いた傑作。

    本書を読むことで、数学という学問の歴史を辿ることもできるし、3世紀もの間、数多もの数学者がこの難問にチャレンジし、少しずつ証明に近づきながら同時に数学の新たな発展に寄与し、最終的に一人の天才アンドリュー・ワイルズが証明を完成させる様は、決して数学に興味がある人間でなくても感動させられる何かがある。

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フェルマーの最終定理 (新潮文庫)の作品紹介

17世紀、ひとりの数学者が謎に満ちた言葉を残した。「私はこの命題の真に驚くべき証明をもっているが、余白が狭すぎるのでここに記すことはできない」以後、あまりにも有名になったこの数学界最大の超難問「フェルマーの最終定理」への挑戦が始まったが-。天才数学者ワイルズの完全証明に至る波乱のドラマを軸に、3世紀に及ぶ数学者たちの苦闘を描く、感動の数学ノンフィクション。

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)のKindle版

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