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暗号解読 下巻 (新潮文庫 シ 37-3)

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制作 : Simon Singh  青木 薫 
  • 新潮社 (2007年6月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102159736

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暗号解読 下巻 (新潮文庫 シ 37-3)の感想・レビュー・書評

  •  タイトルの通り、暗号に関する本。単純に文字を何か別の文字と置き換えて作られる暗号(たとえば、i am andoの各文字を右隣のアルファベット入れ換えてjbnboepとする)からRSA暗号や量子暗号まで、暗号の歴史と進化がわかりやすく丁寧に書かれている。
     
     この前情報処理の試験受けた時も暗号に関する問題とか出てて、「公開鍵とか言ってるけど、鍵公開したらヤバない?解読されてまうやん」とか思ってたけど謎が解けました。要は、逆なんですね。公開鍵で暗号化して、自分だけが持ってる秘密鍵で解読する。この謎が解けるのは下巻の前半あたりw あと面白いと思ったのは、大戦時にアメリカ軍が、ジャングルに住む民族の言葉を情報伝達に使って、敵に情報がもれないようにした話。未知の言語は、それを使う人にとっては単なる言葉だけど、知らない人にとっては暗号そのものなんだなと。そういう暗号のかたちがあるというのは予想してなかった。
     
     少し一般的にいうと、やっぱり「読めるけど読めない」もどかしさは暗号の魅力ですね。暗号は必ず解読の鍵を知っている読み手がいて、その読み手はすぐに読めて意味を取れるけど、それ以外の人はその読み方を一生かかっても見つけられない。
     なんか現代アートと似てるなとか思いますね。作品の背景とか文脈を知っていると、たしかにすごい作品だというのが理解できるけど、そうじゃないと何がいいのか全然わからん。まあ理解できるorできないのレベルで言うたら、だいたいが暗号と同じようなものになるんやけど。たとえば、「ワンチャン?ノーチャン?フルチャン!」とか人によっては暗号にしか見えないだろうし(ちなみに、ぼくが解読する限り「やる?やらない?やる!」の意味)。
     とはいえ、アートや若者言葉と暗号との違いは、暗号が本質的には情報を隠そうとするところかなと。アートや若者言葉はわかりにくい表現を用いることで他の表現では伝えられない情報を伝えるものであるのに対して、暗号は元の文(平文)以上の情報を伝えようとはしない。そういう純粋な秘匿性が、暗号を魅力的にする…というとまた不純なものがひっつきそうなのでやめときます。

     感性的な魅力は抜きにしても、情報管理には気をつけないといけない現代に、暗号の進化の歴史を知っておくことはわりと意味のあることかなと思います。
     あと、巻末に暗号問題が付録されていたから、また時間あるときに解きたい。

  • 最後までワクワクしながら読めました。巻末の暗号とその解説までついていて今も続く暗号と解読のいたちごっこが垣間見えました。

  • 上巻に引き続き、第二次世界大戦後の暗号作成と解読(主に作成側の発展が大きい)ならびに今後の展開に関して記載されている。

    上巻同様、ボリュームがあり、かつ難解な数式を使用せずとも理解できる内容で例えも交えながら暗号方法が記載されておりとても満足できる内容。

    ナヴァホ暗号
    * エニグマなどの電気機械式暗号はかなりの安全性を保証してくれるものの、ものすごい時間がかかる点で戦争中には有効ではなかった→ナヴァホ暗号をアメリカ軍は代わりに用いた
    * 送信者は一連の通信文を受け取り、それを英語からナヴァホ語へ翻訳して送信する。受信者は、記憶してある用語集とアルファベットを使いながら通信文を英語に戻す
    * ナヴァホ暗号の成功は、ある者にとっては母語であるものが、それを知らない者にとってはまったく意味をなさないという単純な事実による→日本軍はナヴァホ暗号を攻略することができず戦争の情報戦に破れた

    【戦後の暗号発展と今後】
    ①DES(Data Encryption Standard)暗号
    ・戦後、コンピューターの誕生により、暗号をかける対象はアルファベットではなく二進数の01に対してと変化。
    ・暗号自体は転置式or換字式のまま

    ②公開鍵暗号の誕生=鍵配送問題の解決
    ・今までの暗号は全て対称暗号(暗号化鍵と複合鍵が同じ)であったため、暗号鍵が敵の手に渡らないように細心の注意を払う必要があった=鍵配送の問題
    ・しかし、非対称鍵暗号(一方向関数による鍵)の導入により鍵配送の問題が解決されることに

    現在使用されている一方向関数は素数の積:素数の積の数を素因数分解することは現代の数学では容易ではないため、個別鍵の特定はほぼ不可能。世界中のコンピューターを使用して演算したとしても数千年以上かかる
    →事実上、解読不可能な暗号システムに。ただし、現在のコンピュータの処理能力をはるかに超える量子コンピューターの誕生により解読される可能性が残されている

    ③量子コンピューター
    ・量子的な重ね合わせの状態を用いることにより、現在のコンピューターが1つずつ処理しているタスクをまとめて一気に処理できるように→まだ実現化されていないがもし実現されれば、公開鍵暗号に用いられている素数の積の素因数分解を瞬時に行えるようになる=暗号解読が一瞬で可能になる。

    ④量子暗号
    ・今までの暗号作成は暗号の複雑さの方が上だという事実だけを論拠にしていたが、量子暗号の場合は、原理的に解読不可能な暗号
    ・伝送する情報の量と同じ長さの秘密鍵を送信者と受信者が共有することで初めて可能になる。この秘密鍵の共有を量子状態の特性によって実現し盗聴されても暗号は破られないどころか、盗聴を検出可能になる


    現在は、RSAシステムによる公開鍵暗号方式により暗号作成の方が暗号解読より優位に立っている状況

  • 自分の書いたものを、読んで欲しくない人が読めないという事実。それがどれだけ安心をもたらすのか、改めて考えさせられました。

    「RSA」の意味もわからず、メールを暗号化するために使っていたころ、それがどれだけ画期的な暗号だったかを知らずにいました。
    今のところは、解読できない暗号があることが前提の社会ですが、実は、静かに解読の方法を見いだしている人がいるのかもしれません。

    太平洋戦争のころ、日本の暗号が解読されていたという事実は、暗号が解読され続けた歴史の中の一部です。
    これを読むと、かつての日本の敗因が、敵を侮ったことも、物資が足りず補給ができなかったことも、精神論に偏ったことも、すべて次元のちがう話だったのでは、と感じます。

    考えていることが、筒抜けになっているという事実に気がつかなかった、ということがすべて物語っているのでは、と。

  • なんとも、難解で、読んでいて頭が痛くなった。暗号作成、解読を巡る人間の歴史は面白みを感じたが。

  • 下巻はけっこう難解で(特に量子暗号
    )、思った以上に読むのに時間がかかった・・・
    読んでいて「ん?んん??」と思う所が出てきてもその後に必ずといっても良いぐらい例え話が出てくるので、そこでおおよそ理解することができました。
    この著者の例え話の上手さには感心するものがありますね!
    『フェルマーの最終定理』を読んだ時にも思いましたが、物理とか数学がそれほど得意でなくても楽しめるというのが良いなぁと思います♪

  • 文庫本だが、上下合わせて700ページの大作。サイモン・シンの本は「フェルマーの最終定理」、「宇宙創成」に続いて3作目の読書体験だが、この本も時間を忘れさせるほどの面白い本だった。

    本書は、暗号の変遷史を辿る内容。しかし、単なる変遷史ではなく、暗号を作る人々、それを破ろうとする人々が織りなす人間ドラマを中心に描く。本書で紹介される暗号は、文字を入れ替えたり、表を使ったりする単純なものから、大戦中にドイツ軍が開発したエニグマ暗号機、巨大数の素因数分解を利用したものまで。最終章では、量子暗号の可能性を論じる。

    暗号の歴史はまさに戦争の歴史だ。
    「ポーランドがエニグマ暗号を解読できたのは、煎じ詰めれば3つの要素のおかげだったー恐怖、数学、そしてスパイ行為である。侵略の恐怖がなければ、難攻不落のエニグマ暗号に取り組もうなどとは、そもそも思いもしなかっただろう」。ドイツも日本も暗号が解読されたことが敗因となった。
    「弱い暗号を使うぐらいなら、最初から暗号なそ使わない方がましだ」。暗号への過信は怖い。

    古代エジプト文字の解読史も面白い。その形から表象文字だと考えられていた文字を、アルファベットのような表音文字であることを突き止め、解読までの物語はスリリング。
    また、巨大な素数を使ったRSA暗号の成り立ちの説明も、ボブ、アリス、イヴを登場させてわかりやすく、面白い説明になっている。

    「あぁ、なるほど」と思える快感が存分に味わえる★4つ。

  • 数学と量子力学が暗号に大きく関わっているとは思いもしなかった。現代のインターネット社会ではセキュリティと暗号の大切さは語りつくせないほどだ。それくらい我々の日常生活に密着している。そして中でも量子暗号は解読できないことにほっとした。これらを今から10年も前に唱えているサイモン・シンは先見の明がある。暗号リテラシー、量子暗号、非可逆性、非対称暗号、ワンタイムパッド等日常に潜む何故を考えていくきっかけにしていきたい。

  • やばい。おもしろい。
    上巻よりも下巻の方が断然惹かれた。といっても、元々は一冊の本で、文庫化するに当たって分冊されたようだが。

    この本の原著が20世紀に存在していたことが信じられない。今も生きている技術がきちんと解説されている。

    そして、ちょっと前に話題になったFBI対Appleの争い。
    すでにこの本ではプライバシーか安全保障かの争点が
    見据えられている。
    というよりは、今に始まったことではなくもはや何十年も前からそういう懸念があったと言うことだろう。

    さらに、未来の話として量子コンピュータ、それを元にした量子暗号の話題まで盛り込まれている。最近では、Googleが活発に研究開発を行っている分野だ。
    今後が楽しみ。

  • 現時点で、今年1番面白かった本。
    自分がRSAなどの暗号を扱う仕事をしているので、尚更興味深く読めた。

    暗号の歴史から、将来の展望まで非常に分かりやすく理解できた。

    量子コンピュータが実用化されるとRSAは危殆化してしまう。
    一方で量子暗号も実用化に向けて研究がされているとのこと。
    今後も暗号の動向には注目していきたい。

  • フェルマーの最終定理が面白かったので、引き続きサイモン・シンの本を読んでみました。いやー、勉強になった。

    暗号の初期段階からその進化の歴史を、人物ドラマを交えながら分かりやすく・面白く教えてくれる。仕事柄もっと早く読んでおきたかった…

    単純にRSAとかDH鍵交換とかをググったとしても、無機質な説明が淡々と数式混じりで出てきたりして、なかなか頭に入らないもの(だと私は思うの)です。でもこの本は、それらの暗号が必要になった経緯(歴史)から、それを生み出す人々の情熱や苦労、そしてその原理までを順序立てて実に分かりやすく書かれている。訳者あとがきにもありましたが、本当に誰にでも飲み込めるような内容になっているのは凄いなあと思います。ストーリーにも面白さがあり、小難しい話もわりと自然と頭に入ってくる。読み物として一挙両得感があります。

    『フェルマーの最終定理』のときもそうでしたが、読み終えて、なんか頭が良くなった気になれました。いや、多分良くなってはいないんですけど…

  • 相変わらず、安定と安心のサイモン・シンといったところか。本当に細かいところまでよく取材していると感動する。元々そんなに暗号やその歴史に興味はなかったが(ほとんどの読者がそうだろうが)、著者によって暗号の世界に引き込まれていった。一見するとつまらなそうな内容に興味を持たせる技術には、脱帽だ。

    個人的には「フェルマーの最終定理」や「宇宙創成」の方がインパクトという点では上だったと思うが、本書もかなり質であることは間違いない。文句なしにオススメできる。

  • 科学ジャーナリスト、サイモン・シンによる暗号の進化とそこに魅せられた人間たちの物語の下巻。

    下巻では第二次世界大戦でアメリカの軍事連絡の暗号化に貢献したナヴァホ族のエピソードに始まり、そこから派生して古代言語の解読のエピソードを挟みつつ、世界の様々な数学者が活躍し、現在のインターネットにおいても極めて重要な役割を担っている公開鍵・暗号鍵という概念の誕生が描かれる。そして最終章では究極の暗号、未来の暗号である量子暗号の概念が、量子力学・量子コンピュータの極めてわかりやすい解説とともにまとめられている。

    暗号という謎めいたツールから、これだけ多くの歴史やそこに関与した人間のドキュメンタリーをまとめあげる力量には改めてうならされる。また、公開鍵・暗号鍵に関する説明(第Ⅵ章 アリスとボブは鍵を公開する)は非常にわかりやすく、インターネットに関する基本的な技術としての暗号技術を知ることもでき、実用性も高い。

  • 上巻と同様、こちらも非常に面白い。夢中になれる。

  • 暗号解読の為、苦労する人々の苦悩が伝わってくるようです

  • とても楽しく読ませてもらった。
    こういうものは理屈抜きにして面白いものだと思う。
    「量子」という言葉が出てきてからは難しくて、分からなくなってしまったが……。
    数学や物理が好きでなくても、こういう読み物は面白い!

  • 上よりもRSA等の最新の暗号について触れられている。

  • 映画「イミテーションゲーム」を観て懐かしくなり、サイモン・シンの「暗号解読」を再読。前回は単行本だったが、上下の文庫本を改めて購入。
    読み返してみると意外にエニグマ暗号の話はそれほど比重を占めておらず、チューリングに対する言及も少なかった。が、英国政府の暗号解読に対する力の入れ方、機密保持の方針は映画ても描かれていたように非情。

  • HALというのを知っていますか? 「2001年 宇宙への旅」に出てくるコンピュータ。はたまた、コンピュータ専門学校の名前?(最近(2015年)読んだ本ではロボットの名前) このアルファベットを1文字ずつ右にずらしてみましょう。Hの次はI、Aの次はB、Lの次はM、つまりHALはIBMのことだったのです。これが一番簡単な暗号。これだと、少しずつずらして意味の成り立つ文章を探していけば、すぐに解読できてしまえそうです。そこで、キーワードを最初に入れます。たとえば、TAKESHI。この場合、ABCDEFGHIJKLMN・・・はTAKESHIBCDFGJL・・・と対応させます。キーワードを最初に持ってきて、そこに入っているアルファベットを除いて順番に書き並べていきます。こうすれば、キーワードを知られない限り、解読は難しい。実は、それでも解読する方法が見つかるのです。文章の中に現れる文字の数を調べていき、一番多く現れた文字をE(ふつう文章を調べると13%くらいEが出てくる。これが最も多い。)と置き換え、次はA、次はTなどと変換していきます。それで、うまく文章が意味をなすかを調べるのです。少し時間をかければ解読ができるというわけです。という具合に、本書では暗号作成と暗号解読の歴史が順を追って描かれています。後半の内容はずいぶんと難しくなってしまうのですが、それでも二つの世界大戦の中での暗号にまつわる話など、驚くことばかりです。どんな分野にせよ、最先端で活躍する人々の物語は本当におもしろいものです。最後の量子コンピュータ・量子暗号の話はほとんど分かりませんでしたが。(物理学科出身だったのに、もうずいぶん昔のことになってしまった。)

  • 暗号の歴史と暗号製作者vs暗号解読者の歴史をたどった上巻に続き、下巻は現代の暗号と暗号の未来について。
    仕事でもちょっと調べたDES、RSA、PGPの話が面白かった。

  • 下巻は、古代言語の解析や、DES暗号・RSA暗号、研究段階である量子暗号を収録。古代言語解読ドラマがとても面白い。DESがすでにAESに代わり(つつあり)、RSA暗号も、近年の技術発展により作成者の想定以上に桁数が増えていることを考えると、また解読者サイドも盛り返しつつあるのかもしれない。
    原書は1999年刊行のためか、楕円曲線暗号についての記載なし。

  • 上巻ではドイツのエニグマ解読の物語であったが、下巻はその敵方であるアメリカの暗号作成に関する物語から始まる。

    エヴァホ語を使った暗号作成、線文字Bの解読、公開鍵・秘密鍵の開発、量子暗号。

    上巻が暗号と歴史との関わりに重点を描かれていた一方、下巻ではほぼ舞台が近代・現代ということもあり歴史との関わりはあまり描かれていませんでした。

    私自身がコンピューターに関わる事が多いため、アリスとボブのストーリー、公開鍵・秘密鍵が生み出されるまでの話が興味深かったです。素数、すごい。

    量子コンピュータと量子暗号、重ねあわせはどうもスッキリ理解することは難しかったですが、実現されれば計算速度など、異次元になるのだろうと思うとワクワクします。

    暗号賛成派と暗号反対派の議論は興味深く、個人のプライバシーか犯罪者を捕まえるか、悩ましい問題です。

    巻末には作者からのプレゼントとして、暗号解読の問題がついています。
    翻訳者の方の問題の解説もついていて、本書で学んだ暗号解読手法を身につけることができるようになるかも?!

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暗号解読 下巻 (新潮文庫 シ 37-3)の作品紹介

当時最強を誇ったドイツ軍の暗号機はいかにして破られたのか。「戦争の世紀」が「情報の世紀」へと移り変わるなかで、数学者たちの攻防は続く。RSA暗号、PGP暗号、量子コンピュータ、量子暗号…。ネットや銀行を始め、知らずに我々の周囲に溢れる暗号技術の現在と未来、歴史の背後に秘められた人間ドラマを解き明かす傑作ノンフィクション。巻末に「史上最強の暗号」とその解答を収録。

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