代替医療解剖 (新潮文庫)

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制作 : Simon Singh  Edzard Ernst  青木 薫 
  • 新潮社 (2013年8月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (584ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102159767

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代替医療解剖 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 結論ありきの論理だと思う。
    現在普及している鍼治療が、そもそも非常に浅いところにしか打たず、パルスでごまかしているものなのは認める。
    ただ、気とか経絡とか言う前に鍼が何に作用して、あるいはどういう働きかけで効くのかという調査をしても意味はないと思う。
    加えて凝りの概念が理解出来ないとこれは話にならない。

  • サイモン・シン最新作、待望の文庫化!!
    …のはずだったのだが…。

    個人的にはがっかり。
    身も蓋もない言い方をすれば、これは代替医療批判本。理数系の話をわかりやすく解説したいつもの"科学的読み物"ではなく、社会問題を題材にしたもの。

    学会に発表される論文じゃないんだから、いくら断じられても作者の主観の域を出ないし、作者は公平を強調しているが、同じ論調で通常医療にも批判を加えなくてはとても公平とは言えない。
    また、"科学的でないもの"を主題としていることから当然、科学的・理系の専門的な解説はなりを潜め、"科学的でないもの"の説明が延々続く。
    これではなんのためのサイモン・シンか。

    ホメオパシーに至っては、私は本作で初めて知った。説明を読んでもよくわからない。こんなものが世界的に普及しているというのも信じられない(私が知らないだけなんだろうけど)。言い方は悪いが、造語を造語で解説しているファンタジーのあらすじを読んでいる気分だった。

    代替医療について知りたいなら本書でいいかもしれない、でも、サイモン・シンを読みたい人には落胆が待っている。

  • Simon Lehna Singhの著作にはハズレがない。

    今回はタイトルの通り「代替医療」について。ここでいう代替医療とは、カイロプラクティク、鍼(お灸含め「
    気」の流れをコントロールして治療する方法一般)、ホメオパシー等である。
    これらの治療法は果たして、大学病院で治療してもらって処方箋を出してもらうよりも元気になるのだろうか。

    ここで、一つ重要な問題を考えないといけない。
    ある治療法がある病気に対して効果があるという事をどのように「科学的に」検証すればよいだろうか。
    単純にはその病気を患っている人を多数集めてその治療法を試してみて、効果を検証すればよい。と思われるかもしれないが、「プレセボ」という効果を考慮していない。つまり、プラセボによって元気になっているだけで、実はその治療法は全く意味が無いという可能性である。

    話はそれるが、このプラセボというのは案外バカにならない効果があるようである。
    今後、このプラセボ効果の科学的な解明を望むばかりである。

    閑話休題、このようにある治療法が、ある病気に対して効果があるかどうかは実は難しいのである。

    色々と方法はあるのであるがそれは本書を読んでもらうとして、結論は、上記のカイロプラクティク、鍼、ホメオパシーは科学的には効果が無いようだ。(一部は少し効果あり)

    よって、変な医療に手を出して高額の費用を払うよりはきちんと大学病院に言って最新の医療に従った治療を受けたほうが賢明だということである。

  • (ネタバレあり、です)
    代替医療。それは、冷たい科学的な医療に対する暖かくて人間的なもうひとつの治療方法ではないのか。
    読みながら、何度も息を飲んだりグゥの音をあげたり溜め息をついたり唾を飲み込んだりした。

    本書では、鍼、カイロプラクティック,ホメオパシー、ハーブの4つの代替医療を「科学的に」検証している。
    本書の結論は以下の通り。
    (1)鍼はごく一部の症状に効き目があるが、それ以外にプラセボ(プラシーボ)効果を上回る効果はない。
    (2)カイロプラクティックはある種の腰痛に効き目があるが、ほとんどはカイロプラクティックというよりはマッサージの効果であり、プラセボ効果を上回る効果はない。椎骨周辺を触ることにリスクがある。
    (3)ホメオパシーはまったく効果がない。むしろかなり有害である。
    (4)一部のハーブは一部の症状に確かな効果がある。使い方を間違えると危険(飲みあわせ)。その他は、プラセボ効果を上回る効果はない。

    共同著者の一人、エルンストはホメオパシーの実践者、推進者であり、西洋医学ではなく代替医療で初めて大学の教授になった人だ。その人が、こういう結論に達している。

    第一章はモノゴトを「科学的に検証する」ということを丁寧に解説している。科学的な検証によって否定された瀉血や強制労働などの有害な治療法。科学的な検証により肯定された感染症に対する清潔/消毒/ワクチンの有効性。二重盲検やランダムサンプリングなどの手法がなぜ大切なのか、豊富な事例を使って説明する。
    その後、上にあげた4つの代替医療の有効性を順番に検証していく。

    本書の白眉は「プラセボでも治るならいいじゃない」に対する反論だ。
    (a)科学的に検証された現代医療の治療法では、生理的化学的な効果とプラセボ効果の両方を得られる。代替医療にはプラセボしかない。
    (b)プラセボ効果は効果が不安定である。例えば、信じる人にしか効かずバレると効き目が無くなる、同じ症状に対する処方がバラバラ、など。
    (c)プラセボでは治らない病気がある。ビタミンの欠乏による壊血病、不潔な環境での感染症など。代替医療は概して「何にでも効く」と主張する。
    (d)プラセボは進化しない。現代医療は進化改善し続けている。
    (e)現代医療は、医師も製薬会社も厳しい何段階にも及ぶ審査が課せられている。それでも医療事故が起きている。代替医療にはそれがなく、簡単なトレーニングで治療者になりほぼノーチェックで薬を処方している。その結果起きている事故について、あまり知られていない。
    などなど。

    私個人は、家族友人に現代医療の従事者が多いこと、それなりに科学的論理的な思考を好むことから、どちらかといえば現代医学寄りの人間だ。一方で、文化人類学を研究したことから、近代科学になじまない考え方の価値をも大切に思っている人間だ。
    ホメオパシーは完全にアウトだと思っていたが、鍼を含む東洋医学や、カイロプラクティックと通じるところのある整体には惹かれるものがあり、「信じれば救われる」のを良しとする信条の持ち主だ。
    代替医療に対しては「プラセボよりはある程度マシな効果がある」と思っていたのでショックを受けている。本書は「ほぼプラセボしかない」と言っているから。

    読み終わって「ちょっと待ってくれ、時間が欲しい」と著者に呼びかけてしまった。

    ただ、これだけは言える。
    本書が大前提にしている「(本人や周りの意思と関係なく)病気が治ることは良いことだ」は、常にそうとはいえず、良い場合とそうとは限らない場合があるということ。
    本書の「科学的な検証」が有効な射程とそうでない領域があるということ。
    全体は部分の集合ではなく、生物としてのヒトは細胞の集まりかもしれないが生きている人間はそれ以... 続きを読む

  •  二千年以上前にヒポクラテスは警告した。
    「科学と意見という、二つのものがある。
     前者は知識を生み、後者は無知を生む」

     本書は一言で言うと、怪しい代替医療手段に手を出すのはやめましょう、という点に尽きる。
     なぜならば、通常医療はコストのかかる臨床試験を経て効用と安全性が実証されているのに対し、代替医療は無法地帯のように効能ばかりが強調されているが科学的に立証されていない。
     代替医療はプラセボ効果以上のものはないという結論である。

     「フェルマーの最終定理」などの著書で有名な科学ルポライター、サイモン・シンと、自らホメオパシーを施術する代替医療分野における世界初の大学教授絵エツァート・エルンストによる共著である。

     本書では鍼、ホメオパシー、カイロプラクティック、ハーブ療法の成立から現在に至るまでを詳細に検証し、それら代替医療の効果について論じている。
     そして、付録には上記以外の三十以上にものぼる代替医療についても言及されている。

     代替医療が危険なのは、代替医療が有効だと信じ込み、通常医療に影響がある、もしくは通常医療を中止してしまうことで取り返しのつかないほど病状が進行してしまう可能性がある。

     本書が冒頭で「チャールズ皇太子に捧ぐ」と書かれているのは、最大の皮肉である。

  • 原題:Trick or Treatment?: Alternative Medicine on Trial – examines various types of alternative medicine, finds lack of evidence –
    著者:Simon Lehna Singh(1964-)
    著者:Edzard Ernst(1948-)
    シリーズ:〈新潮文庫 Science&History Collection〉


    【目次】
    目次   [005-007]
    はじめに [010-018]

    第 I 章 いかにして真実を突き止めるか 019
    壊血病、英国水兵、瀉血の臨床試験/科学的根拠にもとづく医療/天才の一打

    第II章 鍼の真実 075
    プラセボの威力/盲検法と二重盲検法/試験される鍼療法/コクラン共同計画/結論

    第III章 ホメオパシーの真実 155
    ホメオパシーの起源/ハーネマンによる福音/ホメオパシー――隆盛と衰退、そして復活/『ネイチャー』事件/臨床試験に付されるホメオパシー/結論

    第IV章 カイロプラクティックの真実 241
    科学的根拠にもとづくお茶/患者をマニピュレートする/骨接ぎ万能療法/注意してほしいこと/カイロプラクティックの危険性/代替医療の危険性

    第V章 ハーブ療法の真実 317
    ハーブの薬学/一番大切なのは、害をなさないこと/思慮ある人たちがなぜ?/実際に経験したのだから疑いようがないという心情

    第VI章 真実は重要か? 389
    プラセボ――罪のないささいな嘘なのか、医療として不正な嘘なのか/効果が証明されていない、または反証された医療を広めた責任者トップテン/代替医療の未来

    付録――代替医療便覧 [483-559]
    ◆代替医療の診断法 
    ◆代替医療の療法 
    ◆代替医療の運動療法〔エクササイズ〕
    ◆代替医療の装置類 
    ◆アレクサンダー法 
    ◆アロマセラピー 
    ◆イヤーキャンドル(耳燭療法) 
    ◆オステオパシー(整骨療法) 
    ◆キレーションセラピー 
    ◆クラニオサクラル・セラピー(頭蓋整骨療法) 
    ◆クリスタルセラピー 
    ◆結腸戦場 
    ◆催眠療法 
    ◆サプリメント 
    ◆酸素療法 
    ◆指圧 
    ◆人智学医療 
    ◆吸い玉療法(カッピング) 
    ◆スピリチュアル・ヒーリング(霊的療法) 
    ◆セルラーセラピー 
    ◆デトックス 
    ◆伝統中国医学 
    ◆ナチュロパシー(自然療法) 
    ◆ニューラルセラピー 
    ◆バッチ・フラワーレメディ 
    ◆ヒル療法 
    ◆風水 
    ◆フェルデンクライス法 
    ◆分子矯正医学 
    ◆マグネットセラピー(磁気療法) 
    ◆瞑想(メディテーション) 
    ◆リフレクソロジー(反射療法) 
    ◆リラクセーション 
    ◆レイキ(霊気) 

    より詳しく知りたい読者のために [560-566]
    謝辞 [567-568]
    訳者あとがき(2009年12月 青木薫) [569-575]
    文庫版訳者あとがき(2013年7月 青木薫) [576-584]

  • ホメオパシーやカイロプラクティックなどの代替医療について、施術者が謳う効果があるかどうかを科学的に分析する。
    第1章でレモン果汁をとることで壊血病の発生率が劇的に改善された例等をあげて、「機能のメカニズムは不明でも対照実験を行い、統計的に有意な結果が出ればその治療方法は効果がある」を明確にした上で、メジャーどころの代替医療を分析。
    結論としてはほとんどの代替医療はプラセボ効果以上のものはない。だが、それが今や大きなマーケットになってしまっている現状とそれを手助けした「犯人」についての言及はきびしい。

  • 鍼、ホメオパシー、カイロプラクティック、ハーブ療法、等々の代替医療に本当に効果はあるのか?というテーマに科学的に向き合った本。
    「科学的に」と書くと、自然界には科学で解明できないようなものも多くあるから、科学で説明できないからといって、これらの代替医療をダメと決めつけるのはよろしくない、という意見が出てきそうだし、実際Amazonのレビューでも同様の意見を書き、本書を批判している人もいる。
    ただ、その批判はこの本をちゃんと読まないままに発せられている。
    本書ではその治療が効く、効かないを科学的に説明するものではない。「なぜその代替医療が病に効くのか?」という問いは全く発していない。逆に、効果があるのなら、その理由が解明されていなくても良いという立場だ。
    本書で「科学的」アプローチがとられるのは「それは本当に効いているのか?」という効果測定方法だ。
    人間には、思い込みで起きる「プラシボ効果」という現象がある。高価な薬や、体験したこともない治療法に出会うと、その心理的なものだけで、痛みが消えてしまったり、元気が出たりする。
    このプラシボ効果を可能な限り排除して、代替医療の真の効果を測定し、評価している。そこに、「なぜ効果があるのか?」というものに対する回答は必要ない。
    この評価方法で出された答えには、中々対抗しづらいものがあるのでは?という気がする。
    ここで鍼、ホメオパシー、カイロプラクティック、ハーブ療法のどれが効果が認められる代替医療なのか?という結論は書かないでおく。評価方法を知らないままに結果だけ聞いたとしても説得力はあるまい。
    その結果を知りたい人は是非本書を手にとって欲しい。

  • ナイチンゲールも悪弊を駆逐した人の一人。

  • 「DJの首を吊し上げろ、奴らの音楽は俺の人生に何の役にもたっていない」(The Smith 「Panic」)

    優れた科学ジャーナリストであるサイモン・シンが、代替医療の学術的研究を行うエツァート・エルンストとの共同作業により、鍼治療、カイロプラクティック、ホメオパシー、ハーブ療法等のいわゆる「代替療法」について、数多の先行研究を踏まえて科学的なプロセスによる効果検証を行い、その結果をまとめ上げた一冊。

    検証にあたってのスタンスは決して「代替医療は効果がある/ない」というどちらかの立場に与するものでもなく、また生理学的な効用をもたらすメカニズムがわからないとしても、それが実際に効果があるのか、もしくはないのかという面だけのフォーカスを置いた点で極めて公正なものである。また、冒頭では医療の効果を検証するために先人が生み出した様々な科学的プロセスの解説が置かれ、本書の検証もまた同様のプロセスを踏んでいることが示される。

    さて、結論としての代替医療の効果は概ね否定的なものとなっている。何も治療を施さない場合と比べて、明示的な効果がない、ということもさることながら、代替医療の問題の一つは副作用、通常医療に比べて高額になりやすい費用面、代替医療よりも効果のある通常医療を中止してしまうことによる症例悪化リスク、等が説明される。

    何よりも問題なのは、様々な研究によりその効果が疑わしい代替医療がここまで大きなマーケットとして成立してしまっている背景、つまりなぜ人々は代替医療に入れ込んでしまうのか、という心理面の問題である。その仮説として挙げられるのは、通常医療の主体である医師があまりの多忙さ故に一人一人の患者にじっくりと向き合うことが難しく、患者が通常医療の科学的な効果やエビデンスを理解することができないからではないか、という点である。

    なお、末尾ではこうした代替医療の問題点にも関わらず、疑わしい代替医療を広めた責任者として、セレブリティ、大学、政府機関、WHO等の10のプレーヤーが明示されている。首を吊らすべきなのは誰か、考えなければいけない。

  • 結論を言うと、筆者のサイモン・シンは代替医療は一部のハーブを除けばほとんどプラセボ効果によるものであるという。サイモン・シンといえば、フェルマーの最終定理や暗号解読をめぐる人々を描いた作品により、現代の科学方面でのノンフィクション作家として世界的に著名な人物である。その筆者が「代替医療」を題材にした作品が本書である。代替医療と言われてもピンと来ない人も多いかもしれないが、この本では主に鍼灸、ホメオパシー、カイロプラクティック、ハーブ療法が俎上にのっている。筆者は代替医療が効果があるかどうかについて語っており、科学的な根拠は本書ではあまり追求しない。この本が日本で出版されたあと鍼灸医から講義の文書が出版社に送られ、本国イギリスではホメオパシー協会から名誉毀損で訴えられた。高額で効果が薄い(一部は死に至るおそれもある)代替医療の流行について、筆者は警鐘を鳴らしており、本書がその助けになると私は考える。(T.K)

  • とりあえず、自分や身近な人を殺してしまわないためにも、すべての人に読んで欲しい本。
    代替医療を科学的アプローチから、有効かどうかを判断して行く本です。
    無害ならまだしも、施術から数年後に悪影響の出る可能性のある治療法があったりして、ちょっとぞっとします。
    癌は治療するなとか、肉は食うなとか、そういった情報を受けたときに、実践に移る前にちゃんと考えてみるための参考になります。
    ただし、これ読んだら、ブラシーボ効果が効きづらくなる可能性があるので、そこら辺は覚悟の上で。(^^;

  • 「科学的」とはどういう事なのか、という点が興味深かった。

  • このシリーズはとても読み応えがあって面白いものが多いけれど、これもよかった。代替医療に気持ちを奪われている人は是非一読したほうがよい。さすがにガン放置療法への言及はないけれど一部のカリスマ的な専門家が多くの害時には命に関わる害悪をなしてきたということも歴史的に明らかである。

  • 毎日書評、2013-10-13

  • ナントカセラピーとか、ナントカ療法とか、ナントカ健康法とかを特に区別しようという意識すら今までありませんでした。

    「科学的根拠に基づいた医療」という言葉が生まれたのがなんと1992年というのがまず衝撃でした。

    TVの情報番組でオシャレっぽく紹介されたり、外国の旅番組で芸能人が楽しそうに体験しているグロテスクな新しいエステを
    ファッション感覚で捉えてたら、医療全体がえらいことになってしまうと危機感を感じました。
    イギリスやばい。

    自分はあんまりそういうのを信じていないつもりだったので、
    プラシーボ効果ありきで受け止めていたような代替療法を、重病になってまで貫く人々に驚きましたが、
    よくよく振り返ってみると、足の反射区は当然存在すると信じきっていたことやその他にもふんわりと信じてた物(磁気ネックレスとか指圧とか)も見受けられ、大いに反省しました。

  • 自然派のお手当てを幾つか学んだり、やはり代替医療に惹かれる気持ちを否定できない自分。それをサイモン・シンが解剖してくれるというなら喜んで!と手に取ってみた。
    代替医療を信奉する人には辛い内容らしいというのは聞いてはいたが、最後のページに至るまで全否定とは思わなんだ。容赦なし。
    擁護するわけではないが、”対処療法”であって”根本治療”でない西洋医学のアプローチで、”自然治癒力を高める根本治療”を目指す東洋医学等を分析しようとするのは、些かアンフェアではないか、とも思うし、また「なんでも治します」的な宣伝をする質のよくない代替医療と一緒くたにしないでほしいなー、とも思うよね。
    だが、確かに代替医療をなるべく多くの人に広めようと思うと、こういうアプローチで尚且つ結果を出すことがとても大切なのは、すごく納得する。実際、わけもわからず言ってるなー、とか、ないわそれ、と思うこともいっぱいあるしね。
    結局、自分でしっかり調べて考えることが大切、という気持ちを新たにさせられたこと、そして、この手のものに陥りやすい人に何らかの助けになれる本、ということで、やっぱりサイモン・シンはすごいなーと思った本でした。

  • 前作に比べて、代替医療に対する批判色が強い作品ではあったが、いつもながら読者を引き込む作りである。主流医学が幾つもの臨床試験を重ね、科学的根拠に基づいて発展してきたのに比べて、巷の多くの代替医療は、謳っている効能のほとんどが科学的根拠も乏しく、プラシーボ効果以上の効力を持たないことが臨床試験から既に明らかにされている。また、主流医学では、ある一つの治療法が特定の疾病・疾患にターゲットを絞っているのに対し、代替医療では、あれもこれもみんな効きますという万能性を謳っているものが多く、これらも冷静に考えれば、そんな都合のいい話はないと思えるだろう。こういった科学的リテラシーを養うには最適な1冊であった。最後にシン氏が述べていることが印象的だったが、何故効かないと分かっていてもなおこういった代替医療が生き延びるのか?それは問診にほとんど時間をかけず患者の声に耳を傾けない「冷たい主流医学」になりがちな現代ではむしろ、じっくりと話を聞いてくれる代替医療セラピストにすがる患者が増えるのではないか、という意見に賛成である。

  • 代替医療について、科学的に突き詰めて考察できる。
    おかげで、いろんなものが怪しく見えてくることになるが、逆にこれまでいろいろなことを信じすぎていたということか。
    とりあえず、首に着けていた磁気ネックレスは外した。

  • 学生実験や計測工学で学んだアプローチが、このような問題にも使われていたとは…。とはいえ、まっとうな研究者よりもマスコミや詐欺師の声の方が、一般人に数多く届くように世の中はできている。まずは疑問を持つことが唯一の防衛策なのかなぁ。

  • 代替医療って、何? タイトルはずばり「民間療法のトリック」とすべきだったと思うが。
    鍼(はり)、ホメオパシー(毒を超希釈して服用)、カイロプラクティック、ハーブ(漢方薬以外)の効果の検証の話。一部の限定的な効果を除けば、プラセボ効果、自然治癒でしかないとの結論。プラセボで良くなるならそれでもいいのでは、という考えに対しては、適切な医療を受ける機会を逸することの危険性を指摘。医療行為が長期間の検証を経るのに対し、代替医療は自身の成功体験のみでOKなわけで、しかもそれを盲信するだけに始末が悪い。
    翻訳者のあとがきにあるように、医療崩壊で医師は患者と十分に向き合えない。それに対して患者と十分に向き合う代替医療に患者が惹かれ、そこに強いプラセボ効果が表れるのは当然なのかもしれない。

  • 断食は載っていなかったが、どうなんだろう?

  • 待ちに待ったサイモン・シンの新刊文庫化。壊血病のこと、瀉血のこと、ナイチンゲールのことなど第1章は学ぶことが多かった。2章以降は実際の代替医療について。鍼治療とかカイロプラクティックなどについては認識が甘かったかもしれない。「指圧の心 母心 押せば命の泉わく」なんて言うのを今でも覚えているくらいだけれど、あのテレビに出ていたおじいさんが創始者の浪越徳治郎だったのだろうか。マッサージはいくらかの効果があると思うけれど、足つぼで体の他の部分も治療できるというのは怪しいのだろう。漢方とかアーユルヴェーダなんかは古代から伝わってきているものに何の効果もないとは信じがたいけれど、調べてみれば、プラセボ効果ほどにしか効果はないのかもしれない。しかし、何でもかんでも科学的に…で片づけてしまうのも面白みがないが、無駄にお金と時間を使うのはやめておいた方がいいかもしれない。やはり科学教育はしっかりしておかないといけない。ところでホメオパシーという言葉自体今回初めて知ったのだけれど、日本にも入っているのでしょうか。と、ネットで調べると、当然のようにありました。ホメオパシージャパン、環境・心・体に優しい製品を販売されているようです。浪越さんについてもネットで写真を確認。何でもすぐわかってしまう。これは生き物としての人間的な生活なのだろうか(今は中村桂子さんの新刊を興味深く読んでいます。)せっせと足に電気をあてに行っている老父にも知らせてやらないと。まあ、そんなにとんがらなくても、散歩とおしゃべりにでも行っていると思えばいいのかもしれないが。

  • 鍼も代替医療とは知らなかった。しかもプラセボ効果以上の効果がないとは。
    きちんとした通常医療には副作用の説明があるため、
    代替医療は緩やかに効果があり、副作用がないのではとぼんやり感じことから、
    惹かれていたんだと思った。
    この本には載っていない代替医療に挑戦したことがあるけど、全く効果がなかったのは、信じていなかったからだな。
    信じたい人は、信じていればいい。ただ効果のないものに税金を使うことだけはやめてもらいたい。(チャールズ皇太子、しっかりして…)

  • 鍼・ホメオパシー・カイロプラクティックなどの代替医療をそれぞれの治療の発祥から紹介し、果たして効果があるのか?を実験や調査から徹底的に評価を行ったもの。そこで得られた結果はほとんどプラセボであるというものでしたが、十分な根拠、そしてなぜプラセボがだめなのか?まで丁寧に示されていると思いました。著者たちは最初から代替医療に否定的な目線で始めず、効果が出るなら受け入れるという態度であるのも信頼性がもてます。この本に載っているようなことをもっと多くの人が知るべきではないかと思いました。

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