罪の段階〈下〉 (新潮文庫)

  • 68人登録
  • 3.72評価
    • (9)
    • (7)
    • (15)
    • (0)
    • (1)
  • 7レビュー
制作 : Richard North Patterson  東江 一紀 
  • 新潮社 (1998年10月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (482ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102160121

罪の段階〈下〉 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • リーガルサスペンスの傑作として名高い1992年発表作。しばらく本業の弁護士に専念していたパタースンは長期休暇を取り一気呵成に書き上げたという。主人公は処女作「ラスコの死角」と同じクリス・パジェットだが、心機一転の本作で再び起用した訳とは、十数年の歳月を経て様々な経験を積んだ自分自身を、本作でも同じように歳を取ったパジェットに投影しようとしたのかもしれない。

    本作は、ホテルの密室で発生した殺人事件が、レイプに対する正当防衛か、もしくは加害者の女性によって仕組まれたものかを裁くもので、法廷で畳み掛ける終盤は別として、中途までは証拠と証人探し、強姦を巡る実証性をじっくりと描いているため、ややテンポに欠ける。「…死角」ではパジェットの一人称語りだったが、本作では三人称に変えて多面的に状況を物語るため、両作品の持つ雰囲気は随分異なる。デビュー当時はロス・マクドナルドを後継する作家とも評されていたが、作品自体は社会派であっても、ハードボイルドのテイストは薄かった。本作では、ラスコ事件に関わるエピソードも多く、主要な登場人物も引き継いでいるのだが、ジェンダーや家庭崩壊などアメリカ社会が抱える闇を照射する批判性はより強まっており、「…死角」とは別物といっていい。

    親と子の絆が重要な核となり、法廷闘争を展開。殺人者として裁かれるのは、パジェットの愛する息子の母親であり、物語は弁護士自身の私的な闘いとしても描いていく。だが、嘘と虚栄にまみれた偽装を剝がし明らかとなる事実は、守るべき対象を歪め、パジェット自身を残酷な結末へと導くものだった。
    敢えて強姦という重いテーマを選び、闘わずに泣き寝入りする女性が多いという現状を踏まえたパタースンの強いメッセージが込められている。

  • 人物描写は細やかで読ませどころは多かったが、 明かされる真相がそんな驚くものでなかったため、期待はずれだった。 「推定無罪」と比較されることが多い作品なので、 最後にどんでん返しがあるものと思い込んでいた。 家族の物語として収束させた作者の意図はわかるのだが・・・。

  • 上巻のレビューに書いたとおり。下巻ともなると登場人物や人間関係も覚えるので、スラスラ読める。
    ルブラン『アルセーヌ・ルパン』シリーズをのぞいて、国外ミステリーを読むのはこれが初めてかも…☆

  • 弁護士のクリスは、15年前に裁判で共に闘った昔の恋人メアリの依頼を受ける。正当防衛の主張だったが、証拠は矛盾し、嘘をついているのは明らか。したたかなメアリの性格をよく知るだけに苦境に立たされる。クリスが引き取って育てている最愛の息子カーロはメアリの産んだ子で、カーロをスキャンダルから守るためにもこの裁判には勝たなければならない…
    法廷シーンも迫力があり、読み応えのある作品でした。
    この時の裁判官の女性も感じが良く、彼女が主人公の作品も後に書かれています。

  •  これまで読んだ法廷ミステリは「推定無罪」や「復讐法廷」など、ほとんどはずれは無かったのだが、これは失敗。「不幸にして評価が低い傑作」と解説者は強調しているが、評価の通りだと思う。

  • 紛れもなくリーガルサスペンスの傑作に数えられる一作。検察と判事と弁護人の三つ巴の立場を超えた人間としての駆け引きがテンポ良く綴られ、とにかく飽きさせない。下巻は睡眠時間を削ってほぼ1日で読了。人間のドラマとしても優れている。

全7件中 1 - 7件を表示

罪の段階〈下〉 (新潮文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

ツイートする