ケインとアベル 下 (新潮文庫 ア 5-4)

  • 新潮社
4.25
  • (216)
  • (113)
  • (106)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 1214
感想 : 88
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (463ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102161043

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 以下、物語をふりかえるための備忘。
    ・アベルの人生は、初めから危機一髪。生まれた時から九死に一生を得る。
    ・ロスノフスキ家はポーランドの名家。アベルもポーランドを誇りにもてるように育つ。
    ・ドイツとオーストリア=ハンガリー帝国に締め付けられたポーランドの運命が、アベルの運命と重なり、彼の人生に大きく影響。ヴワデクのときのアベルの運命たるや悲惨の一言。
    ・ケインの方の投資力の磨き込みはすばらしい。きっちり帳簿をつけるということやきちんと銘柄を分析することなどの規律が大切。投資をする上では、確かに高い資本回転率、高い成長率、信頼のおける資産の裏付け、有望な取引といった条件を満たす銘柄をいかに見つけるかといったことが効果的。
    ・ケインの方も、実は悲惨な境遇。父を亡くしただけではなく、その後、未亡人となった母親がどうしようもない男にひっかかって死んでしまう。しかし、ケインは順調にハーバードへ行き、個人口座100万ドルを21歳までに増やした。
    ・アベルも、ついにアメリカに渡り、勤勉に働き、学び、プラザホテルからリッチモンドコンチネンタルの副支配人になる。裏からのケインのサポートによりアベルはホテル王への道を歩む。
    ・他方で、ケインも親友の父からアポイントを受けてレスター銀行頭取就任。就任時の取締役会のハンドリングが見事。
    ・その後、2人の間で、醜い互いの応酬が繰り返される中で、アベルの娘、ケインの息子が恋に陥る。互いの親は激怒し、2人は家を出る。
    ・アベルが逮捕され司法取引で釈放、その意趣返しで、ケインがレスター銀行頭取辞任させられる羽目に。
    ・最後は、フロレンティナとその息子のウイリアム・アベル・ケインに託される形で物語が一旦終わる。

  • もっと宗教色の強い話だと勝手に思い込んでいたが、全然そんなことはなかった。戦前〜戦後にかけてのヨーロッパおよびアメリカの歴史を下敷きにした、堂々たるストーリーでとても面白かった。

  • とても面白かったです。
    素晴らしい小説でした。
    人間模様、歴史、恋愛、成功、策略全て詰め込まれていました。
    感動しました。

  • 恩人のデイヴィスを死に追いやったとウィリアムを逆恨みするアベル(実は、ウィリアムは恩人だったのに!)。そして、アベルがウィリアムの母親を死に追いやった口八丁の詐欺師ヘンリー・オズボーンと組んだことから、ウィリアムにもアベルへの憎しみが生じ、二人の感情的な対立は修復不可能なレベルに。二人の私怨を軸に物語は進む。

    偶然にも二人の子供達が結ばれることになっても、意固地な二人は和解しようとせず、逆にお互いの足を引っ張り合う始末。結局、二人共が生きているうちに和解に至ることはなかった、という何とも後味の悪い結末だった。途中で焦れったくなり、読むのを中断してしまったし、こういう話は苦手だな。

  • 下巻はケインとアベルが終始睨み合う。ちょっといがみ合い長ない?って思ってしまった笑
    しかも一連の争いが金融市場にて繰り広げられるため、理解が難しく尚更長く感じた。

    ポーランドという国は20世紀における様々な出来事に関わりを持っているなと感じた。地理的要因かな?
    ポーランドもう少し注目してみようかな

    とりあえず海外小説はこれにて当分休憩に入らせてもらいます笑

  • ポーランドの田舎で、私生児として生まれたヴワデク(後のアベル)
    ボストンの名門ケイン家という資産家に祝福されて生まれたウイリアム
    というおいたちのこのふたりが主人公で、章を交互に振り分けて語られる一生の物語は
    きびきびしていて、息もつかさずに読まされ、ストーリーは確かに面白いと思う。

    聖書創世記の「カインとアベル」を下敷きにしているかなと思いながらも、
    「ポーランドの悲劇」と「アメリカンドリーム」が合体して、
    まっとうに頑張ればどんな困難も克服出来るというカタルシスが得られる。

    ただし読後、思想的なものや哲学的なものが浮かばない。
    まともは不条理に勝るというのかな・・・!

  • <u><b>面白い本が読みたい?これだ!</b></u>

    <span style="color:#cc9966;">ずば抜けた商才と頑張りで社会の底辺からのし上がったアベルは、全米に拡がるホテル・チェーンを作りあげた。一方、出世コースを突き進むケインは、その確かな判断力を認められて大銀行頭取の地位をつかんだ。ホテル王と銀行家、ポーランド移民と名門出のエリート―いずれも典型的といえるふたりのアメリカ人の、皮肉な出会いと成功を通して、20世紀のアメリカ史が甦る大ロマン。</span>

    小説で久しぶりのヒット!いろんな書評で大絶賛されていたのだが、根性曲がりの私は、「どうせ、評判だけだろ!」なんて思っていたが、読んで良かった。本当に面白い。
    久しぶりに読み終わりたくない本に出会えた。物語の展開も語り口も全部一品。

    特に、ケインとアランのハント・クラブでのゴルフ対決の描写が好きだ。ゴルフと会話による二人の微妙な攻防が読んでるこちらまでハラハラさせてくれる。

    それにしてもラストの展開が素晴らしい。そう来るか!と。ネタバレだから具体的には話さないけれども、物語のエンディングは最初から用意されていたんだね…。

  • 最近、本自体読むことが少なくなり、読んだとしても自分のお気に入りの作家・作品しか読んでないことにふと気づいて、知人が勧めていた本作を読了。

    おそらく本作最大のネタ、どんでん返しに途中で薄々気づいてしまったので、そのネタが終盤に明かされたときの驚きは残念ながら大してありませんが、それでも、充実の読後感でした。

    20世紀初頭の同年同日にポーランドとアメリカでそれぞれ生まれ、一時は戦争捕虜となりながらも死の淵からなんとか生きながらえてきた男と、銀行頭取の子息として誰もが羨むようなエリート街道を突き進んできた男、文字通り対照的な2人の男の物語。

    自分自身とはそれぞれかけ離れた存在なので、感情移入するようなことはあまりありませんでしたが、それぞれに魅力的。(余談ですが、2人とも女性へのアプローチは、わりと一目惚れのような感じなんですよね。そのあたりは時代を感じました。笑)

    一番印象的なのは、物語に登場する重要なキーアイテム、銀の腕輪の扱い方です。
    アベルの運命を時に死の手前に差し出し、時に死の淵から救い出した腕輪が、物語を大きく前進させるそのストーリーの運び方が見事だなぁと思いました。

    ちょっと御都合主義的だと感じる物語の展開もありましたが(彼らの子供の話)、それを割り引いても、かなり面白かったです。

  • 下巻の後半から面白さはちょっと失速しますね。
    でもまぁ、主人公の二人が年老いて勢いが無くなるから、
    ある意味リアリティがあるとも言えますが。
    総評としてはとても面白かったです♪

  • 双方の争いにヒヤヒヤさせられながらも、ラストは切ないというか、よかったのか。人生の不思議さを感じた。

全88件中 21 - 30件を表示

著者プロフィール

ジェフリー・アーチャー(Jeffrey Howard Archer)
1940年生まれのイギリスの政治家、小説家。一代貴族の貴族院議員。オックスフォード大学卒業後に政治家に。大ロンドン議会議員、庶民院議員(3期)、保守党副幹事長などを歴任したが、 1973年に投資で失敗して財産を全て失ったことを契機に、1974年10月の総選挙時に政界から退いた。
1976年に発表した『百万ドルをとり返せ!』が大ヒットして借金を完済、1985年に政界復帰し党副幹事長を務め貴族院議員に列されたが、偽証罪によって2001年に実刑を受け服役。2003年以降、作家活動を再開した。
代表作に『プリズン・ストーリーズ』、『クリフトン年代記』シリーズなど。

ジェフリー・アーチャーの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部みゆき
ジェフリー・アー...
宮部 みゆき
パトリシア・コー...
パトリシア・コー...
パトリシア・コー...
パトリシア・コー...
パトリシア・コー...
宮部 みゆき
三島由紀夫
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×