ロスノフスキ家の娘 下 (新潮文庫 ア 5-6)

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  • Amazon.co.jp ・本 (321ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102161067

感想・レビュー・書評

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  • 亡き父アダムのホテル・チェ-ン経営を引き継いだフロレンティナは、幼い頃からの夢(合衆国女性大統領)の実現に向けて、民主党の支持を得て東奔西走に明け暮れます。下院議員8年間、上院議員を8年間を務めあげ、いよいよ大統領選挙に挑むフロレンティナの波乱万丈のスト-リ-展開は、最後のページの最終行まで目を離せません。2016年に初の女性大統領を目指したヒラリ-・クリントンを彷彿させますし、トランプ大統領が再選に挑む大統領選挙が目前にして、現実社会の生々しさを反映した緊迫感溢れる極上のエンタテイメント作品です。

  • 先日『女は「政治」に向かないの?』(秋山訓子著/講談社)という本を読んでいたら、野田聖子の章で彼女が政界転身を決める頃に読んでいたのが『ロスノフスキ家の娘』だったと書いてあり、どんな本なんだろうと読んでみた。
    1930年代に移民でホテル王として成功しつつあった家に生まれた女性・フロレンティナの人生が90年代半ばまで延々と綴られていく。この小説が世に出たのが1980年代前半でありながら、過去から1996年くらいまでを描くというちょっと不思議な感じ。
    フロレンティナは人並み以上のお金にも美貌にも恵まれていたし、努力もして才媛として成長する。ちょっとした失敗があったことも書いているけど、それも人として成長する肥やしにできるようなこと。それらがなければただの人間離れした「すごい人」という印象になっていただろう。
    次から次へと進んでいく彼女の人生は、ほぼ順風満帆でありながら面白く読み進めることができる。アメリカにはこういう一人の人物の年代記のような小説がけっこうある感じがする。翻って日本では、歴史上とか実在の人物を題材にしたもの以外ではあんまりない気がする。ちんまりとした私小説びいきの文学界の風潮がこんなところにも影響しているのかもしれない。
    最初に戻って、なぜ政治家・野田聖子とこの本が関係があるかというと、フロレンティナは自分でアパレルの会社をやり実家のホテルの経営にも大きく関わり、その後、下院議員、上院議員となり最後の最後には大統領へと昇り詰めるから。それが1996年の選挙の後のこと。その就任のしかたはやはりアメリカの有権者たちが女性大統領を自らの投票で選ぶのは非現実だという作者の見方が反映されてのことだろうか。選挙で女性大統領が選ばれるというドラマチックなストーリーでいいじゃないかと思う。だが、この小説では20世紀のうちにフロレンティナという女性大統領が誕生するわけだけど、現実は未だ誕生していないことを考えると作者の見方が反映されたほうがリアリティありということか。
    フロレンティナは気持ちのよい女性に描かれているが、人生をともにした夫のリチャード、幼なじみで長らく彼女を友人として支え続けたエドワードなど、誠意と理解のある男性がいるのもいい。

  • ケインとアベルの続編。独特の言い回しが理解しにくいところもありはするが、前作ほどではないにしてもサクサク読んだ。

  • 仕事の成功だけでなく初の合衆国大統領を目指すフロレンティナの逞しさが面白い。さくさく読める。

  • 5年越しで読了しました。5年前に読み残していた最後の厚さ数ミリページ、ついに読み終えられて良かった。
    同じことが現実でも起こるかもしれないですよね。ハリス副大統領。バイデン大統領も高齢ですから、1期のみ勤めた後に女性大統領が生まれる可能性も。
    また、ソ連はありませんが今なら中国や台湾問題を巡って緊迫した状況が生まれることは充分あり得るのでは。と父と話しました。
    以外な結末、でも現職の大統領の20%ほどは在任中に亡くなっているとか。 

  • 下巻
    下院議員になったときの記者の質疑に答えるフロレンティナの姿が痛快。下院議員としての活躍ののち、上院に立候補するも一度負けるのは、その後の盛り上げのための伏線といえよう。負けた理由の一つが娘の中絶手術というのが何とも言えない設定。最終的には、おさまるべきところにおさまるが、人事を尽くすと天命がおりてくる、というところか。

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  • 最初は30年ほど前、まだ学生だった頃に読んだ本。友達から教わってこの本を読み、あとから『ケインとアベル』の続編と知りそちらも読んだ本です。選挙の仕組みが理解しにくく読みづらい点はありますが、まるで大河ドラマのような壮大な展開は久々に手にしても一気に読みたくなる爽快感があります。またアーチャー独特の伏線の張り方と、それを効果的に利用するところは思わず「ニヤリ」としてしまいます。また自分が年を取って、同じ年齢になった頃の話は若かった頃の受けとり方とだいぶ違うように思えまた味わい深いです。

  • 『ケインとアベル』の続編という売り込みがなかったら読んでなかったな。
    政治の話に興味がなかったというのもあるが、登場人物の感情や出来事がどうにも薄っぺらく、作り事のようにしか感じられなかった。

  • 『ケインとアベル』ほど、心に響く話ではなかったけど、
    話の展開が早く政治色の濃い下巻でも、スイスイ読めた。
    まるで、トランプとヒラリーの大統領選と、ついこの間あったトランプの大統領就任式を彷彿とさせる話をグッドタイミングで読んだ。

    下院選と上院選では、自らの知恵と努力で当選出来たフロレンティナなのに、大統領選では最後まで戦わずパーキンの条件をのみ副大統領に、パーキンが死んで大統領にと、なんかトーンダウンしてきた感じがすっごく残念。
    私としては、フロレンティナのパワフルな勢いで彼女自身の手でのし上がってもらいたかった。

    パーキンが最後、また1期大統領をするべく出馬宣言したときは、「なに、このオヤジ! 気に食わん!!」と思ったけど、
    実はパーキンは自分が長くないことを知って、本当はフロレンティナに大統領の職を継いでもらいたいのに、ラルフ•ブルックスとの秘密の約束かなんかあって彼を立てるために(?)一応そう言ったのではないかなー。なんて最後読み終わった後に思ったんだけど、違うかなぁ~?
    そんな奴じゃないかなー。

    私としては上巻の方が面白かったけど、
    上巻下巻のトータルでは星3つ半。

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著者プロフィール

ジェフリー・アーチャー(Jeffrey Howard Archer)
1940年生まれのイギリスの政治家、小説家。一代貴族の貴族院議員。オックスフォード大学卒業後に政治家に。大ロンドン議会議員、庶民院議員(3期)、保守党副幹事長などを歴任したが、 1973年に投資で失敗して財産を全て失ったことを契機に、1974年10月の総選挙時に政界から退いた。
1976年に発表した『百万ドルをとり返せ!』が大ヒットして借金を完済、1985年に政界復帰し党副幹事長を務め貴族院議員に列されたが、偽証罪によって2001年に実刑を受け服役。2003年以降、作家活動を再開した。
代表作に『プリズン・ストーリーズ』、『クリフトン年代記』シリーズなど。

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