アリバイ・アイク: ラードナー傑作選 (新潮文庫)

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制作 : Ring Lardner  加島 祥造 
  • 新潮社 (2016年8月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (469ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102164020

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アリバイ・アイク: ラードナー傑作選 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • オモロイ!
    英語版落語と言ったところだろうか。
    途中でオチも何となく判るのだが、それでもオモロイのも落語と似ている。

  • この傑作選を読んでいくと、わたしたちは本を読むというより、むしろ語り手たちの声に耳を傾けているかのような感覚に陥る。ここに収められた短編では、その多くが誰かが誰かに語りかける形式をとっている。だから、わたしたちは読書というよりも誰かの話を聞いているように思えてくるのだ。その点が、この傑作選の大きな特徴になっている。

    ラードナーの描く物語には、滑稽さや面白みに満ちていても、どこかもの悲しいものや薄ら寒いものが含まれている。それに加え、「チャンピオン」などの物語は、人間関係における強調性や調和を求める心が欠落している人物が登場するゆえに冷酷であり、悲惨だ。

    しかし、この傑作選に描かれた人と人との協調性の欠落、それゆえに調和を求める姿勢というものは、今でも十分に通用するテーマだし、21世紀に突入した現在のわたしたちが直面している現実問題でもある。そこに、ラードナーの現代的意義があるというのはおおげさだろうか。

  • 米国の短編作家、リング・ガートナー(1885-1933)の作品集。野球選手ネタが多い。おしゃべり感覚の独白調でまくし立てる。この作家の独特なテイスト、自分にはちょっと合わないなぁ。

  • 「短編小説の書き方」が読みたい

  • 饒舌体一人称の作品多し。野球テーマも多い。
    「エッセイストの書く小説」らしさが溢れている。

  • 話芸というものがある。早い話が噺家の語る落語のようなものだ。面白いにはちがいないが、そんなものは小説ではない、という声が聞こえてきそうだ。小説のどこがそんなに偉いのかは知らないが、なんとなくただ面白い話や、法螺話を喜んで聞く文化というのが、一昔前はあったが、とんと最近では聞かなくなった。もちろん、寄席に足を運べば、今でも聞くことができる。そうではなくて、床屋だの、湯屋だの、人が集まってくる場所で、「まあ、お聞きよ」と口を開く、話し上手と呼ばれる人がめっきり減ったってことだ。

    近頃では、本を読むということさえ稀になったらしいから、世に珍しい話や奇人変人の噂話は、ネット上に流れる何文字かの文章で処理されることになるのだろう。まあ、時の流れには逆らえない。それはそれとして、一昔前の与太話や法螺話を、一応そういうもんだとのみ込みながら、いいじゃあないか、急ぐわけでもないんだから、ここはひとつゆっくり聞いてやろうじゃないか、という聴く側の料簡が狭くなったから、話し上手も腕を揮えないってことがある。

    逆に言えば、そういう気持ちでかかるなら、何も目の前に話し上手を連れてこなくっても事はすむ。圓朝に口演筆記があったように、語り口調のうまさをペンに乗せて書くことのできる作家というのがいる。マーク・トウェインなんかがその代表だが、このリング・ラードナーもその一人。なにしろ、一人語りで最初から最後まで語りっぱなし、というスタイルの小説が何篇もある。さすがに、そればっかりというわけにもいかないから、話し手を替えてみたり、会話を多用したりするが、語りが主体であることは変わらない。

    ジャーナリスト出身で、自身を作家だと認識していたかどうかも怪しいところだ。売文業というと何だか賤しく響くが、腕さえあればどれだけでも書いて売ることができるわけで、いっそ潔いくらいのものだ。そのかわりと言っちゃあ何だが、話の面白さとオチのつけ方、それと語り口調のうまさは外せない条件だ。いわゆる名人芸というやつ。リング・ラードナーの短篇を読んでいると、読書をしているというより、めっぽう話し上手な男のごく近くにいて、語り聞かせてもらっているような気になってくる。

    スポーツ・ライター出身ということもあって、野球選手の話、ボクシング・チャンピオンの話に精彩がある。タイトルになっている「アリバイ・アイク」もその一つ。どんな選手でも撃ちそこなったり取り損ねたりしたときは、言い訳はつきものだ。ところが、アリバイ・アイクに至っては、ファイン・プレイをした時も、とんでもない打率を挙げたときも、一言言訳(アリバイ)を呟かなくっては終わらない、というのだから厄介だ。

    打っても、取ってもうまいので、アイクのおかげでチームは優勝候補に。ところが、そんなアイクに彼女ができる。婚約したことを仲間に話すとき、ついいつもの癖で言い訳めいたことを口にする。それを聞いていた彼女はアイクに腹を立て婚約を解消して帰ってしまう。意気消沈したアイクは全く打てずチームは苦境に陥る。彼女を取り戻すためにチームメイトが立てた策とは?なんにでも一言言訳をしないではいられない男という設定がいい。プライドが高過ぎるのか、うまくやった時でさえ、本当はもっとできるのだが、と言いたいのだ。どこかにいそうな困ったさんではないか。

    逆に、こんなに酷い男はいない、と思わせるのが「チャンピオン」の主人公、ミッジ・ケリーだ。極悪非道にして冷酷無比。四字熟語のオン・パレードでしか形容できないワルのチャンピオン。しかもめったやたらと強い。あれよあれよという間にチャンピオンの座に上りつめながら、故郷で待つ家族や妻子に金は一銭も送らないという無慈悲さ。この悪党を取材しに来た記者にマネージャーが話して聞かせる美談は全くの嘘ばかり。それが記事... 続きを読む

  • ひゃあー、また素晴らしい短編集、読んだなあ。

    どのお話も面白い、興味深いおしゃべりを
    横で「それで?、それで?」と聞いているような感覚。

    作者のリング・ラードナーと言う人は、
    もともと、スポーツ記者だったそうで、
    この本に出ているいくつかの短篇も
    野球選手が出てくる。

    男の人ばっかり出てくるお話って、良いよね。

    女同士の友情より男同士の友情の方が
    ひたすら傍観者でいられる分、
    朗らかで馬鹿みたいで、憧れることが出来るの。

    「チャンピオン」と言う、とっても強い、
    でも心は荒んでいるボクサーが主人公のお話、

    誰よりも力では負けず、
    ねじ伏せて思い通りに出来てしまう人、
    これは本人もその力に操られると言うか、
    大きな渦に飲み込まれると言うか、
    よっぽどその人が信頼出来る人、
    その人の事を心から思ってくれる人が
    いないと、難しいね。

    「手っ取り早く大金が稼げてしまう身体」を持った女の人が、
    テレビなんかでちやほやされていたのに
    あっという間に不幸せな感じになってしまうのをみた時と
    同じ気持ち。

    「誰が配ったの?」
    旦那さんの幼馴染の夫婦と初めて会った女の人は
    一緒にトランプをしながら、いらないおしゃべりが止まらない!
    これが、旦那さんには悪いけれど
    おかしくって、東西線の中でもう…
    こんな人がパートナーだと、もう、大変だわ!

    「微笑がいっぱい」
    これ、ラストがちょっとわからなくって、
    会社でコピーをとりながら、
    「あ、あれ、そういう事か、そうか!」と急に気付いて、
    どっと悲しくなってしまった!

    そして、ネタバレになるので
    どの話かは書かないけれど、
    ある話に出てきた人が殺されて、
    私は胸がスーッとしたの。

    誰かが殺されて胸がスーッとするなんて、
    と、自分で驚いたけれど、

    やっぱり今、思い出しても
    スーッとするわ!

    村上柴田翻訳堂の噂を耳にしたとき、
    「全部、全部、読むのだ!」と鼻息荒く心に決めたけれど、
    やっぱり好みに合わないのもあり、全部は買っていないな。

    でもやっぱり当たりは多いみたい。

  • 本当、みんなよくしゃべる。
    『誰が配ったの?』が一番笑った。どこの国にもいそうな女性。

  • 旧作だが、確かに短編の名手の傑作というにふさわしい内容だと思う。どの作品にも気の利いたオチが存在し、短編のお手本のようなものばかりだと思った。

  • ヘミングウェイやフィッツジェラルドも愛したラードナーということで気になって購入。
    短編集。会話が中心…というか全ての短編がおしゃべりや会話で成り立つ。人と人との関係ってうまくいくときもあるし、うまく調和しないときもある。そんなことがよくわかる短編集だと思う。それらが少しおふざけで書かれてて面白い。
    お気に入りは「微笑がいっぱい」。

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アリバイ・アイク: ラードナー傑作選 (新潮文庫)の作品紹介

ヘミングウェイやフィッツジェラルドにも愛された、短編の名手にして名物コラムニストの傑作13編。息を吐くように言い訳する野球選手。スピード違反の女性に恋してしまった警察官。冷酷無情な行状を繰り返すボクサー。患者を放っておけないおしゃべり看護婦。夫の自慢が止まらない妻――。アメリカを虜にした饒舌すぎる語り口とユーモアが炸裂する! 《村上柴田翻訳堂》シリーズ。

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