英雄 上巻 (新潮文庫 フ 13-37)

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  • Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102165379

作品紹介・あらすじ

口中を銃で撃たれた惨殺体がワシントンで発見された。マフィアの抗争に絡む事件かと思われたが、被害者がロシア大使館員だと判明。FBI捜査官カウリーは、急遽、モスクワ民警のダニーロフに協力を要請した。再度コンビを組んだ二人だが、捜査の前に立ちはだかったのはマフィアと癒着する民警上層部だった!国境を超えた捜査官コンビの英雄的活躍を描く、国際サスペンスの傑作。

感想・レビュー・書評

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  • ロシアの民警ダニーロフとアメリカのFBI捜査官カウリーが国境を越えてコンビを組むダニーロフ&カウリーシリーズ第2弾。
    不幸な事に第1弾である『猟鬼』は絶版で手に入れることが叶わず、未読。そして本書はその『猟鬼』の真相に存分に触れているというシリーズ読者には親切な作品。

    ダニーロフの人物造形がまず面白い。
    不当な扱いを受けながらもそれを糧に有能振りを発揮し、上司をいいようにあしらう辣腕ぶりは痛快だ。そしてそれが強固な背骨を持った、やわな虚勢でない事をロシアマフィアとの対話で知る事になる。

    またストイックな性格のカウリーは心理学に基づいた尋問をしたり、FBIの最新捜査技術を駆使して、ロシア側だけなら何ヶ月もかかる捜査をあれよあれよという間に進めていく。

    無骨ながらも少ない頭髪を気にしたり、友人の妻と浮気をしているロシアの警察官、酒を控え、ストイックなまでに任務を遂行するFBI捜査官。ロシア人とアメリカ人とで比べれば、大方その人物設定は逆になるであろうと思われる。これこそフリーマントルならではの味付けといったところか。

    事件の真相はゴルバチョフの時代に起きたクーデターで紛失した2,000万ドルにもなる共産党資金についての争奪戦の様相を深めていく。

    ロシアの大使館員とスイスの投資会社社長のパイプ、そしてマフィアネットワークの構築など、話が進めていくにつれ、事は大きくなっていく。

    この辺は後に読むノンフィクション『ユーロマフィア』で培った取材に基づくところによるものだろうが、よく考えられている。何しろ破綻が無い。

    かつて天敵であったロシアとアメリカがチームを組むが、やはり冷戦の頃の根は深く、お互いが大団円で利益を分け合うようにはいかない。この辺のリアルさが作者の誠実さなのだろう。

    ロシアの大使館員が被害者という事で両者のうちダニーロフに関する描写・挿話の比重が高く、カウリーの印象が薄かった。前作『猟鬼』が未読なので不明だが、カウリーについては前作で語られたのかもしれない。もしそうでなければ作者はダニーロフの方が好きなのかも。
    (下巻の感想に続く)

  • ダニーロフ&カウリーシリーズ2作目。やっぱり得意分野だし面白い。

  • フ−13−37

  • ダニーロフだ

  • ダニーロフ&カウリーシリーズの2作目。

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