謎の奇病に似た症状で亡くなったと思われる新石器時代の人間の死体がシベリアのバイカル湖周辺の洞窟から発見されたとの情報に、急ぎ飛び立つ調査チーム員たち。一方、病気解明対策の立役者としてアピールしようという腹の政治家らは、同時に責任逃れも考えていて、各国間、個人間での醜い争いも読みどころのひとつ。全体としてはすごい作品だと思うが、自分が今一つ乗りきれなかったのは、登場人物らの軽薄さ、浅はかさが目についたからかもしれない。彼らの軽薄な行動がもたらしたラストの衝撃的な事実は、現実的にも取り返しのつかないところまできているぞという警鐘を鳴らしているように思えた。