これは推理小説ではない。
「本格推理」であるか否かというレベルの問題ではない。
セバスチャン・ホームズのスパイ物小説である。
「ホームズ」の名は、単にファンの注目を集める以上の意味合いはない。
この本を、シャーロックホームズものパスティーシュの一つに入れるのには気が引ける。
しかし、「シャーロック・ホームズの息子」(原題は「The Holmes Inheritance」)というタイトルには、無視するにはあまりにも魅力的である。
というわけで、パスティーシュの一つとして認めることには眼をつぶらざるを得ない。
続編「ホームズ二世のロシア秘録」(原題「The Holmes Factor」)がでているらしいが、それを読むことはないだろう。