ハンニバル(上) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102167038

作品紹介・あらすじ

あの血みどろの逃亡劇から7年-。FBI特別捜査官となったクラリスは、麻薬組織との銃撃戦をめぐって司法省やマスコミから糾弾され、窮地に立たされる。そこに届いた藤色の封筒。しなやかな手書きの文字は、追伸にこう記していた。「いまも羊たちの悲鳴が聞こえるかどうか、それを教えたまえ」…。だが、欧州で安穏な生活を送るこの差出人には、仮借なき復讐の策謀が迫っていた。

感想・レビュー・書評

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  • レクターの物語。

  • 映画も好きだけどやっぱこれ原作だよなあ。頭のなかではどうしてもクラリスはジョディーフォスターだ。クロスフォードの扱いはクラリスの巣立ちを見せたかったのか、としても、だ?

  • 言うまでもなく、天才的精神科医で稀代の殺人鬼ハンニバル・レクター博士シリーズの最新作にして最終作。……最終作ではないのかもしれないけど、私はもうこれで完結でいいと思った。
    たしかにすごく面白い。下巻に入れば一気読みだが、想像とは全く違う続編だったので、期待を裏切られたという意味で★マイナス1。個人的に期待していたのは「レッド・ドラゴン」のグレアム刑事とクラリスとレクターの三つ巴(笑)。やっぱり殺人者としてレクターにちゃんと裁きが下されるのを期待していたの……などと書くとレクターのファンから殴られそうだが、三人の鬼気迫る攻防が見たかった。
    ところが、レクターは今度こそ完全なる主役(ヒーロー)になってしまった。ヒロインであるクラリスとの例の賛否両論のラストへなだれ込むためのお膳立ても十分に整っている。

    「羊たちの沈黙」から7年後、なんだかんだいってまだまだ男社会のFBI上層部の中で孤立していたクラリスは避けがたい失敗を犯したことから職を解かれそうになる。そんなクラリスにレクターから手紙が届く。クラリスは数少ない手がかりからレクターの居場所を探り出そうとするが、同時に水面下でレクターを探す男がいた。大富豪メイスンはレクターの手にかかって生還した唯一の犠牲者だったが、四肢麻痺と顔の大半がなくなるという姿にされたのだった。復讐に燃えるメイスンはレクターが唯一接触をはかってくるであろうクラリスを使い、彼をおびき出そうと各策するが――

    賛否両論あろうが、とにかくハリスが「羊たちの沈黙」によって確立したこのジャンルを今回自ら見事に超えたものを書いたことは間違いないと思う。ここまでくると「文学」と呼んでも差し支えないのではないかと思うほど重厚な部分もある。ただ、私はクラリスはレクターに催眠術か何かをかけられたのだと信じたい(笑)。

  • レクター博士は冷酷な食人鬼でありながら、冷静で知識教養があり、一人で生きていく力に満ち溢れている。そこがもうどうしようもないほどに魅力的に感じてしまう危険な人物。目を覆いたくなるような描写にうわぁ、と思うのに読むのを止められない。トマス・ハリス大好き!

  • 「羊たちの沈黙」で、南米だかどこだかへ逃げた後の物語。
    フィレンツェの描写が美しかった。

  •  満を持して、レクター博士を主軸に置いた物語である。
     冒頭を読むとアクション方面に風景が変わった?と驚くのだが、いやいやそれは猫だましのようなもので、アクションスリラーにはならない。大丈夫。

     バーニーの語るレクター博士像が美しい。
     「レクター博士は完璧なマナーを身につけていました。とはいっても、堅苦しいマナーではなく、優美で気取らないマナーを。あの頃自分(バーニー)はある通信教育のコースで学んでいたんですが、彼(レクター博士)はその学識をこちらに分け与えてくれた。といっても、チャンスと見たらこっちを殺そうという意思まで失くしていたわけじ一人の人間の中で人間のなかで、ある資質が別の資質を抹消し去るこ有り得んのです。それは両立するのですよ、良い資質と恐るべき資質とは(後略)」

     格好いい!

  • レクター博士にまたお会いできました。相変わらずのパワフルさでたじろいでしまいます。下巻、また楽しみですが、食欲はなくなりそうです。

  • 「羊達の沈黙」で華々しくFBIデビューしたクラリスを知ってる読者には、中々に辛い展開のシリーズ第二弾。主人公がひたすら国家権力やマスコミにいじめ抜かれる話は…読んでて辛いんだぜ…。

    初っ端から鼻持ちならない官僚や胸糞悪い聴聞会のクラリスバッシングが続いた後に、それ以上に不快感を喚起する大悪党(博士じゃありません、念の為)のおぞましい復讐プランの内容が描かれて、「早くクラリスと博士の会談くれよー(泣)」となった方も多いんじゃないでしょうか( ^ω^ )私はなりました

    そして、第二章の舞台はそんな可哀想なクラリスがいるアメリカから一転、海を越えて遠くイタリアへと移ります。博士ーーっ(TωT)ようやく出て来てくれるのね、早くクラリスを助けてーーー!!と思ったら、クラリス救出劇ではなく博士の逃走劇編でした( ^ω^ )それもそうか←

    ここで語り手として登場するのはイタリアの捜査官。彼のレクター博士追跡劇が展開されるわけですが、懸賞金に目がくらんだ警察内部で落ち目の男が、レクター博士と思われる男を発見し、彼だという確証を得た後、哀れな結末を迎えます。ま、レクター博士に敵意を持って関わろうとすると、そうなりますわな←←

    上巻は人物説明などに割いてる部分が大きいので、物語が大きく動きだす展開は下巻に委ねられるんでしょう。下巻ではきっと、博士とクラリスの会話がまた読めるんでしょう!
    それに期待して、無難に星3つです( ^ω^ )


    麻薬組織との銃撃戦の最中、赤子を抱いた組織の女を撃ち殺したクラリス。マスコミや上層部に糾弾される彼女に、ある日一通の手紙が届いた。
    「今も羊達の悲鳴が聞こえるか?」
    七年前に姿をくらませた連続殺人犯ハンニバル・レクターからのその手紙の存在が、彼に復讐を誓う男に知れた時、恐るべき悲劇の幕が切って落とされた!

  • ☆3〜4。

    原作小説と映画でエンディングが異なる、とどこかで見かけたかも、じゃあ…となり読み始めた。

    羊たちの沈黙に続き、「クラリス・スターリング」というキャラクターが好きだと(改めて)感じた。
    そしてレクター博士。おぞましさと優雅さのバランスが絶妙で、許し難いのにどこか惹かれてしまうというか……。地球上には数えきれないほどの物語があるけれど、その中でも屈指のキャラクターだと思った。
    映画で「本当ムカつくこいつ!!」となったクレンドラー、小説でもそうだった。まだ上巻なので、ムカつき度合いはそこまで高くはないけど……こいつ!!



    自分の読書経験値が足りないせいか……?と考えたりして……やっぱり、ちょこちょこと、翻訳(単語)が気になってしまった。一般的な単語。スペルにvがあるものを「ヴ」で書く、とか。(ヴェテラン、リヴォルヴァーなど)
    それに、スペル?発音?の通りに表記されている単語も。ジャグゥアー(だったと思う)、インターポル、など。
    できるだけ原語に近い表記がされたほうがいいかなと思うけど(人物名などの固有名詞)、世間に浸透している表記もあるわけで……その辺りってどうなっているのか。物語と関係ないところですごく考えてしまった。
    しかし「グランドファーザー時計」には「?????」となってしまった。しばらく考えて、あの歌みたいな時計ね、と理解できたけれど……。

  • とにかく面白かった

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著者プロフィール

ウィリアム・トマス・ハリス三世(William Thomas Harris III)
1940年テネシー州ジャクソン生まれ、テキサス州ウェイコのベイラー大学(Baylor University)卒業。地方紙記者を経てAP通信社でレポーター兼編集者に。この期間中の知見が小説の機縁となる。
著作は現在5作。映画化もされた『ブラック・サンデー』をはじめ、「ハンニバル・レクター」シリーズの『レッド・ドラゴン』、ブラム・ストーカー賞を獲得した『羊たちの沈黙』に、『ハンニバル』、『ハンニバル・ライジング』。

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