ハンニバル(下) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (466ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102167045

感想・レビュー・書評

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  • 途中やや退屈に感じる場面も多かったものの、レクター博士がメイスンにとらわれてからは怒涛の展開で面白かった。

    ただ、結末は映画のほうが好き。
    同調して共に歩んでいくことになるのならそれはそれでわかるのだけど、薬を射たれる前までのクラリスはレクター博士とあぁなることを望んでるようには見えなかったので、ちょっと唐突すぎるというか…。
    作者がクラリスを気に入ってるんだろうなという感じはするんだけど、あれではクラリスの人格だのなんだのを踏み躙りまくってるのでどう足掻いてもハッピーエンドではない。
    そこを狙って書いたのだとしたらあれはあれでいいバッドエンドなのかもしれないけど。

    個人的にはマーゴが好きかな。

  • 感情と生命の飛沫が激しくぶつかり合う先に、何者をも沈黙させる果てない愛の深淵。

    ワインとトリュフの濃厚さかと思いきや、夜気に冷やされた絹のような感触。

    身体を全て相手に解かれ、眼の底や骨の髄まで感じ合う時間は、見る者にとっては異様ともとれますが、此れ程のまぼろしは愛の極致だと思います。

  • 個人的に終わり方が釈然としないと言うかその終わらせ方は無いだろう・・・と感じたなぁ。

    確かに全てを読んだあとなら終わり方を匂わすような箇所はあったけれど、じゃ今までのクラリスの活躍はなんだったの??

    ジャック・クロフォードは何のために定年を控えていたのに最前線で、異常犯罪の解決に取り組んできたの??

    そう思わざるを得なかったし、なんかちょっと無理やり感もあったかな・・・。

    最後の直前まではすごく楽しかったんだけど。笑

  • 独特の緊張感が漂う。サイコスリラーというのかな? レクターという魅力的ではあるもののやはりただの人殺しであるという不思議な気分で読む事に。
    そこに見透かされるのか、興味が持続するかどうかという緊張感があり作品独自の面白さがそこにはあったと思う。

  • この物語の最初にクラリスは「理解と共感は違う。その違いを知ることが大人になるということだ。」と言っていたけれど、前作の若い頃からクラリスはレクター博士を「理解」できていて、それが今作の最後では「共感」もできてしまったということなのかな。

    クラリスにとっては父親、レクター博士にとっては妹という心の大きな空洞があって、陰と陽が見事に噛み合ってしまった。もともと最初から自分たちは同族といった「理解」はあっただろうし、才色兼備な女性にありがちなクラリスの表層的な社会的鎧をレクター博士が薬と時間で溶かしてしまって、こういうラストになったのでしょう。

    共通の敵となって殺されたサディストが、食肉加工会社の経営者というところからもクラリスは屠殺される側の恐怖から精神的に救われて、「羊たちの沈黙」は見事に伏線を回収したように思いました。
    だから、この物語は『羊たちの沈黙』を読んでから読もう!

  • 作風が変わったのかな、と読み始め、しかし一気に読了のおもしろさ。おもしろさ?麻薬の中毒ににているかも。毒されながらもやめられないという。

    第一章の「ワシントンDC」なじみ(主人公たち)のゆくえが興深く、活劇のスピードを読み終わると、第二章「フィレンツェ」

    実際フィレンツェに観光で行ってるものだから、なんとも魅力的な章。ヴェッキオ宮殿!思い出した、思い出したドゥオーモ、ウッフィーツィ美術館、そしてアルノ川。しばし自分の追憶に浸ってしまう。

    トマス・ハリスのうまい作家技。それだけでなく描かれているのは、悪業を追う女性捜査官に降りかかる同職たちの出世、野心、エゴの波。正義に立ちはだかる不条理も味わってしまう、共鳴をよぶ。

    もちろんストーリーの展開にもあっと驚いた。

    だんだん気持ち悪くなってくる描写もあるにはあるが、そこはそれ麻薬的の魅力があるんだね。ちょっと恐い。

    続く『ハンニバル・ライジング』は評判よくないようだけれど、『レッド・ドラゴン』『羊たちの沈黙』『ハンニバル』と各独立の一書と思えば興味わく。

  • 原題 HANNIBAL

    7年の時を経て(作中で)再び回り出す歯車。

    レクターとスターリングは、たぶん二つの隣り合うパズルのピース。認識してるかしてないかの違いはあるけども…というのが最後の第六章「長いスプーン」を読んだ(ショックから立ち直った)後の、行き着いた感想。
    レクターもスターリングも、なぜそうなった?ではなく、もともとそういう〝存在〟だったと考えれば腑に落ちる…かな。

    それにしてもここで長いスプーンとは…天国と地獄、どっちだろ。

    なぜハンニバルという名前にしたかも気になって調べてみた。バアル(嵐と慈雨の神)の恵み、という意味があるみたい。悪(嵐)と善(慈雨)の恵み、としてみると、二人を象徴してるようで面白い、かな?

  • 再読。映画のラストシーンも記憶に鮮明に残っているのにハラハラドキドキ。もう読みたくないほど気持ち悪い場面も多いのに読む手を止められない。おそらくレクター博士のイタリアでの生活や山の中での生活様式が優雅で穏やかだからなのかなぁと。悪人というのは本当に魅力的で、だからこそ本当に危険。またどこかで読み直すであろう作品。

  • 感想は上巻に

  • クラリスが地道な捜査でレクター博士を追うが、メイスンが横槍を入れて、レクター博士を拉致する。クラリスの突入により、レクター博士は難を逃れ、麻痺したクラリスを催眠療法でいじりつつ、人肉ディナーを行う。ラストは、オペラ観劇をする、レクター博士とクラリスで締め。
    メイスンがレクター博士を豚に食べさせようとするくだりは、どこまで本気なんだかと思うが、その後の展開から人肉ディナーのくだりは、ゾッとして良い。

著者プロフィール

ウィリアム・トマス・ハリス三世(William Thomas Harris III)
1940年テネシー州ジャクソン生まれ、テキサス州ウェイコのベイラー大学(Baylor University)卒業。地方紙記者を経てAP通信社でレポーター兼編集者に。この期間中の知見が小説の機縁となる。
著作は現在5作。映画化もされた『ブラック・サンデー』をはじめ、「ハンニバル・レクター」シリーズの『レッド・ドラゴン』、ブラム・ストーカー賞を獲得した『羊たちの沈黙』に、『ハンニバル』、『ハンニバル・ライジング』。

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