ハンニバル・ライジング 下巻 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102167076

感想・レビュー・書評

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  • 悲しい過去だけど、全員がレクターのようになるわけではない。なので、完成されたレクター博士に、どうしたらなるのか、もう少し知りたかった…

    紫とのやり取りは優雅で、知的だったし、あったまいいなーもう!本当に憎めないよ!という点は裏切られておらず、本当に満足だった。

  • 『カリ・モーラ』がダメダメだったので、期待せずに読んだが、『羊たちの沈黙』や『ハンニバル』ほどではないものの、割と良かった。ハンニバル・レクターが少年から復讐者となり、復讐を遂げるまでの話。こんなに日本趣味のサイコパスだったとは。というか、著者自身が日本が好きなのかもしれない。

  • 謎は謎のままである方が美しかったりするのかしら、と思わずにはいられませんでした。
    上巻ではハンニバル少年の過去の記憶と紫夫人との交流が描かれ、
    下巻ではハンニバルの復讐劇が加速しながら進んで行くのですが…(O_O)

    私(凡人)の理解の範疇を超越した存在(天才)だった筈のレクター博士が、本作を読み終えた瞬間、理解の対象になり得てしまったように感じました。
    天才を理解したいのに理解したくない、この奇妙な凡人心は一体何なんでしょう(笑)。
    【羊達の沈黙】で理解に難かった博士が、今作で一気に人間味を増してしまったというか…私みたいな凡人にも容易に理解できる心の機微が、あまりに私達側だったのが逆に衝撃的でした。シリーズ全体のレビューを見たわけではありませんが、本作が最も評価が低いんじゃないでしょうか?

    何故、妹をあの様な形で亡くした彼が、カニバリズムに開眼したのかという説明付けが明確になされていないようにも思いますし、博士の人格形成について過分に消化不良な作品になってしまいました。私にとっては。

    …返す返すも、四季シリーズの凄さを思い知るなあ←しつこい(笑)

  • もう、ハンニバル博士になりたい。
    これを読むと、自分の奥底にある感情の蓋を外される様な気がして、ならない。今も思い出すたびに、人に噛み付きたい衝動に駆られる。
    素晴らしくも、恐ろしい作品です。

  • 1941年、リトアニア。ナチスは乾坤一擲のバルバロッサ作戦を開始し、レクター一家も居城から狩猟ロッジへと避難する。彼らは3年半生き延びたものの、優勢に転じたソ連軍とドイツ軍の戦闘に巻き込まれて両親は死亡。残された12歳のハンニバルと妹ミーシャの哀しみも癒えぬその夜、ロッジを襲ったのは飢えた対独協力者の一味だった……。ついに明かされる、稀代の怪物の生成過程!
    愛する者をすべて喪ったハンニバルは、無感動な孤児院生活を過ごす。そんな彼を引き取ったのはフランス人の叔父ロベール。ハンニバルはその妻である日本人女性、紫夫人の薫陶に与るとともに、その魅力に強く惹かれてゆく。だが、凶事の悪夢は去らない――。最年少でパリの医学校に進んだ彼は、持てる英知と才覚を駆使して記憶の一部を取り戻し、復讐すべき獣たちを狩りはじめる。

  • レクター博士が日本の薫陶を受けていたというのは、日本を長い歴史を持つ極東の神秘の国として感じられる西洋の方にはより彼の精神の奥深さを感じられるエピソードなのかもしれないけれど、リアルにぐだぐだな今の日本に生きている自分からするとそれが逆効果だったかも…。
    博士が築き上げてきた「記憶の宮殿」は、自分も宮殿までには至らずとも「記憶の2LDK」くらいは築きたいと思いました。

  • レクター博士はなにゆえ怪異な人物になったか、の興味だけでは終わらない意表をついた小説だった。

     そのひとつ、前半のヨーロッパ戦線における少年時代のハンニバルの経験は、ミーシャという妹ともに『火垂るの墓』を髣髴させる、戦争のいたましさ。これはおぞましさも加わって。

     トマス・ハリスも1940年生まれ、戦争の悲惨さは記憶としてはっきり経験していないと思う。知らないことをありがたく思うだけではいけない。書いても書いても語りつくせないを書く作家魂。

     ふたつめは日本文化吸収のこころみ。源氏物語、紫式部にあこがれを持ったらしい。日本の時代がかったエッセンスが加わったごった煮で、相変わらずこそばゆいような表現ながら、いやではないくらいに研究してある。

     考えてみればあだ討ち、いくさの首切り腹きりは時代小説のジャンル。これも決して尋常ではないのだ。さすが人肉食はない(はずだ)。

     『レッド・ドラゴン』『羊たちの沈黙』『ハンニバル』、それぞれ比喩として読むのだけれど、人間のこころの旅は深く長く何処までも行く。

  • 愛する者をすべて喪ったハンニバルは、無感動な孤児院生活を過ごす。そんな彼を引き取ったのはフランス人の叔父ロベール。ハンニバルはその妻である日本人女性、紫夫人の薫陶に与るとともに、その魅力に強く惹かれてゆく。だが、凶事の悪夢は去らない―。最年少でパリの医学校に進んだ彼は、持てる英知と才覚を駆使して記憶の一部を取り戻し、復讐すべき獣たちを狩りはじめる。

  • 映画の脚本がトマス・ハリスだというので観たい気もするけれど、勇気が出ないなぁ。レクター博士の生い立ちは壮絶でありながら文化・教養の素地も幼き頃に習得し、凶暴でありながら気品のある人物になったことがわかる。ただ、辛い生い立ちの有無に関係なくレクター博士は出来上がった気がする。凶暴性の現出は遺伝子とか自分で培えない持って生まれたものなのかなぁと。時間をおいて読み直すと新しい発見がありそうで楽しみ。

  • 「ハンニバル」で終わったと思ったが、続編が出ていたとは。続編というか、少年時代というパターン。
    あのレクター博士がどのように出来上がったのかと興味津々で読み終えた。
    もっとページ数があってもいいのに。

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著者プロフィール

ウィリアム・トマス・ハリス三世(William Thomas Harris III)
1940年テネシー州ジャクソン生まれ、テキサス州ウェイコのベイラー大学(Baylor University)卒業。地方紙記者を経てAP通信社でレポーター兼編集者に。この期間中の知見が小説の機縁となる。
著作は現在5作。映画化もされた『ブラック・サンデー』をはじめ、「ハンニバル・レクター」シリーズの『レッド・ドラゴン』、ブラム・ストーカー賞を獲得した『羊たちの沈黙』に、『ハンニバル』、『ハンニバル・ライジング』。

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