雪のひとひら (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (159ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102168059

感想・レビュー・書評

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  • 本屋さんでこれから本棚に上ろうという段階のカートで背表紙のタイトルに綺麗なものを感じ、引っ張り出して表紙にひとめぼれ。
    雪に女性の一生を託して書かれたというあらすじにまた惹かれて購入。

    童話のように慈しみに溢れ、優しく透き通った日本語で訳されている。
    物語も山から海に出るまでささやかながらも波瀾万丈。このささやかな部分というのがもはやありきたりではなくなっているのだが、憧憬にも似た思いで見守る。
    訳の見事さで忘れていたが、そういえばキリスト教圏の作者だったことを思い出し、神様や奉仕という言葉に納得を覚えた。
    訳者によるあとがきに与謝野晶子の詩が用いられていたことが、女の物語をより強く感じさせた。
    何か大切なことを思い出させてくれるような一冊。

  • なんか二人称の小説ってないのか!!と思って、ママさんの本棚を探したら出て来た本。童話かな?と思ったらとんでもなく深いお話しで、全ての言葉が美しくて、ぎゅっと生きる意味について考えました。5年くらい経って、また冬が始まる頃に読み直そうと思います。

  • 一生の中で彼女が出会う世界はとても狭い。でも一人の人間が出会う世界だってそれくらい狭いのだろう。

  • 女性の一生を雪のひとひらにたとえたファンタジー。「川の流れのように」なんて歌がありますけれども、雪のひとひらの人生は、水の流れに流されていくなかでの人生です。そのなかでも、喜びがあり、悲しみがあり、美しさにうっとりするときがあり、そして苦難がある。わたしはいったい、なんのために地上に降りてきたのだろう、と雪のひとひらは考え、そして、その最後に答えを見つけだします。その答えは奉仕する役割をまっとうするためにこの世界に降りてきた、というようなものなのですが、実際、人間の人生であってもそのように考えてみると、「なぜ自分ばかりがこのような大変な目に遭うのだ」という嘆きや憤りが昇華されると思います。「そうか、自分は世界に奉仕するために生まれたわけで、その役割を果たしている」とわかることで救われるものがあります。こういうのはキリスト教の価値観からくるのでしょうか。前に読んだ、同じ著者の『スノーグース』という短篇集でも、そのことを強く感じましたし。この不条理な世界で生きていくための賢い感覚だよなあと思いました。宗教のすごいところってこういうところにあるんですよねえ。

  • 女性の一生を寓話化した物語。
    雪の結晶である”雪のひとひら”という女性?が生まれ、その一生を全うするまでが描かれている。
    人を愛し、ひたむきに誠実に生きる彼女の生き方に美しさと気高さを感じる。
    本当に何度読んでも感動して泣いてしまう本だ。

  • この世に生まれた意味とは?

    誰だって考えたことがあるはずで、でもその意味を定義することはかなわない。

    みんな、誰かの言葉に納得したり反発したりするだけで、本当に自分が生まれてきた意味を自分自身で見つけることは難しい。

    でも、考えることを諦めないで毎日を煌めいて生きていたいあなたに贈る一冊。

  • 雪のひとひらの一生を、詩的に表現力豊かに描いている。雪のひとひらが空に生まれてから、また空に帰るまで、穏やかさの中に、大きな愛と深い哀しみが満ちあふれている。

  • 「猫語の教科書」が面白かったので2冊目のギャリコ。

    主人公は雪の結晶
    雪のひとひら

    雪のひとひらを通して女性の一生が描かれている

    何のために生まれたのだろう
    何のために生きているのだろう

    あたたかい 美しい おそろしい すてき 幸せ くるしい 悲しい 好き お日さま ありがとう 春 大冒険 おだやかな日 出逢い 寄り添い 喜び 慈しみ わかれ ほほえみ 旅立ち おびえ 甘やかな夢

    いろいろな感情を得て人は生きている

    雪のひとひらの綺麗な喋り言葉がすてき
    カバーの写真も装幀も挿画もすてき

    ゆっくりと読みたい一冊

  • 何のために生きているのだろう、を描いたお話。

    読んでいて、「どうして周りの人とは会話しないのだろう」と思ったのだけれど
    あとがき等を読んでいて、ひとひらは自分のことを自分だけのものとして考えているんだ、と
    すっかり周囲と比べることになれている自分に恥ずかしくなりました。

    とても綺麗な、世界を愛せるような言葉選びでした。

  • 男の人には共感してもらえない作品だろうなあ、と読み終えて思いました。
    この静かで、全体的に柔らかく、時折訪れる危険な障害など、特に結婚されている人には感じるものがあるんじゃないかなと思います。
    少女時代、好きな人ができて、子供が生まれる。夫の死、子供が旅立ち、静かな孤独の内の死。
    誰の為に、どうして、私がいても意味があるのか。
    社会的ではない自分の存在意義というものは、女の人は無意識に考えるものではないでしょうか。

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著者プロフィール

1897年、ニューヨーク生まれ。コロンビア大学卒。デイリー・ニューズ社でスポーツ編集者、コラムニスト、編集長補佐として活躍。退社後、英デボンシャーのサルコムの丘で家を買い、グレートデーン犬と23匹の猫と暮らす。1941年に第二次世界大戦を題材とした『スノーグース』が世界的なベストセラーとなる。1944年にアメリカ軍の従軍記者に。その後モナコで暮らし、海釣りを愛した。生涯40冊以上の本を書いたが、そのうち4冊がミセス・ハリスの物語だった。1976年没。

「2023年 『ミセス・ハリス、ニューヨークへ行く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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