チャイルド44 上巻 (新潮文庫)

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制作 : Tom Rob Smith  田口 俊樹 
  • 新潮社 (2008年8月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102169315

チャイルド44 上巻 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • ずーーと読みたかったこの本。やっと読んだ~。
    とりあえずは上巻。

    これ、おもしろい。
    舞台は旧ソビエト。スターリンの時代です。
    読む前は「なんか難しそうだな~」と思ったけど、なんのなんの。
    とっても丁寧に書かれて、翻訳もわかりやすく、日本の警察小説を読んでるような感じ。

    なんでも、国のままにならないと、無罪でも処刑・重刑され、濡れ衣もきせられ左遷される。家族にも害が及ぶという正に共産主義な支配下に置かれた主人公が、シリアルキラーの真相に挑むという大スケールな話。

    読んでて、このソビエトという国の支配にムカムカさせられたことか。

    上巻のほんとの最後のほうで、やっと本編に入るような展開になってるけど、でも十分面白い。
    下巻が楽しみだ~!

  • いやー、殺人鬼なんかよりスターリン時代のソ連怖すぎる。
    上巻はほぼまるごと当時のソ連の社会描写に費やされている。
    「国家は正しい」(しかも科学的にそれは証明されている!)という理念が前提とされ、それを少しでも揺るがすものはたとえ現実であっても「間違っている」とされる。
    だから捕まえた容疑者はすべて犯人(自白するまで拷問するから)だし、それを覆すような証言は存在しない(そんな証言をするのは犯人の仲間だから)。
    主人公は国家保安省の高官として、そんな社会に多少の疑問を抱きながらも「「より大きな善」のために「犯罪者」を捕まえる日々を送っていた。
    この主人公が送る日々の描写が素晴らしい。
    ソ連時代の恐怖政治については多少知ってはいたけれど、こんなに生々しく描かれている物語は初めて。
    下巻も楽しみ!

  • 1980年代に女子供50人を殺したチカチーロ事件に着想を得て、1950年代のスターリン政権下のソビエトを舞台に描いた作品。このミス2009年版海外部門第1位ということで読んでみる。

    殺人鬼よりも、とにかくソヴィエト社会が前提としている不文律が恐怖。
    ソビエトでは平等の社会が実現しているので犯罪は起こり得ない。
    もし犯罪を犯す者がいるとすれば、それはソヴィエトの体制の埒外にいる者で、排除しなければならない。

    この不文律が人々の日常生活に恐怖と不信を植え付けます。
    硬直した社会システムが無実の人々を殺していきます。真面目に仕事をしていても嫌疑をかけられたが最後です。なぜなら国家に捕まえられた容疑者はすべて犯人だから。それは自白するまで拷問するからです。それを覆すような証言は存在しません。そんな証言をするのは犯人の仲間だからです。魂を切り売りして心を殺さなければ、体が生き延びることができない社会です。

    そんな窒息しそうな社会の描写がひとつ。
    そこにソヴィエト全土にわたる連続殺人というミステリーが加わって大スペクタクルになっています。
    すごい小説です。

  • 洋書にありがちな日本語訳の微妙なずれが全く無く、読んでいると日本人作家のものかと思うほど。捜査官のレオ・デミドフがとてもいい。映画化するなら、絶対ダニエル・クレイグに演じてもらいたい。

  • 暗い暗い旧ソ連の恐怖政治下の話。推理物だけど、読み応えの部分では抑圧された人々の生活の方があるかも。これから下巻にかけて事件がどう展開していくのか期待。

  • 冒頭の飢餓の描写から眼を奪われ、終わりまで一気に読んでしまいました。国権の代行者イコール正義であり、良心や良識が否定される社会の恐ろしさをジワジワと感じます。

  • うーん、読むのが辛い・・・

  • 上下巻あわせてのレビューです。

    劇場で観た映画版『チャイルド44 森に消えた子供たち』。サスペンスフルでとても面白かったけれど、主人公の行動は説得力に欠け、犯人もただのイカレたオッサン。ミステリーとしてはイマイチでしたから、トム・ロブ・スミスの原作ではどうなっているのだろうと興味津々。

    『このミス』にランクインしたときに読んだという友人は、かなりとっつきにくかったと教えてくれました。確かに、『卵をめぐる祖父の戦争』といい、旧ソ連が舞台の話は重苦しくてとっつきにくい。上巻は冒頭シーンが大きく異なるものの、まぁ映画と同じと言ってもよく、こりゃ映画を先に観ていなければ、読み進めるのに苦労しただろうと思いました。

    「ふ~ん、フツー」と思いながら下巻へ。そうしたら、冒頭シーンの意味がわかる後半から、もう怒濤の面白さ。

    完全ネタバレなので、原作をお読みになるご予定の方はご注意を。

    原作の冒頭では、まだ少年の兄弟が森へ出かけます。飢餓の時代、猫の鳴き声を聞いた兄のパーヴェルは、弟のアンドレイを連れて、猫を捕らえるために森へ。暗闇で猫を捕獲したかに思えたそのとき、パーヴェルの姿が見えなくなります。実はパーヴェルはある夫婦に襲われて連れ去られたのです。

    その夫婦は飢え死にしかけている自分の息子を助けるために、パーヴェルを殺して息子に食べさせようとしていました。しかし、意識を失ったパーヴェルを袋に詰め込んで帰ったときには息子はすでに死亡。パーヴェルを殺す必要がなくなった夫婦は、パーヴェルに食糧を与え、「帰ってもよいし、自分たちと一緒に来てもよい」と告げるのです。以後、パーヴェルは夫婦の息子だったレオの名前で生きます。

    大好きだった兄に見捨てられたと思ったアンドレイは、パーヴェルのことを片時も忘れませんでした。あるとき、戦争の英雄としてパーヴェルが掲載された新聞記事を目にします。兄が軍の重要機関に勤めていることを知り、アンドレイはパーヴェルにメッセージを送ることに。そのメッセージというのが数々の猟奇殺人でした。

    映画を観たときに原作は決してこうではなかったはずと感じたとおり、犯人はただのイカレたオッサンではなかったし、遺体の様子を見たレオが何かに突き動かされて、事件に異様な執着を見せることも、原作を読めば納得。

    レオとライーサの逃走劇に何の見返りもなく手を貸す人々。このくだりには胸が熱くなります。あきらかな狂人ながら、兄が気づいてくれるのをひたすら待つ弟、その弟を自らの手で殺さなければならなくなった兄。

    本作はロシアでは発禁処分になっているそうです。理想国家では殺人事件など起こらない。そう人々に言わせていたがゆえに実際に起きたアンドレイ・チカチーロ事件。著者はチカチーロ事件に着想を得たとのこと。犯人の名前もここから来たものだったのですね。

    下巻途中からはかなり興奮しました。国内編では唖然呆然とさせられることも多い『このミス』も、海外編のランキング1位は侮れず。

    映画の感想はこちら→http://blog.goo.ne.jp/minoes3128/e/5a174a3f00220aa28a66a71e943f8844

  • 2017年2月26日に開催されたビブリオバトルinいこまで発表された本です。テーマは「夫婦」。

  • 【スターリン体制下のソ連。国家保安省の敏腕捜査官レオ・デミドフは、あるスパイ容疑者の拘束に成功する。だが、この機に乗じた狡猾な副官の計略にはまり、妻ともども片田舎の民警へと追放される。そこで発見された惨殺体の状況は、かつて彼が事故と遺族を説得した少年の遺体に酷似していた…。】
    (「BOOK」データベースより)

     ようこそ! どの国も成し遂げなかった平和と安全を実現した、理想郷へ! 犯罪? そんなものないない。あるならそれは敵国のスパイのせいだ。捕まえて尋問しなきゃ。例えどんな手を使ってでも。国家繁栄のためならなんだって許される。
     だってここは資本主義のソビエト連邦。凍えそうな吹雪に囲まれた、世界で最も安全な国だから……。
    (感想は下巻へ)

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チャイルド44 上巻 (新潮文庫)の作品紹介

スターリン体制下のソ連。国家保安省の敏腕捜査官レオ・デミドフは、あるスパイ容疑者の拘束に成功する。だが、この機に乗じた狡猾な副官の計略にはまり、妻ともども片田舎の民警へと追放される。そこで発見された惨殺体の状況は、かつて彼が事故と遺族を説得した少年の遺体に酷似していた…。ソ連に実在した大量殺人犯に着想を得て、世界を震撼させた超新星の鮮烈なデビュー作。

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