奇跡の脳―脳科学者の脳が壊れたとき (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102180211

感想・レビュー・書評

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  • 最初に書くけれど、私の評価は装丁や訳も込みでの評価だ。
    もちろん中身が大きいけれど。

    すごく読みやすいし、
    きっと筆者のジル・ボルト・テイラーは素敵な人なんだと思う。
    けれども、
    まず脳梗塞時の気持ちの文章がひらがなだらけなのが読者に媚びてる感じがして嫌。
    最近の文庫は字が大きくて嫌いなんだけど(文庫感がないしページ数が嵩む、重くなる)、
    もちろんこれも例外じゃない(字の大きさがひらがなの媚びてる感を増幅)。
    純粋に中身のことで言えば、
    脳梗塞の下りが、
    ちょっと冗長かなー。

    端的に言うと、
    もう少し読者の知力を信じていい。
    若しくは、
    私が期待していたより設定読者を広く取っていた。
    という感じ。

    なのでこの本自体が悪いとかそういうわけではないと思う(冗長部分を除いて)。
    貴重な体験の話だし、
    興味深く、価値観も素晴らしいと思う。
    養老孟司さんが後書きで書いているように、
    人間の脳に特別な興味がない人にも楽しめると思う。

    それでも、
    中身をもうちょっと圧縮すればもっと良かったんじゃないかなー、
    と思うことを止められない。
    本との関係にも相性というものがある、
    といういい例かもしれない。

    あと本の評価とはちょっと違うが、
    瀕死の患者に同意書のサインを求めるという話は知っていたが、
    やっぱり事実なんだ…、と驚愕。
    訴訟の国アメリカ、私が住むにはタフ過ぎる国。

  • 本書に先駆けて、TEDで、ジル・ボルト・テイラーの講演を聞いた。実際の脳の標本を手に語る彼女は新進気鋭の脳科学者でありながら、若くして既に脳卒中を経験した人であったが、とてもそうは見えない。むしろ、専門家が自らの経験を、実験のよき進め手として、冷静にその経過を見守っているようだ。それは凄いことに違いない。

    本書は、ジルの言葉や内容にすっかり心を奪われるが、それは、この訳書を仕上げるために翻訳を十分に検討されたことに拠るところが大きい。巻末の解説はinformativeで参考になる。

  • 脳科学者が脳卒中になり、そこから回復していくまでの過程を書いた内容。
    自分の体験をもとにしているだけに説得力があった。
    後半のスピリチュアルな観点からの部分は、私の個人的な興味からは逸脱していたが、実際に脳卒中になってから~回復に向かうまでの脳やからだの感じ方を書いた部分がとても興味深かった。

  • 右脳と左脳の役割が完全に違うということを前提に、著者のように自分の感情の本質を客観視できるかといえば自分にはきっと無理だと思うが、負の感情を抱いた時、90秒待ってみようと思う。

  • 知人から薦めてもらって読みました。もともと人の体や脳、感情、心理などに興味があるので、面白く読めた。人の幸福感はどこから来るのか、そこに自らつなげることが出来る。自分の体や感情に対してより意識的になるために、ゆとりのある生き方にしたい。

  • ジル・ボルト・テイラー「奇跡の脳」読了。突然の脳卒中のため、左脳に重度のダメージを負った脳科学者が、不屈の思いで客観的に試行を重ね、新しい自分を悟り回復していく感動の物語だった。左脳がダウンし顕在化した右脳の働きから直感や閃き等との関係が読み取れ脳への関心が深まった。良書。

  • 脳神経解剖学者がある日突然脳卒中に襲われた。科学者なればこそその内面の過程を後ほど記録することができ、そして我々に貴重な資料を残してくれた。自分がその状態になっても身近な人が病気になっても役に立つ。宗教的感覚が科学的でないとされる説に異を唱える。死に対して恐れを和らげてくれる。そんな人生の書である。2023.1.22

  • 脳卒中により、左脳の機能を失った神経解剖学者のジル・ボルト・テイラーさんの著書「奇跡の脳」を読みました。

    この本を読む前に、2冊目の「WHOLE BRAIN」の方を先に読んでしまっていて、順序が逆ですね。

    こちらの本の前半では、脳卒中になる前の彼女の活動についてと、脳卒中の朝、そして治療の話が書かれていました。

    実は、8年間を費やして、普通に生活できるようになった彼女の、そのリハビリの過程がもっとわかるのではないか、と期待していたんですが、書籍の後半は、「WHOLE BRAIN」につながる、脳の中の処理と、それを生活の中でうまく利用してより良い生活をしていきましょう、的な話が展開されていました。

    著者のジルさんは、それが一番伝えたかったんでしょうね。そして、この本では伝えきれないと感じて2冊目を出したんだろうなぁ、と。


    脳内出血で脳卒中を起こした彼女の脳のうち、どの部分が機能を失って、どのようにその機能を回復させたのが、もう少し細かく知りたかった。



    余談ですが、この本のなかで、脳卒中を起こしたとき、言葉も自分の感覚も忘れてしまった時の、彼女の「内なる声」が、ひらがなをたくさん使ったセリフとして表現されていました。

    これ、原著ではどんなふうに表現されている部分だったんだろう?と興味が湧きました。

    それから、気合を整えてから行動する時の、気合のことを「よいしょ力」と表現していたんですが、これも原文ではどんな言葉だったんだろう。気になる〜。


    …とはいえ、原著を読むのは大変そうだけど…

  • 本書は脳科学者のJ.B.テイラー博士自身が脳卒中に陥り、そこで体験した内容と、そこからの回復までを纏めた自伝でした。

    この書籍の前半では、脳科学者であるからこそ、自身が陥っている病状を伝わりやすく表現していたりと、読み手側としてかなり引き込まれる内容でした。
    ただ後半部分に関しては、右脳に特化した内容であるが故に、より感覚的な話だったり、ややスピリチュアルなエッセンスも盛り込まれていて、若干喉越し悪く感じる方もいるかもしれません。

    個人的には、この文庫本の巻末にわかりやすく纏められた「脳についての解説」も添えてあり、医療や福祉に従事している方々にとっても、非常に学びのある書籍だと思いました。
    ひょっとしたら、そっちを先に読んでから、本書を読み始めても良いかもしれませんね。

  • 脳科学者が実際に脳卒中に襲われ、その経緯を記した本。
    左脳と右脳の違いや脳卒中になったときのこと、なってからの治療の経緯やその時の本人の感覚など詳細に記されていて画期的な本。

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