暴行 (新潮文庫)

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制作 : Ryan David Jahn  田口 俊樹 
  • 新潮社 (2012年4月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102180419

暴行 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 『暴行』読了。いやこれ傑作。とある暴力行為とその傍観者たちの行動をこれまた傍観者のごとき視線で描いているのだが、人の醜悪な部分をいやというほど見せつけられながら最後はひとつの光明を見いだすような思いで本を閉じることができる。

  • 『傍観者効果』なる言葉を初めて知りました。確かに「これだけ人がいるんだから自分がしなくても誰かが通報するだろう」という気持ちは生じるだろうし、なにより「こんなことに関わりたくないし」と思う気持ちだってどこかしらあるんだと思う。まあこの小説ではそれと同時に「自分は今それどころじゃないんだから!」的なところもあるけど。それにしてもグイグイ読ませてもらったな。

  • アパートの中庭で刺された女性の悲鳴を聞いて各部屋の窓から見ていた目撃者38人、でも通報者0人。傍観者効果なる言葉を拡げた実際の事件をもとに、ドラマ仕立てに仕上げた作品。煩わしくてできれば関わり合いたくない気持ちがよくわかる。

  • 人生色々、やるせないな。

  • ほぼグランドホテル方式といってよい創り。
    主体視点が次々と変わるために集中し難い面もあるが、
    時間密度は濃密で、物語が進むにつれ、
    人間のダークサイドのドラマを強烈に浮び上がらせる。
    これが処女作なのか。すごいな。

    2010 年 CWA賞最優秀新人賞受賞作品。

  • いわゆるグランドホテル形式のサスペンス。こういうのは記憶にない。突っ込みどころはあるが読んでる間は全く気にならない。佳作。

  • 1964年ニューヨークで実際に起こったキティ・ジェノヴィーズ事件をもとに書かれた作品。

    実は、私、このテの事件が大好きなくせに、何故か元ネタになった事件のことを全く知りませんでした(@_@)
    これがきっかけで言われるようになった「傍観者効果」という言葉は知ってるんだが、何故だろうと思って、色々検索してみたけど、どうやら元ネタの事件の詳細というのがほとんど語られていないみたいなんですね。
    一応ノンフィクションが1冊出ているようですが、書評とか見る限りかなり内容が薄いらしい。
    こんなに話題になった事件としては不思議なくらいなんだけど、それはこれが恐ろしく後味の悪い事件だからなのかなぁ。

    元ネタの事件の詳細は知りませんが、実際の事件では、まさか目撃者や関係者の大半が本書に書かれているようなドラマティックな状況に置かれていたということはないだろうけど、もう少し詳細を知りたいなぁ。
    でないとちょっと評価しづらい。

    まぁ、単純に作品として評価すると、今言った事件を目撃しながら通報しなかった人々の事情が余りにもドラマティックに過ぎるのが逆に興ざめ。
    それぞれの事件は確かに面白いし、興味深いんだけど、数が多過ぎて印象が散漫になるし、嘘くさくなっちゃう。
    それに、そこまでの事情があったら、確かに通報しないよなと頷かされてしまうところがあって、それは本来の意図と反するのではないでしょうか?(^_^;)

    ただ、現実の事件だということを踏まえて読むと、ただひたすらにキャットの身に起こったことが悲惨過ぎる。
    余りに凄惨で理不尽で酷すぎて、何かかわいそうっていうありきたりの感情表現すら出てこない。ただ、怒りを覚えるのみです。
    まさに作中でキャットが次のように独白する通りです。

    こんなにひどい死に方をさせたかったのだとしても、神さまにしてもせめて早くすますことぐらいできたはずだ ──── 痛みもなく早くすませることぐらい──── それを拷問にする必要などないのに。
    「神さまのくそったれ!」

    補足すれば、彼女は最初に襲われたときは刺傷されたのみで、それもかなりの重症ではあったけど、まだ致命傷ではなかったんですね。
    なのに、2時間近くも誰も彼女を助けず放置しておいたばかりに、キチガイ腐れ野郎の犯人が舞い戻ってきて、更なる傷を負わせた上に血まみれで苦しむ彼女をレイプまでしやがるのです。
    正直言って、こんな目に遭うぐらいなら最初の襲撃で死んでいた方がマシだと思います。
    ただ、それでも、生き延びることができれば、それも人によっては耐えられる苦しみかもしれません。
    先ほどのキャットの独白はこう続きます。

    彼女は上空に垂れ込めた灰色の雲に向かって言う。「くそったれ。死んだりするもんか」

    しかし、ファッキン神の糞野郎は、彼女を苦しませるだけ苦しませておいて結局天に召すのです。
    しかも、キャットも我々読者も「ああ、助かったんだ!」と思った次の瞬間に。つまり、ようやく来た救急車の中でね。
    助けが来ない、あいつがまた来るかも、痛い、苦しい、とかいう心身両方での苦しみと恐怖、そしてやがて来る絶望の中で死ぬよりはマシかもしれませんが、趣味が悪いことに変わりはないと思います。

    あ、実際の事件はここまでひどくなかったのかもしれないけど、通報があれば助かっていただろうこと、つまり被害者の女性が苦しみ、怯え、理不尽な死を(キチガイに襲われて死ぬ自体理不尽ですが、死なずともよかったという意味で二重にね)迎えたことは同じようです。


    ちなみに傍観者効果の方については、まぁ、いろいろ意見があるみたいだが、たくさん人がいるから誰かがというのとは別の意味で通報しにくいというのは確かにあると思うんですよね。
    私は、割と繁華街... 続きを読む

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