素数の音楽 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (622ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102184219

作品紹介・あらすじ

2,3,5,7,11……素数は謎に満ちた存在であり続けている。19世紀半ば、「数学界のワグナー」リーマンは、雑音としか思えない素数に潜んでいる繊細なハーモニーを耳にした。数学界の「巨人」ヒルベルト、「審美家」ハーディーと「用心棒」リトルウッド、「革命家」コンヌ……。世紀を越えた難問「リーマン予想」に挑み、素数が奏でる音楽を聴こうとした天才たちの姿を描くノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • 「ゼータ関数の非自明なゼロ点の実部は1/2である」というリーマン予想。素数の奏でるリズムに規則性はあるのか。その謎に挑む数学者と物理学者らの物語。テレビ番組で量子物理学領域の超ひも理論を用いてリーマン予想の証明に近づいたという話を観て興味を持ったが、素数と量子に共通性がありそうとはなんとも壮大な話ではないか。神威さえ感じる。登場する人物もガウス、オイラー、チューリングなど錚々たる面子である。素数の魔力はそれほど強いということだろう。

    実用に値しない数論界の戯れと思われていた素数だが、非ユークリッド幾何学に視点を変えることで量子力学やカオス理論の世界へ跳躍し、RSA暗号技術としてインターネットになくてはならないものになっている。好奇心や探究心は人類の進化に欠かせないものだと感じさせられる。

    理論解説はなかなか理解が覚束ない部分も(大量に・・・)あったが、サイモン・シン氏の『フェルマーの最終定理』が大好きな自分としては知識欲と読書欲が刺激された大好物な本だった。

  • 数学者の、数学者による、数学者のお話。数学の式の展開はないが、物理学と数学の関係が出てくる。数論、代数学、幾何学、複素関数などなど、物理学・工学で複雑な問題を分かりやすくしようとすると数学の助けを借りる。逆に、数学の未解決の問題は物理学のような制約が明確な空間で解くとよい。エルビウムの原子核のエネルギー準位の間隔がリーマンの零点の間隔に似ている。登場人物、参考文献を1割くらいしか知らなくても十分楽しめる。
    「人生で影響を受けた本100冊」の1冊。https://qiita.com/kaizen_nagoya/items/16af53acbb147a94172e

  • 「リーマン予想の真偽を決定できないと証明した場合、リーマン予想が正しいことを証明したことになるのだ。」
    のところテンションあがる。読んでて完全には理解してないし、説明しろと言われたら無理なんだけど、なんかすごいってことだけは伝わってくる。

    みんなリーマン予想を証明しようと頑張ってたけど、証明できない状況で「もしかして予想が正しくないから証明できないんじゃないか?」と闇堕ちする人がでてきた。
    そのうち、数学の証明には真とも偽とも証明できない問題があるってことを証明したやつが現れた。
    闇堕ちしたやつの中から、「リーマン予想ってそれにあたるんじゃね?」と考えて、「リーマン予想が真とも偽とも証明できない問題である」と証明しようとするやつがでてきた。
    でもそれが証明できると、なんとリーマン予想が正しいことが証明されるらしい。
    ってことで合ってる?

    裏切ったと見せかけて、実は敵組織のなかから壊滅させようと動いてたことが判明した初期仲間キャラ的な展開が数学の歴史にもあるのね。
    そんな話。

  • 最高に面白い本な上に、途中で大学院の時の知り合いのデビッドスロウインスキーが出てきて懐かしかった。リーマン予想やばいね

  • 私の手元にある本は16年前に出版されたものです(新潮社クレスト)。現在に至るも残念ながらリーマン予想は予想のままですね。

    今回、本棚にあった本書を再読しましたが大変読み応えのある内容です。数学が好きなので、リーマン予想について書かれた専門書を読み漁ってきました。紙と鉛筆で式変形もフォローしてきました。なので、16年前と比べても深く理解できたと思います。素数は本当に面白いです。数学者も面白い。

    アメリカが数学や物理の研究で最先端の地となれたのは、ある意味、ヒットラーのおかげです。

  •  まず、このタイトルはロマンあふれる素数の世界を音楽になぞらえたものかと思っていたらそうではなく、文字通りの意味だったとは驚く。数学者ならず多くの人々の心を捉えてきた不思議の国の素数の物語。しかし想像以上だ。まずはリーマン予想。この名前は有名だが中身は知らなかった未解決問題の実態がすこぶる興味深い。ゼロ点が一直線上に乗るという説明が正確に理解できたとは思えないが、例外があれば即反証にはなるけれど、たまたま例外がみつかってないからといってどこまでも例外がないと言い切ることはできないので、証明の困難さは想像できる。それよりなりより、エルビウム原子核のエネルギー準位の間隔が、リーマン予想の零点間隔に一致するという事実には戦慄するしかない。いったい素数ってなんなんだ。数世界に留まらず自然界すべての事象の根元となる鍵なのか。もう神の領域としか思えない。

  • 図書館で。
    自分が全く数学の才能が無い所為か、数学の美しい証明や、謎の解明にはとても惹かれるものがあります。まあとは言え何言ってるんだかよくわかってないんですけどね。
    それにしてもガウスやリーマンって人はすごい人だったんだなぁ…

    そして単語だけは知っていたリーマン予想とかチューリングテストなんかも、ナルホドこんな感じなのね、という感覚だけはつかめた気がします。やっぱりきちんとはわかってない気がしますが。素数って色々な人を引き付けてきたんだなぁ。やっぱり世界は数学によって解き明かされるのかしらん?そんな事を考えました。

  • やっと読了!長かった!

    決して内容を掴めたわけではないのだが、恐らく、もう同じ熱意でこの一冊に臨む力はないと思う(笑)

    それにしても『素数の音楽』というタイトルは本当に素晴らしい。
    素数というものが数学の盤上に上がり、19世紀半ば「リーマン予想」なるものが打ち出され、その予想を今も尚追っている。

    どれだけ多くの数学家たちが、リーマンの風景に挑戦してきたのだろう。
    そう思うと、人一人が持つ閃きの尊さってすごい。

    素数の奏でる音楽は美しいはずだ、と小川洋子は解説で述べている。
    数学の持つ美しさを、私はいつも考える。
    数という、ただそこに在る(し、ない)ものの持つ精緻な美しさは、私たちが常日頃使う美しさとどのように違うのだろう。

    いや、違わないのかもしれない。

    私たちが音楽を聴き、文字や人や風景を見、美しいと感じることは、きっと其処に繋がるはずだ。

    最後に。
    素数の謎は、情報化社会のキーとなる暗号として用いられている。
    素数のマジックを解き明かすことは、社会を、世界をひっくり返す一大事象となったわけだ。

    明日にでも、世界は変わるかもしれない。
    そんな不思議なドキドキ感が、この一冊に漂っているような気がした。

  • マーカス・デュ・ソートイ「素数の音楽」読了。
    ずっと前に博士の愛した数式を読んで以来数って面白いと思うようになった。そんな中素敵な題に惹かれ読んでみた。素数は代数の原子との内容から始まり不思議な音楽のようなゼータ関数の零点のリーマン予想を通じRSAの暗号まで数のワクワクを堪能できた。

  • 素数の不思議に捉えらた数学者は多い。ド素人ながら素数に美しさを感ずる。

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