飛ぶ教室 (新潮文庫)

  • 新潮社
4.10
  • (81)
  • (70)
  • (40)
  • (6)
  • (3)
本棚登録 : 915
感想 : 81
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102186411

作品紹介・あらすじ

まもなくクリスマス。街全体が温かな雰囲気に包まれるなか、寄宿学校の少年たちは、波瀾万丈のクリスマス劇「飛ぶ教室」の稽古に励む。ある日、マルティンに母親から手紙が届く。そこには、マルティンがクリスマスに帰省する旅費を工面できなかったと書かれていた……。たとえ運が悪くても、元気を出せ。打たれ強くあれ――温かなメッセージが込められた、少年たちの成長の物語。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ドイツの寄宿学校の生徒達。家に帰るクリスマス休暇を楽しみに待っています。そんな5人の男の子達の友情と成長の物語でした。
    クリスマスパーティーでの劇が「飛ぶ教室」。練習にも熱心に取り組みます。
    そして、生徒を見守る道理さんと禁煙さんの深い優しさ。(翻訳によって名前が少し違うようです。)
    ケストナーは、子供こそ辛い。子供だって考えてるし、我慢もしてる。そして、それを内に秘めていると思っていたようです。先日亡くなった“のっぽさん”も子供を“小さい人”とよんでいました。
    子供はいつでも元気に遊んでいるだけではないんだよ、と思うと先生という職業は、大切だし重積ですよね。大人の言葉で、納得できなかったものは、よく覚えていたりしますから。
    ドイツがヒットラー政権誕生時の年の作品で、子供の為の作品だけを書く事が許されたなかで、温かくしかも意味深い言葉を込めた作品でした。

    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      おびのりさん、こんばんは(^^)

      そうなんですね!!
      おびのりさんのレビューで思い出しますよ(*´▽`*)
      寄宿舎でじっと我慢する男の子の...
      おびのりさん、こんばんは(^^)

      そうなんですね!!
      おびのりさんのレビューで思い出しますよ(*´▽`*)
      寄宿舎でじっと我慢する男の子のいじらしさに…ぐっときました、私も!!良いものがたりでしたね~
      2023/05/13
    • みんみんさん
      寄宿舎っていいよね…
      中村明日美子のJの総て読んで欲しい
      寄宿舎っていいよね…
      中村明日美子のJの総て読んで欲しい
      2023/05/16
    • おびのりさん
      寮生活といえば、「平野と鍵浦」もよろしく。
      って、みんみんとだと、全てそっち方向へ行ってしまう。
      寮生活といえば、「平野と鍵浦」もよろしく。
      って、みんみんとだと、全てそっち方向へ行ってしまう。
      2023/05/16
  •  ブクログの皆様、新年おめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

     今年最初に手にした本は、90年前(1933年)発表の本書です。既に多くの翻訳がある名作ですね。未読でした。
     表題名の『飛ぶ教室』は、学校でのクリスマス劇のタイトルという設定です。
     ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、この『飛ぶ教室』は、1981年から日本で発刊されている児童文学総合誌の名称にもなっていて、梨木香歩さんの『西の魔女が死んだ』などは、「飛ぶ教室」での連載から出版化されたとのこと‥。
    し、知らなかったなぁ‥。

     異文化や時代の隔たりもあり、表現そのものや真意が伝わりにくい面もありました。
     しかし、ギムナジウム(11歳からの9年制の学校)の寄宿舎を舞台とするクリスマス物語は、仲間や教師との関係性から多くの大切なことを教えてくれます。
     友情と信頼、公正、不遇に負けない心、知恵と勇気など、若年層へのメッセージと受け取れますが、「誰もがかつて子どもだった」大人をも意識した物語とも感じました。
     もう汚れちまった自分を顧みながら、登場する子どもたちのひたむきさや無垢な心、それらを見つめる大人の温かい眼差しに、心を動かされました。

  • ドイツの寄宿学校、ギムナジウム。
    一年生から九年生まで二百人あまりが共同生活をする学校が舞台。
    ここには少年たちの思いやり、勇気、それを見守る大人たちの温かい心が詰まっている。

    メインの五人のキャラクターがうまく書き分けされているので面白い。

    そして時代背景を知れる池内紀さんの訳者あとがきも良い。
    ナチス政権下のドイツで、執筆・出版が自由にできなかった時代。
    子供向けの絵本の中で
    「へこたれるな!不運を見据え、打たれ強くあれ!」と全ての世代を元気付けた、ケストナーのメッセージが心に沁みる。



    ◉私のような海外ものの登場人物覚えられないマンのために

    ・ジョニー
    物語を書くのが得意。優しく勘が鋭い。
    クリスマス劇「飛ぶ教室」の作者。
    4歳の時両親に捨てられ、寄宿学校に入る。

    ・マルティン
    頭が良く、怒りっぽい。曲がったことが嫌い。絵が上手く「飛ぶ教室」の美術担当。
    父が失業中で貧しい。

    ・マティアス
    ケンカが強く、いつも腹ペコにしている。
    将来ボクシングのチャンピオンになりたい。
    勉強は苦手だが、大の友達思い。

    ・ウーリ
    気が弱く、厄介ごとが苦手。
    そんな自分が嫌で、変えたいと思っている。
    背が小さく、女の子のような可愛い顔をしている。
    両親はお金持ち。

    ・ゼバスティアン
    理系の天才。口が立つ。授業中に遺伝子や化学の本を読んでいる。
    臆病な一面もあるが周りに悟られないようにしている。ツンデレ。


    ◉子供の頃を忘れるな
    この物語はクリスマス前後の出来事をテンポよくまとめた短い話だ。

    実業高校の生徒たちとの決闘
    ウーリの落下傘事件
    道理さんと禁煙さんの再会
    クリスマス帰省を前にした生徒たちのドタバタ
    クリスマス劇の上映
    そしてマルティンに起きた悲劇と奇跡。

    私たちにもあったはずなのに
    いつの間にか忘れてしまう
    そして子供の頃の喜びや悲しみより
    大人になってからの体験を重視してしまう。

    ケストナーはそうではないと言う。
    「神にかけて言うが、子供の涙が大人の涙より小さいなんてことはなく、しばしばずっと重いものだ」

    そして
    「すべて乱暴狼藉は、はたらいた者だけでなくとめなかった者にも責任がある」。
    当時はユダヤ人に対する乱暴狼藉で世の中は殺伐としていたことだろう。
    自身も2度軟禁状態に置かれ、海外に脱出する術もあったが断った。
    ドイツの行く末を見守るためだと言う。

    そんな彼自身のことを考えると
    この本を世に送り出した勇気と、不運に負けない強い意志が感じられる。

    原作の可愛らしい挿絵がそのまま使われていて、笑顔にさせてくれる。
    もう大人になってしまった大人に、ジーンと響く名作。

  • 前書きの部分から心を掴まれてしまった。
    ケストナーの童話は、童話と言うより大人へのメッセージだ。
    子供への深い愛情を感じる。

    寄宿舎の男の子たちの腕白ぶりが実に楽しい。純粋で子供らしくて、忘れていた大事なことを思い出させてくれる。
    大切なのは、知恵と勇気。へこたれるな!打たれ強くあれ!

    この本は、私にとってとびきり素敵なクリスマスプレゼントになったよ。

  • あああああーーー

    これもダメだったーーー

    クリスマスキャロルといい飛ぶ教室といい、外国文学×古典は私には少し難解過ぎた。

    小説が嫌いになりそうなほどつまらなく感じた。

    んんんんん

    つまらないと思う本でも最後まで読み通した方がいいのか。

    とにかく私にはそんな忍耐力と集中力を持ち合わせてないので投げ出します。

    さらばッッ‼︎‼︎


    【補足】

    もう一度初めから丁寧に読み直してみたところ、とても楽しく読むことができた。

    難解だとかつまらないとか言っていた自分が恥ずかしい…

    寄宿学校という設定もあって、魔法なしのハリーポッターのように感じられた。

    とにかく投げ出さずにクリスマスまでに読了できてよかった。

    これを読んでくれているみなさんも、素敵なクリスマスが過ごせるよう祈っていますm(_ _)m

    • 【T高校のとある図書委員】さん
      kuma0504さん、コメントありがとうございます。
      コメントを読んでもう一度初めから丁寧に読み直してみました。
      初めはドイツ人特有の覚えづ...
      kuma0504さん、コメントありがとうございます。
      コメントを読んでもう一度初めから丁寧に読み直してみました。
      初めはドイツ人特有の覚えづらい名前が多くて大変でしたが、ひとりひとりの名前をしっかり追っていくと、初めは難解だと思っていた本でも楽しく読むことができました。
      やはり古典は読むべきですね。
      現代の小説とはまた一味違った感動を味わえました。
      kuma0504さんのおかげで、今年は素敵なクリスマスを過ごせそうです。
      kuma0504さんにも、幸せなクリスマスが訪れるよう願っております…☆彡★彡
      2019/12/24
    • nejidonさん
      うわぁ、何だかすごく嬉しいです!
      ケストナーが大好きなので、最初のレビューを見た時は???となりましたよ。
      全く意味が分からなくて。。
      ...
      うわぁ、何だかすごく嬉しいです!
      ケストナーが大好きなので、最初のレビューを見た時は???となりましたよ。
      全く意味が分からなくて。。
      kuma0504さんの後でそんなコメントをしたら追い込んでしまうし・笑い
      良く言われますよね。古典を読んで分からなかったら、自分の頭が悪いと
      思えって。そして現代小説を読んで分からなかったらその作家の頭が悪い。
      気を悪くしたらごめんなさいね。
      名作を楽しまれたようで、本当に良かったです。
      2019/12/24
    • 【T高校のとある図書委員】さん
      nejidonさんコメントありがとうございます。
      自分の浅学をひけらかすようで本当にお恥ずかしい…
      この時代まで読み継がれてきた古典作品には...
      nejidonさんコメントありがとうございます。
      自分の浅学をひけらかすようで本当にお恥ずかしい…
      この時代まで読み継がれてきた古典作品にはやはり並々ならぬエネルギーを感じます。
      お気づきかもしれませんが私は以前まで、学校の古典の授業のせいか古典作品は大嫌いでした。
      しかしこの作品をしっかり読み切ることができて、自信を持つことにつながりました。
      読み終わったときの達成感はすごかったです。
      自分、成長したな!って笑

      以上、駄文で失礼しました…m(_ _)m
      末筆ではございますが、私のくだらない文章にいつもいいねありがとうございます。
      素敵なクリスマスを☆彡★彡
      2019/12/25
  • 名作とは何度読んでも面白い作品である。しかも新訳となると、同じなのだけど違う味わいを楽しむことができるという喜びがあります。もちろん前の方がよかったということもあるでしょう。新しい方が味わいやすいということもあるでしょう。どちらもそれぞれの味わいを楽しむことができる。そんなものもあるでしょう。
    数多くある『飛ぶ教室』の中でも、読みやすさと味わい深さは随一かも知れません。新しいのだけれどクラシカルでもある。それは少し古めかしい言葉遣いが為されているから感じるものなのかも知れません。それが作品世界に融け込み、世界の入口を広げてくれます。
    ケストナーの作品の中でも一番好きなものであり、子どもと接する大人の必読の書だという想いは、この何度目かの再読で益々大きく感じられました。(因みに『窓ぎわのトットちゃん』も必読の書だと思っています。)子どもを子ども扱いはせず、かと言って見離しもせず。きちんとした「大人の目」で書かれた子どもの物語なのでしょう。子どもたちが活き活きと描かれているからこそ、大人の役割を強く感じる。そこが素敵なのです。

  • 児童文学として有名で、この名を冠した雑誌があることも知り、また子供に贈ってもらった全集にあったのを横目に見ていた。
    ドイツの学校で小学校高学年から高校卒業あたりまでに相当する9学年が寄宿舎で過ごしている。
    その中の5年生の5人が主人公。それぞれ様々な問題や悩みを抱えて、迎えるクリスマスの頃の情景。
    力を合わせること、思いやること、得意な分野で活躍すること、舎監である先生と近くに住む大人が彼らを見守る。
    旅費が工面できずに、それを誰にも言えずに泣くのをこらえているリーダー格の子が、舎監の先生の好意で電車に乗って両親の元へ。
    親に捨てられ帰る家はないけれど、世話になった船長が町に連れていってもらっているところに声をかける作者で話は終わる。

  • 5人の少年たちの名前と性格を把握するまで少し時間がかかったものの、それができると彼らは生き生きと冬の街、学校で動き始める。とくにマティアスとウーリ、このコンビが好きだなぁ。
    「だけどマッツ、いますぐにでも、きみと代わりたいよ。――きみのような勇気があれば、きみのひどい成績だっていただくね」
    「いいかい、ぼくの低能はどうにもならない。――おまえの臆病のほうは、その気になれば変えられるじゃないか」

    少年どうしのケンカ、舎監とのやり取り、信頼を寄せる大人への思いやり、弱虫でない証を立てる行動、離れて暮らす家族への想い。どのエピソードもまぶしくて愛おしい。
    マルティンが家族と過ごすクリスマスの夜は・・・泣けてくる。
    「文字どおり「きよしこの夜」だった。これ以上すばらしい夜など想像もつかない――」

  • 舞台はドイツの寄宿学校。日本でいう小学1年生~中学3年生が生活している。
    年齢差・体格差も大きいなか上級生にも負けじとものを言う少年、自分には勇気がないと思っている少年など、実にいろんな家庭環境や性格の少年たちが繰り広げるストーリー。

    「決闘」も「クリスマス劇」も、仲間と一緒に力を合わせて乗りこえてゆく
    青春ですね~♪
    禁煙さん、道理さん。少年たちの側にいる大人が素敵。子どもを導いて見守ってくれる存在なんだなぁと感じました。距離感もいい。
    子どもの友人、大人の友情も感じられる。
    後半、禁煙さんが学校で生徒たちに向けて語った言葉が染みました。

    最初は文章が読みづらかったのですが、読み進めるうち学校生活の様子や少年たちの成長を感じて笑顔に♪
    心温まるラスト。
    クリスマスにふさわしい1冊でした。

  • 1933年ドイツの児童文学。子供たちの友情はもちろん素晴らしかったが、大人たち(元子供たち)の友情もなかなかに素晴らしかった。

全81件中 1 - 10件を表示

エーリヒ・ケストナーの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×