ゴールデンボーイ―恐怖の四季 春夏編 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (507ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102193129

感想・レビュー・書評

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  • キングの人を観る目、洞察力は凄い。ほぼ40年近く前の作品だが古さを感じさせなくて、人間の業みたいなものがひしひしと伝わって来る。再読しても新鮮で改めて違う面白さを発見できる。
    収蔵のもう一編は「ショーシャンクの空」と映画化された原作。日常の何気ない狂気がリアルで怖い。

  • 中編が2本入っている。
    刑務所のリタ・ヘイワース
    映画ショーシャンクの空にの原作。映画を見てとても良かったので原作が読みたくなってこの本を手に取った。最初の方は映画と同じだなあと思いながら読んでいたけど途中から違っていた。映画で老人が首吊り自殺をするシーンが好きなのだけど、そんなシーンは原作にはないし、アンディの無実を証明できる男が看守に打ち殺されたシーンも所長が拳銃自殺するシーンもなく、映画にあった血生臭いシーンはなかったから映画よりあっさりした印象だった。あと古い本だから言葉や皮肉がわからなかったりして読みにくかった。
    ゴールデンボーイ
    読後感悪い…初めにタイトルと共に転落の夏とあるように一人の少年が落ちていく様を書いた小説。
    読みながらこれは映画にしたら面白いんじゃないかと思ったらとうに映画化されていた。私が知らなかっただけで。今度映画も見てみようかと思っている。最初の方にちょこっとアンディの事が書かれていてそこは面白かった。
    恐怖の四季春夏編を読み終わったわけなのでそのうち秋冬編も読もうかなあと今は思っている。

  • ショーシャンクの空にが好きで、原作を読んでみたいなと手にとって見た。2つの中編小説が収まっており、どちらも人を引きずりこむような魅力的な文体で、訳者も素晴らしいなと思うのだけれど、後味の悪さは否めない。面白い本!ではあるが人に進められるかというと…いやでも惹きつける何かはあると思う。

  • スティーブン・キングと言えば小説好き、またはホラーが好きな人間なら耳にタコができるほど聞くほどであり知ってない人は“モグリ”扱いされるに違いない作家でありますがそれは本好きの常識であり世間一般の価値観ではないからマウントを取る要素にしかなりえない。
    先に結論を話すします。
    素晴らしい物語りでした。
    物語は中編物が春夏秋冬季節分けでテーマになっているにはなってますがまず中編ではない。確実に1つの作品が2時間もの近い映画になってる辺り長編であるだろと突っ込みを入れたくなるボリュームです。
    今回は春と夏の
    「刑務所のリタヘイワース」と主題の「ゴールデンボーイ」
    が収録されております。
    どちらも映像化されていて有名な作品です。
    冒頭でキングの名前を一般人は知らないと言いましたがこう言う言い方をすれば1発でわかる魔法があります。
    その魔法の言葉を発すると聞いた人はあら不思議。
    ?が消えて!に変わり魔法使いは注目を集めて一躍スターになれます。
    その言葉は「ショーシャンクの空に」って映画や「i't」の原作者なんだよだ。
    さらに付け加えるなら「シャイニング」や「ミスト」「スタンドバイミー」もだよ。
    コレさえ言えば流石に伝わるしむしろ伝わらなかったらその人は余程の映画に関心がない人か究極に映像と言うものに興味を示さない人だろうね。

    ここまでは読書の感想なんてひとつも入っていないのが凄いね。まさに無駄遣いだ。
    というかいらないって言うわ。あくびが出てきて寝る時間になる。
    まぁ、そう焦らない。
    ここからだから。

    ゴールデンボーイの感想まで書くと酷い文章量になるので壁のリタヘイワースだけにします。

    さも有名な作品ですね。
    原作を読んで感じた事は映画と似てると言うかまるでそのものをイメージ出来た。って事でした。
    映画があれだけの名作に仕上がってるのは原作が面白いのは勿論のことなんだが原作への余計なテコ入れをしていない点が1番の成功だったんじゃないか?と思うほど原作の出来は良かった。

    コレの物語りの主人公のアンディなんだが実は彼は「ただの主人公」ってだけである点が他の分野と違うと言うか物語と言うものの本質を僕に打ち付けてきたと感じました。
    「ただの主人公」とはどう言う事なのか?
    主人公は物語の登場人物の中心的存在であり彼は「主役ではない」と言う事である。
    この物語の主役は「物語そのもの」又は「語部のレッド」の方が主役に近い。
    この表現方法は正に画期的だと衝撃を受けました。
    主人公は主人公と言う意味でそれを中心にして進んでいくだけの表現してあり、特別な能力があったり血統がいいとか覚醒したりもしない。
    ほんのちょっぴり人よりキレる頭があるだけのキャラクターだった事。これは中々味わえないんじゃないかな。

    大体、主人公と言うのは特別なもので目立たないとエンタメとして仕上がらないのでは?と言う基本的な概念を本質の主役は物語の“テーマ”だと言う事を語っているお話になっています。

    話自体は秀逸の,一言。
    よくもまぁこんな事思いついたもんだよ。
    ホラー小説界のアインシュタイン、バスケならMJと言ってもおかしくない正にレジェンドだと感じさせられました。

    映画だけでもの足りるんですがと言うか映画のほうが分かりやすく出来がいいです。
    それはレッドと言う人物の変化が目で確認できるからなんですよ。
    モーガン・フリーマンのお芝居がうますぎて伏線回収をお芝居で見せる様は芸術ですので是非映画観てほしいです笑

    原作を読んで映画を観るとより一層物語の良さや完成度の高さを実感できます。
    そして僕の言った「主役は物語」と言う事に気づけた時は脳内物質がドバドバ出ると思います。

    そうか、コレが小説。
    いや物語の作り方かと感じた。

    テーマを如何にエモく伝えるか?がビッシリとつまっていますし伏線回収の美しさには惚れ惚れしました。

    1人の人間の人生を変え、1人の人間の価値観を変え、希望と絶望を体験した人間のお話。

    正しく無駄がない出す。
    キングはホラー小説家ですがショーシャンクはホラー要素は皆無ですので気軽に読める所も魅力の一つかなと思います。

    ゴールデンボーイは怖いですね。
    こう言うホラー書くのねって感じました。

    是非、面白いので機会があればご一読下さい。
    出会えた事に感謝して筆を置きます。

  • 「刑務所のリタ・ヘイワース」「ゴールデンボーイ」の中編2作が掲載されています。ネタバレになってしまいますが、ハッピーエンディングと(これ以上無い)バッドエンディング 私はどちらも好きですが、後者の、正にオールアメリカンボーイである主人公の、始めは(罪の無いとは言いませんが)好奇心だったものが、どんどんと引きずり込まれ、もう1人の主人公とのウロボロス的な関係に陥っていく様はさすがキングです。キングの中編の中ではこれが一番好きかもしれません。

  • 「刑務所のリタ・ヘイワース」
    映画『ショーシャンクの空に』がとても良かったので原作を読んでみたかった。
    原作は映画よりもレッド目線で描かれている。
    淡々とした語り口でありながらアンディに対する温かさが表れている。
    映画では、結末は最後になるまでわからなかったけど、原作は所々に暗示されていて、ここで解るのねーって感じ。
    描き方は少々違うけど、どちらもラストはすばらしい。
    でも、私は映画の方が好きかな。

    「ゴールデンボーイ」
    希望のすばらしさを感じる「刑務所のリタ・ヘイワース」とは真逆の絶望の物語。
    少年の興味から、老人に元ナチ戦犯の過去を語らせることにより、歪んだ信頼関係からやがて二人が破滅に向かう。
    陰惨な描写が多く、読み進めるのが苦しい場面も。
    でも、これが主人公たちの心の有り様なのかも。
    こちらの作品は少し苦手です。
    「刑務所の・・・」とつながりのある場面が出てきたのには驚いた。

  • 長らくダンボールに入ったままだった文庫を、「捨てる前に」と引っ張り出して読んでみる。平成2年(1988年)の8刷の文庫本だ。
    キングは『デッドゾーン』もあるこのあたりの作品が好み。

    で、本文庫収録の「刑務所のリタ・ヘイワース」「ゴールデンボーイ」はなんと初めて読む。文体は相変わらずの饒舌体で、’懐かしい(笑)。
    前者は「傑作」の誉れ高い映画で、自分もよくできていると思うし5回は観ただろう。なので読書中も映画の俳優が脳内で置換されるわけだが、主人公は「小男」だし、調達屋は「アフリカ系」の黒人ではなく「アイルランド系」という表記があって驚く。全然違うじゃん(笑)。
    このように当然ながら原作と映画とは異なるものだが、原作を読んで強く思ったのは「映画、超よくできてるじゃん」ということ。キング原作の映画はけっこう観ているが、『キャリー』『デッドゾーン』『スタンド・バイ・ミー』『シャイニング』『ミザリー』と肩を並べるほどよくできている(個人の感想です)。
    で、映画『ゴールデンボーイ』もよくできているという評判を耳にするが、実は見ていない。でも原作を読んで「これでクソ映画にしたら監督は才能なさすぎだろう」と思えるほど、映像にしやすい作品だ(おそらくゴム靴エドのくだりは全削除だろう)。
    巻末の解説には、アラン・ブリッジス監督、ニコール・ウィリアムソン&リッキー・シェローダー(『チャンプ』懐かしい!)出演で映画化進行中と書いてあるが、実際には1998年にブライアン・シンガー監督、イアン・マッケラン&ブラッド・レンフロー出演で公開されている。おそらくハリウッドの「大人の事情」でもあったのだろう。今度観てみよう。
    で、「刑務所のリタ・ヘイワース」の映画化にはこれっぽっちも触れられていない。この時点では『ショーシャンクの空に』(1994年)の企画はなかったのだろう。

    で。この文庫には「DIFFERENT SEASONS」と書籍の原題は奥付に記されているが、2本の作品名の原題が表記されておらず、きわめて不親切。
    ちなみに原題は「The Shawshank Redemption」(ショーシャンクの贖罪)、「Apt Pupil」(適切な生徒)。こちらのほうが断然いい(特に後者。ドンピシャのタイトル)。

    あ、今気づいたけど、キング作品は超常現象やモンスター類が出てない作品のほうが自分は好きかも。

  • 刑務所のリタ・ヘイワースは、すっきりと読み終えた。
    殺しの罪で(実際には殺してない)銀行家が、どのように刑務所で過ごしたのか、脱獄したのか、おもしろかった。

    ゴールデンボーイは、怖かった。どんなふうに終わるのか、どうなるのか、ハラハラしてしまった。でも、なんとなく後味が悪すぎた。。。気になりすぎて、読み進めてはしまったが、、、

  • 先月、金曜ロードショーでたまたま見た「ショーシャンクの空に」がとても良かったので(放映されたものは本来の映画からいろいろカットされていたらしいが)、原作のこちらにも興味が出て読んでみた。
    恐怖の?四季シリーズ、秋冬編たる「スタンドバイミー」もとても良かったので、満を持して、春夏編にあたる「ゴールデンボーイ」を図書館で借りてきた。
    オリジナルは1982年刊。


    ・刑務所のリタ・ヘイワース 春は希望の泉
    こちらがショーシャンクの原案。
    登場人物の造形が映画とはけっこう違うので驚きだった。
    アンディー・デュフレーンは小男だったのね。
    レッドも黒人ではなくアイリッシュ系。(←これに言及するセリフ、映画でもハテナと思ってた)
    ちょこちょこと違いはあれど、素晴らしいストーリーで、映画と同じく感動で胸がいっぱいになる作品だった。小説のほうがアッサリした印象。
    映画は脚本の再構成に隙がなく、映像と合わせて、説得力があって、映画として見たい映画、という作品だった。
    有名なセリフ
    「希望はいいものだ、たぶんなによりもいいものだ。そしていいものはけっして死なない。」
    このデュフレーンのセリフに呼応するように、ラストはレッドの願いで終わる。
    p186
    どうかアンディーがあそこにいられますように。
    どうかうまく国境を越えられますように。
    どうか親友に再会して、やっと握手ができますように。
    どうか太平洋が夢の中とおなじような濃いブルーでありますように。
    それがおれの希望だ。

    いい小説だなあ。購入しようかなと思っていたところ、

    ・ゴールデンボーイ 転落の夏
    こちらが凄まじくて、とてもこの本を手元に置けなくなった。
    怖い。ホラーではないけれど、わたしには怖かった。
    あらすじは、少年と老人の交流というか、裏/夏の庭 というか…。
    始まりからすごく不穏で、量も「リタヘイワース」の2倍くらいあるので、どん底オブどん底が、読んでも読んでも終わりが見えなくて、どこに着地するとかとヒヤヒヤした。
    初めの、屈託もなくヤバイことを言い連ねるトッド少年が不気味で恐ろしいので、サイコパス万能少年って怖いなと思っていたのだけど、だんだんナチス戦犯たるドゥサンダー老人と立場が逆転していく様から目が離せなくなる。
    2人は一種の共依存であり、それぞれが相手のせいで受けたストレスを同じく第三者の殺人ではらそうとし、結局は思わぬことで共犯状態にもなる。
    トッドが思春期の陰鬱さを抱えながら、自分とその周囲を騙していく様子も怖い。
    性差別、人種差別、ナチスの問題は、やはり簡単に手に負えるような歴史ではない。
    人間の負の面がこれでもかと染み出してくる。
    前途洋々たる少年→青年の抱える、真っ黒い心理がこんなふうにじわじわ描かれて、読み終わって放心状態になった。
    ラストはお互いに新聞や手紙といった、はじめお互いが接近するために使ったアイテムからボロが出て行く様も皮肉がキマッている。
    やっぱり生きてる人間が一番怖いんだな。

    それにしても、これらの四季シリーズは、スティーブン・キングが大作の合間に気分転換に書いていた、との事実に驚かされる。
    いつか、本来の彼の小説に挑戦できる日が来るだろうか。ドキドキする。


    ゴールデンボーイの序盤に、デュフレーンが間接的に登場する、という読者サービスもある。ここが、この小説で唯一ホッコリした箇所。

    • 111108さん
      mario3さん、こんにちは。

      こちらも読了しました。図書館で待ちきれず購入しましたが、キング読み慣れてない私には「ゴールデンボーイ」が読...
      mario3さん、こんにちは。

      こちらも読了しました。図書館で待ちきれず購入しましたが、キング読み慣れてない私には「ゴールデンボーイ」が読むのつらくてつらくて‥ご飯食べたくない気分です。
      でも今mario3さんのレビュー見返して、デュフレーンがチラと出てくる読者サービスを発見してちょっと気が紛ました。ありがとうございます。

      そして「刑務所の〜」は覚えておきたいフレーズ満載で「ショーシャンク」を絶対観たくなりました!
      2022/09/19
    • mario3さん
      111108さん、ありがとうございます(o^∀^o)
      そうそう、ゴールデンボーイのあとには食欲が減退しますよね…ダイエット向きです。
      そうい...
      111108さん、ありがとうございます(o^∀^o)
      そうそう、ゴールデンボーイのあとには食欲が減退しますよね…ダイエット向きです。
      そういえば、こちらも映画があるそうですが、もうこのストーリーをなぞる気力はないなあ、と思いました…(^o^;)

      刑務所の~の映画『ショーシャンク~』、ぜひぜひ見てください。きっとお好きだと思いますよ。
      私は、この映画が有名すぎて却って及び腰だったのですが、見終わって、素直にこれは有名になるなあと納得しました。デュフレーンは小男じゃないのですが、独特のかわいさがあって、私もすぐに好きになりました。
      2022/09/19
    • 111108さん
      mario3さん、お返事ありがとうございます。

      あれから両方とも画像検索しました。
      ゴールデンボーイは映像化無理かと思うけど映画になってま...
      mario3さん、お返事ありがとうございます。

      あれから両方とも画像検索しました。
      ゴールデンボーイは映像化無理かと思うけど映画になってますね。私も観たくないです。

      『ショーシャンク〜』は有名ですもんね。自分の想像してたのとデュフレーンもレッドもちょっと違う‥と思いましたが、きっと映画は映画の良さがある作品なのでしょうね。mario3さんの言うようなデュフレーンの独特のかわいさを見たいです♪
      2022/09/19
  • 名作ショーシャンクの原作を含んでいます。映画も面白いです。むしろこれは映画の方が好き。

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著者プロフィール

1947年メイン州生まれ。高校教師、ボイラーマンといった仕事のかたわら、執筆を続ける。74年に「キャリー」でデビューし、好評を博した。その後、『呪われた町』『デッド・ゾーン』など、次々とベストセラーを叩き出し、「モダン・ホラーの帝王」と呼ばれる。代表作に『シャイニング』『IT』『グリーン・マイル』など。「ダーク・タワー」シリーズは、これまでのキング作品の登場人物が縦断して出てきたりと、著者の集大成といえる大作である。全米図書賞特別功労賞、O・ヘンリ賞、世界幻想文学大賞、ブラム・ストーカー賞など受賞多数。

「2017年 『ダークタワー VII 暗黒の塔 下 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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