アトランティスのこころ 下巻 (新潮文庫 キ 3-26)

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  • Amazon.co.jp ・本 (597ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102193266

作品紹介・あらすじ

1966年、ギャンブルと学生運動が吹き荒れる狂騒の大学時代が幕を開け、ピートはキャロルに出会う。1983年、変装を繰り返して出勤する謎の男がNYの路上に佇み、1999年、それらを知ることもなくひとりの男が渋滞中に変死する。それぞれの生が目に見えぬ糸を紡ぎながら、物語は解きほぐされ、感動のクライマックスへと向かっていく-残酷なまでに切なく、時間の刻印を呪う終幕へと。

感想・レビュー・書評

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  • 少し不思議な出会いと別れの少年時代が終わりを告げ、語り部を変えて舞台は狂騒と狂乱の大学生活へと舞台を変える。

    当初はその独特な構成に面食らったものの、遠き日に覗き込んだガラス玉のようなきらめきの少年時代とはうってかわって、キング節で語られるピートの愚かしく無軌道な大学生活はまさに青春という感じでとてもいい。特に作中で印象的なトランプゲーム「ハーツ」はパソコンのゲームの印象が強いものの、大学生御用達の麻雀のような中毒性があり、それにのめり込んで単位を取りこぼしていくのはひしひしと伝わるものがあった。

    超自然的なホラー要素は上巻と比較すると極めて薄く、現実のベトナム戦争に巻き込まれて否応なしに青春が消費され変わり果てていく様は、あらすじにある通りの残酷な時の呪いそのものであり、現実はそう簡単にハッピーエンドを迎えない。登場人物たち全員が望んだ未来になり、伴侶を得て、幸福に死ぬのは物語の世界の中だけで、キングの作品はわりと末路が悲惨な登場人物も多く、この作品も例外ではない。しかしながら歳を重ねた今読むとそれは切実なリアルであり、だからこそ「物語」があり「主人公」であった時代への郷愁に胸を焦がすのだ。

    そんな魔法が解けた後に訪れるささやかな結末は感涙必死であり、それぞれの時代とそれぞれの物語が細く一本の糸となってより合わさる様は、ウェルメイドでありながら用意された必然性をあまり感じず、むしろ偶然性の賜であるからこそ、良きにしろ悪しきにしろ己が人生を肯定できるのであろう。

  • 購入本。
    上巻に続く下巻。
    少年時代を描いた上巻。その後を描いた下巻。上巻から少し時間が空いたので、よく事情が飲み込めず、自分が残念です。

  • 再読。
    少年ボビーと少女キャロルの、11歳のころの交流と別れ、そして長い年月を経て再び巡り合った感動の再会を描く物語。
    この二人に関わる様々な人物が、数奇な運命を辿っていく。それらを多角的に捉えていっている。
    キング作品としては変わったプロットだが、こういった作品も余韻があって味わい深い。

  • キングの良いところがたくさん詰まった小説だった。

  • 面白かった( ´ ▽ ` )ノ。
    けど、なあ......

  • 結局まぁ、最後は「ダーク・タワー」に繋がるわけで、読後に物足りなさを感じる。
    1個の小説として完成されてないわけではないが、「ダーク・タワー」も読まないと話が十全に揃わないのはどうかと思う。

  • 上巻では、ボビーと言う男の子が主人公の50年代アメリカのお話。
    ボビーには心優しい男の子サリー,おませで見る目が鋭い女の子キャロルがという幼馴染が居て、その幼馴染のお陰で、毎日楽しい生活を送っていた。

    ところが、父親の死によってすさんでいく母親との生活が徐々にボビーの心を不安定にしていく。そんな最中に、上の階に引っ越してきた老人テッド。

    テッドは教養深く、ボビーに色々なことを教えてくれる。
    でも、テッドの言動は変わっていて、何かに追われているのか、部屋からほとんど出ない。
    そしていつもどこか遠くを見ている。そんな不自然な言動の多いテッドに不信感を募らせる母親。
    そんな板ばさみになっても、心優しい老人テッドに父親像を見出して慕うボビー。

    ・・・

    最後は、壮絶なエンディングを迎える上巻。これだけでも確かに読み応えある!


    そして下巻・・・


    下巻では、当初ボビーは出てこず、上巻で同じ少年時代を過ごした脇役のキャロルとサリーがクローズアップされています。
    内容は、人物の過ごした時代毎にオムニバス。

    60年代は、カードゲームに嵌って、大学を辞めさせられそうになる青年。でも、ベトナム戦争に行くのは真っ平ごめん。
    何とか堕落した学園生活から抜け出したいと考えるが、仲間がそれを許してくれない。。

    泥沼の学園生活で、唯一の心のよりどころは、アルバイト先で知り合った、大学生となったキャロル。
    ところが、キャロルは、反戦運動に参加し、アカに染まって徐々に大学を離れていく。。

    60年代後半は、ベトナム戦争の傷で盲目になった男の、複雑な心理と、荒んだアメリカ社会。
    そんな盲目の男は、少年時代にキャロルをバットで殴ってリンチしたことをずっと悔やんでいた。

    90年代は、ボビーキャロルの幼馴染みだった、サリーが主役。
    サリーはベトナム戦争で戦地に自ら赴き、名誉の負傷をしたものの、戦地で滅ぼした村の村人の霊に精神を蝕まれていく。
    キャロルとはハイスクール時代恋人同士だったが、大学にキャロルが進んだことによって自然消滅。
    心にしこりを残したまま戦争へそして戦争が終わり、後遺症と戦いながらの毎日。。
    最後の2000年。
    60代になったボビーが最後に主役に返り咲き。
    幼少時代を過ごした町に戻り、幼馴染みと、当時心の支えとなった隣人の老人テッドに思いを馳せる。最後は心が温かくハッピーエンドです。

  • この本を読み始めた時、収録されている中編はいずれも上巻との関係が薄いものと思われた。
    しかし、それぞれの主人公が彼らの心に巣くう心情を吐露するにつれ、
    上巻の出来事とヴェトナム戦争の時代が 彼らのこころに残した傷跡が次第に明らかになり、
    同時にボビー少年が大人になる際に失った様々なものが明らかになった気がした。

    上巻と違ってダークタワーとの関係は薄いが、その分ボビー達少年少女の様々な思いが詰まっていて非常に面白い作品だった。

  • 前巻のストーリー引き継ぐかと思ったら・・・・
    主人公が違う!!と思ったらキャロル登場。
    少しづつ、それぞれの話はリンクしていて、
    そしてアメリカの各時代の姿を映し出していって・・・
    でも、前巻ほどのおもしろさはなかったかなあ。

  •  1本の長編というより、中篇短編の集まりって感じで、結局訳のわからないまま終わる。うん、これがキング初体験だったら、「キングはつまらない」って思うと思う(汗) まぁ、キングには珍しく最後にカタルシスがあるんだけど、なんかそれも無理矢理。うーん、キング、一体どうしたんだぁ!! って作品でした。これじゃ、映画も…だな。

  • 短編(中編)連作だったのね!!と、ボビーに入れ込んでたため少なからずショックを受けました。笑。後半にいくにつれていろんな人が意外なところで繋がっていくのが面白かったです。ただ、テッドがいたときのような不思議感はなく…。まとまりがないように感じたのは私だけでしょうか?みんないろんなものを「過去」にして成長してくんだなぁ、とちょっとせつなくなってしまったよ。

  • 10月1日読了。やっぱり意味が判らなかった。最近のキングは難しくなって行ってる気がします。

  • 上巻が1冊で1ストーリーなのに対し、
    下巻が1冊で4ストーリーと小話が続きます。

    ピートの章は面白いと思うけど、
    うーんという感じ。

    それよりは残りの章のほうがアシッドで好きです。
    特にサリー・ジョンの章。

    電車乗りながらだったので我慢しましたが、
    泣けます。

    すごい長い(上下巻で1200ページぐらい)けど、
    その分体感したストーリーによる感動は大きいです。
    そりゃ、オチは途中から見えてるんだけど、
    それでもいいものはいい。

    オススメです。

  • 内容思い出せない…。それなりに面白かったような記憶はあるんですが。再読後に正式評価予定。

  • 05mmdd読了

  • 私が一番好きなキング作品。

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著者プロフィール

1947年メイン州生まれ。高校教師、ボイラーマンといった仕事のかたわら、執筆を続ける。74年に「キャリー」でデビューし、好評を博した。その後、『呪われた町』『デッド・ゾーン』など、次々とベストセラーを叩き出し、「モダン・ホラーの帝王」と呼ばれる。代表作に『シャイニング』『IT』『グリーン・マイル』など。「ダーク・タワー」シリーズは、これまでのキング作品の登場人物が縦断して出てきたりと、著者の集大成といえる大作である。全米図書賞特別功労賞、O・ヘンリ賞、世界幻想文学大賞、ブラム・ストーカー賞など受賞多数。

「2017年 『ダークタワー VII 暗黒の塔 下 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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