回想のビュイック8 上巻 (新潮文庫 キ 3-37)

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  • Amazon.co.jp ・本 (393ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102193372

感想・レビュー・書評

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  •  著者が車好きなせいか、車を擬人化した昨品としては「クリスティーン」に次ぐものか。ただし、こちらは車自体が意志をもって動き回るわけではなく、異世界との出入口の役割を果たすだけとはいえる。警察署内に保管したビュイックが雷鳴を轟かせ、得体の知れない生物を放出したり、人間を飲み込んだりする。おどろおどろしく禍々しい奇体な生物のグロテスクな描写シーンはまさにホラーのキングらしさ横溢。そういう楽しみ(?)はもちろんあるが、しかし本作のそれ以上の読みどころは、カートとネッドの父子にサンディ、トニー、シャーリー他いずれも人間味あるD分署の警官たちの魅力的な掛け合いではないだろうか。ホラー小説ではあるけれど、どこかノスタルジックな気分にさせられる味わい。まさにヒューマニスト、キングの面目躍如だ。

  • ビュイック8から湧いてくるクリーチャーが不気味。

  • クトゥルフ神話的なギミック『ビュイック8』を軸に展開する、大人たちと若者の交流劇。スティーヴン・キングの情報の出し方の上手さにはいつも感服させられる。

    下巻も併せて読んだが、CoCネタになりそうな話だったとだけ。人物描写、風景や環境を表す言葉の選び方。『アメリカん読者なら、この文章を絶対、脳内で映像にできる』センスの良さには脱帽。

  • つまんない。
    さらなる感想は下巻で。

  • 警官だった父を事故で亡くしてしまった高校生のネッド。そんなネッドを取り囲む大人たちの姿が優しく描かれる冒頭は、往年の短編にも通ずる優しさと哀しさにあふれています。最近、こういうのを読むと目が潤んできてしまいます。朝の連ドラでも泣けるくらいだから年のせいかも。でも、文章もなかなか心に迫るものがあることは確かで、キングはいまだに進化しています。

    ”話をするのに、いつも口を使うとはかぎらない。それどころか、口から出る言葉にはほとんど意味が無い場合もある。肝心なのは意思を相手に伝えることだ。”

    これって日本人の専売特許ではなかったっけ?(もはや昔話しか)もう、これだけで☆4つだな。

    でも、タイトルの「ビュイック」が出てくるあたりから、様相が変わってきます。「回想」というタイトルで、ノスタルジックな「スタンド・バイ・ミー」的なものを期待してしまいましたが、さにあらず。ん?ストルガツキーの「ストーカー」(名作!)か?レムの「天の声」(これまた傑作!)か?

    警察官が勝手にこんなことをやっていていいのかと、いちいち引っかかりながらも、どこに向かっていくのかさっぱりわからないディック的ノリに流されつつ下巻へ続く・・・

  • 物語があんまり大きく動かない。
    とっても静的な感じ。
    イマイチ。

  • ペンシルヴェニア州の田園地帯にある州警察D分署。
    この分署の警官がある日、酔っ払いが運転していた暴走車に轢かれ、殉職してしまう。

    その息子、ネッドは雑用を手伝うと称して、父の勤務していたD分署に入り浸るようになる。
    まるで、そうしているうちに、また父に会えるのでは、と思っているかのように。

    次第にD分署の警官達と打ち解けてくるネッド。
    こぢんまりとして家族的な雰囲気のあるD分署は、ネッドにとって、ある意味、「家族」だったのかもしれない。

    そんなネッドは警官志望でない事を知りながら、警官達は通信係の仕事の助手をやらせてみたり、半ば「同僚」扱いする。
    だが、D分署には関係者しか知らない「公然の秘密」があった。

    ガレージの中に置かれているビュイック8(エイト)

    それが「公然の秘密」
    名目上、「押収品」となっているため、警察署にあっても、おかしくはないものではある。
    が、冷静に考えると、そんなものが長年、置かれたままなのは奇妙な話。

    ネッドもやがて、その存在に気付き、父の親友でもあった分署長サンディに尋ねる。
    いつかその質問がくることを予期していたサンディはビュイック8に関する奇怪な話を語り始めた。

    「あのビュイック8はビュイック8に似ているから、そう呼んでいるだけで、ビュイック8ではない。それを言うなら、”あれ”は車ですらない。」


    すべての経緯を知っている人物が過去を語り、過去と現在のエピソードが並行して進む形式は、著者の「グリーン・マイル」を連想させる。(と思ったら解説にも書いてあった)
    「グリーン・マイル」では過去と現在の話の中にオーバーラップする人物が登場する。
    本作品でも、現在の話に登場するネッドと、過去の話の中に登場するネッドの父親がオーバーラップする。

    最初はサンディだけが話をしていたが、そのうち他の警官も集まり、入れ替わり立ち代り、ネッドに「ビュイック8」の話を聞かせる。
    ビュイック8の話を聞かせる事は、仲間として受け入れるための「儀式」の意味もあるのかもしれない。
    「グリーン・マイル」もそうだったが、ある程度まで話をしてから、一転して、関係なさそうな話を始めて、ストレートに話を進めず、読者を焦らす「イジワルさ」は健在。

    印象的なのは、ビュイック8に関する奇怪な話よりも、一生かかっても理解できないような「謎」を目の前にしても、日常的に接していると「慣れて」しまう事。
    人間の柔軟性の高さ、と言えばその通りだが、「おそろしい」面でもある。

    「喉元過ぎれば、暑さ忘れる」
    というのは、全世界共通で使える諺なのだろうか。

  • 車を題材にしたホラー『クリスティーン』と違ってあくまでも超常現象に触れてしまった人たちの姿を描くドラマであり、父と息子の物語であるといった感じ。あとやっぱりキング作品の魅力って過去の回想シーンにあるんだなあって思った。

  • しんどしろい

  • グリーンマイル系。淡々と進みます。
    故に、おお!きたか!と思うと肩透かしを食らう。

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著者プロフィール

1947年メイン州生まれ。高校教師、ボイラーマンといった仕事のかたわら、執筆を続ける。74年に「キャリー」でデビューし、好評を博した。その後、『呪われた町』『デッド・ゾーン』など、次々とベストセラーを叩き出し、「モダン・ホラーの帝王」と呼ばれる。代表作に『シャイニング』『IT』『グリーン・マイル』など。「ダーク・タワー」シリーズは、これまでのキング作品の登場人物が縦断して出てきたりと、著者の集大成といえる大作である。全米図書賞特別功労賞、O・ヘンリ賞、世界幻想文学大賞、ブラム・ストーカー賞など受賞多数。

「2017年 『ダークタワー VII 暗黒の塔 下 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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