チャイナ・メン (新潮文庫)

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制作 : Maxine Hong Kingston  藤本 和子 
  • 新潮社 (2016年6月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (553ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102200568

チャイナ・メン (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  •  移民であることの文化様式というものがある。異邦の土地の中で同民族同士で集住し、本国ともその土地も異なる生活様式を生み出していく。その中から「本国ともその土地とも異なる我々の文化」を語るものが現れれば、それが移民文学になる。例えば本書の著者キングストン。
     語り方にも中国らしさとアメリカらしさと混在している。そもそも家族の歴史を語るのはアメリカらしさだが、彼女の父親が結局どこに上陸したのか複数パターンが語られて曖昧なままになっていたりするのは、中国らしさだろうか。その曖昧なままが、彼女にとっての真実なのだろう。
     また、家族と関係なしに中国民話から採録された「死霊の愛」という中編が混じっている。中国版「蛇性の淫」(雨月物語の)のような話だが、親から聞いたオバケ民話を家族の歴史に混ぜて書いてしまうあたりに、作者にとっての中国文化の見え方が現れているようだ。
     社会面の感想として、米国で中国移民への差別・偏見がこんなに強かったことを知ることができた。一方で、米国のインフラ整備に汗をかいたのは実際には中国人が多かったという、彼らの誇りを見られたことも興味深かった。
     彼女が書いた母たちの歴史も読んでみたい。

  • 小説はそもそも現実そのものではない、という事実を逆手にとったような内容と構成。自身の民族的なルーツから切り離された孤児は自分自身とどう向き合うのかという実践が本作にはある。中国から齎された神話やアメリカの歴史や制度を挿話的に繋ぎながら、世代によって細かく断絶している人々に何を根拠に如何に語るべきか。本作にあるのは虚実混交のコラージュ。一筋の物語があるというわけでもなく、登場人物の表象もコロコロ変わるゆえに内容はより微分される。しかし、小説でしか描けないアメリカの歴史、移民の歴史がここにはある。この小説に歴史の共通認識や伝記的な記述を期待するなら肩透かしを食らうはず。訳者の解説にもあるような、今では声も聞こえないし顔も見えない誰にも覚えられていない人々を想像するという読者の参加を誘う作品。

  • 移民文学の元祖くらいの立ち位置だろうか。今では中国、インド、中東系アフリカ系と多様な作家が登場している。
    本書はリアルな現実とおとぎ話的な要素が絡み合っており、村上さんの言う「ナラティブ」が魅力だ。移民1世の苦労や有形無形の差別(チャイナメン、と続けて言うのは差別用語であり、アメリカ人との結婚を制限する法律があり)があり、中国移民社会の習慣や文化、ユーモアがある。2世が語り部となり言葉を紡ぐ。

  • 最初は文体に慣れるのに苦労した。
    アメリカへ移民した中国人という視点に馴染みがないことも読みづらさの原因。
    しかし、これらに慣れてくると描かれている世界の深さに大きな感銘を受ける。
    理解出来ない表現はたくさんあるけれど、取り組みがいのある小説。

  • かなりとっつきづらかった。主人公が全然見えなくて、かなり遠くから語ってるような感じで入り込めなかった。

  • ノンフィクション作品として賞を受賞しているそうだが、どうなんだろう。確かに空想ではないのだろうけれど、どちらかというと、伝承とか言い伝えといういうものに近いのではないだろうか。だから現実とも違う気がする。
    中国人の移民一族の話であるけれど、絵描きだされているのは当時のアメリカそのものだと思う。

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チャイナ・メン (新潮文庫)の作品紹介

19世紀から20世紀にかけてアメリカを目指して海を渡った中国人たちがいた。鉄道建設や鉱山労働に従事し、アメリカの繁栄の礎を築いたが、深い沈黙の向こう側へと泡のように消えていった――。その末裔として生まれた女性作家が、声なき声に顔と名前を与え、想像力と幻想で神話的に紡いだ一族の物語。伝説の翻訳家の訳も冴えわたる全米図書賞受賞作品。『アメリカの中国人』改題。《村上柴田翻訳堂》シリーズ。

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