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ある奴隷少女に起こった出来事 (新潮文庫)

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制作 : Harriet Ann Jacobs  堀越 ゆき 
  • 新潮社 (2017年6月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (343ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102201114

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ある奴隷少女に起こった出来事 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 偶然出会った本。届いて一気に読みました。

    150年前に実在した女性が実体験を忠実に綴った、奴隷少女の話。
    当時、奴隷は読み書きができなかった時代に
    運良く読み書きができたアメリカ南部の黒人女性。
    自由州と呼ばれた北部の女性に、南部の奴隷女性のことを知らせたくて
    筆をとったそうです。

    当時は、フィクションと思われ、自費出版だったこともあり
    埋もれてしまったそうですが、
    いくつもの偶然が重なり、時をこえて掘り起こされたアメリカの名著です。

    この本の翻訳者と同様に、
    自分も読まずにはいられず、一気に読みました。

    内容は大変過酷なものです。
    でも、こういった歴史のうえに世界が続いていて、
    今があるということを知っておくことは
    のちのち大変重要な要素になると思うのです。

    そういった側面で、この本に出会えてよかったと思います。
    気になった方は、ぜひ読んだ方がいいと思います。

  • ある奴隷少女リンダの伝記小説
    126年後に実話と証明され作者が主人公の奴隷少女だったとわかるという長い時を得て日の目を見た本

    奴隷少女が書いたとは思えないほど知的でセンスの溢れる文章
    だからこそ、執筆者を著名な白人に間違われていたのかもしれない

    それほど物語としての惹きつける力がある
    そして彼女に起こる残酷で凄惨な現実に打ちのめされる
    死を選ばなかったことを単純に賞賛できないほど苛烈だった
    実際自分に置き換えたら...

    リンダの弟ウィリアムは言う
    鞭で打たれる痛みには耐えられる
    でも、人間を鞭で打つという考えに耐えられない

    リンダは思う
    大きな毒ヘビですら文明社会と呼ばれる地に住む白人男性ほどは怖くはなかった

    リンダは奴隷売買に思う
    自分の心が啓発されていくに従い自分自身を財産の一部とみなすことはますます困難になった
    正しく自分のものでは決してなかった何かに対し、支払いを要求した悪人のことは嫌悪している
    私は売られる
    私の自由を売買される

    リンダは奴隷逃亡生活の苦しい中で尊厳は取り戻していく
    自分を差別しない友との交流で
    リンダは自分の子供を奴隷制度から逃れさせるため逃亡をするが、人間の自由が売買される制度に強烈な嫌悪感を抱く
    剥奪されるのは人権だけではない
    尊厳や自主性、主張も持つ事を許されない
    奴隷のくせに傲慢だとみなされる

    聖書がなんの救いになるのだろう
    何を我慢すればいいのだろう
    なぜ なぜ なぜ
    と憤るしかなかった

    弱者に押し付けられる清廉という欺瞞の中で
    これだけの意見を持つ彼らはその聡明さが故に理不尽極まりない現実に苦しみ悶えた

    リンダの戦いは自由になったから終わるわけではない

    奴隷制度が撤廃されても歴史は残る
    リンダの言葉は今を生きる私にも必要なもの
    先人が血と汗と涙をふり絞って手に入れた人権、尊厳を権力の元に投げ出してはいけないと

    リンダという名も無き奴隷少女が綴った小さくて聡明で抗う力を与えてくれる本



  • ハリエット・アン・ジェイコブズ『ある奴隷少女に起こった出来事』新潮文庫。

    出版から120年以上経過し、やっと陽の目をみたという貴重な自伝的ノンフィクション小説。本作に描かれているのは生まれてから物心がつくまで自身が奴隷であることを知らなかった著者が、奴隷として生きてもなお希望を失わずに、自由を求める物語である。

    奴隷制度について描いた作品と言えば、アレックス・へイリーの『ルーツ』が有名である。しかし、『ルーツ』は、あくまでも事実に基づいたフィクションということで読み物としては確かに面白い作品だった。一方、本作は奴隷という身分に身を置いた経験を持つ著者が書いただけに恐ろしいまでのリアリティを感じると共に人間の残虐さを再認識する内容になっている。そして、読み進むうちに知らぬ間に著者の奴隷という視点で考えることを追体験することとなり、本当に不思議な感覚を味わうこととなった。

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