- Amazon.co.jp ・本 (463ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102202111
感想・レビュー・書評
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映画が好きで読んだ
音楽バカが顕著にあらわれる。どんだけ脚注あんねん。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
備忘録
映画版が好きなので読みました。
失恋に落ち込み自己憐憫の底に沈む男のユーモアとアイロニーに溢れた独白と、知らなくても魅力的なポップカルチャー愛がとても楽しい作品でした。
好きなシーンは序盤、元恋人のローラが主人公の部屋を後にするときのドアを開ける描写です。主人公の未練がキュートに感じられました。 -
この文庫、すでに絶版になっていて、ネットで手に入れた。
同タイトルで映画化もされているんだね。
小説内に登場する膨大な音楽コレクション(とウンチク)
ほとんどわからなかったけども、それでも楽しめる。
古い小説かと思ったけども、ニルヴァーナ(Nirvana)のレコードも出てきたりして、それに反応してしまう自分が面白かった。
ちなみに、主人公は35歳の音楽ジャンキーで、ロブの一人称小説となっている。
男の哀しいサガ、ダメダメな人生がずーっと綴られている。
何となく、ライ麦を思い起こすような純真さも感じる。
音楽に没頭し、しがないレコード店を営み、常にウンチクを語る・・・
しかし、人生は自分の思うモノとは解離しており、恋人ローラも逃げていくありさま。
そのローラに対する想いも、かなりひねくれていて、その有様も惨憺たるもの。
終盤にかけて、恋人と人生を取り返すような爽快なストーリーになっている。
今の自分の年齢ともかぶり、感慨深く読むことができた。
ちなみに『フィデリティー(fidelity)』を辞書で引くと
1)約束や義務などの厳守。
2)忠実。忠誠。
3)迫真性。正確さ。
4)オーディオ装置で,再生の忠実度。原音を再生する正確さ。
なるほど!
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【内容(「BOOK」データベースより)】
彼女のためにテープを編集したこと、ありますか?彼氏からそんなテープを贈られたこと、ありますか?この本は、そんな貴男とそんな貴女のための小説です。もうからない中古レコード店を営むロブと、出世街道まっしぐらの女性弁護士ローラ。同棲の危機を迎えたふたりは、どんな結末を迎えるのでしょうか。英国だけで百万部を突破した話題のベストセラー、いよいよ日本に上陸です。
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名著。
歳を重ねる毎に面白くなる。
音楽とみじめさ。
どっちが最初に存在していたのか。
名文だと思う。 -
映画も素晴らしいが小説もまた素晴らしい。
なんだかいとおしい。 -
2009.1
再読。
8年ぶりに読み返してみた。
前は人間性よりも感性、という考えとかオタクっぽさに大いに共感してたけど、
「大切なのはどんなものが好きかではなく、どんな人間であるかだという気がしている」に今では共感している。
ここでも「気がしている」とまだ言い切れないところが彼の弱さであり愛すべき所だったりして。
解説をじっくり読んでみるのも面白い。 -
大好きです。映画を先に見てしまったのだけど、やっぱりニック・ホーンビィの小説はいいなあ、と思う。バカでどうしようもない感じとか。なんか強迫観念っぽいところとか。偏執的なところとか。考え出すと止まらなくなる感じとか。私は知らない名前もとても多かったけど、音楽好きならより楽しめるのかも。好きな人にテープを作りたくなります。
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個人的にはこの先品、イギリス版『モテキ』だと思っています。映画を観た時にも感じました。
文化系男子が心に負った(本人は傷だと思ってる)傷って、なんでこんな風に拗れてしまうんですかね…。
かなり乱暴に言ってしまうと、大人になりきれなかった35歳男性が、歴代元カノとのトラウマを払拭して新しい自分として踏み出す(?)物語なのですが、作者のウィットが効いた文体が心地よく、久しぶりに小説を読んで、声に出して笑ってしまいました。
音楽(特に60s〜70sソウル)に詳しい人が読むと絶対楽しめますが、訳者の丁寧な解説付きなので、このジャンルに疎い人にもオススメ。久々に映画版が観たくなりました。 -
もし、もっとイギリスやアメリカの音楽や芸能関係に精通していれば、この小説の内容を楽しく堪能できただろうか。
もちろんそれもあるんだろうけど、もっと肝心なところでとても不満だ。
文章自体はユーモアに溢れ、ウィットに富み、時にはシニカルだったりアイロニックだったりと、魅力的な部分はあるんだけど、いかんせん、散文的、というか散漫というか。
そのせいで、ストーリーに身が入らなかった、というのが正直なところ。 -
Them magazine 2015年春号(通巻第5号)「Out of Nineties」特集で90年代のものを紹介するページで紹介されているのをみて読んだ本。90年代の本・映画・音楽は「うるさいよばかだるいんだよってかお前誰だよ」みたいな空気が各作品に通底する特徴のような気がしていて、それを魅力に感じている。競争を続けることがしんどくなって降りるようなテンションが日本だとゆとり世代につながっていったのかも知れず、90年代カルチャーが未だに古びないのは当時のテンションが今につながっているからのような気がする。この作品はほどよいぬるさが読みやすい。