ホテル・ニューハンプシャー〈上〉 (新潮文庫)

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制作 : 中野 圭二 
  • 新潮社 (1989年10月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (427ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102273036

ホテル・ニューハンプシャー〈上〉 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 両親の出会いからはじまって、ホテルを経営するという父さんの夢を、家族が協力して叶えていくお話。家族の歴史。
    さまざまな事件が家族を襲う。
    ホモ、レイプ、近親相姦…、何でもありだけど、読んでいて決して暗い気持ちにならない。むしろ晴れ晴れしてしまう。何でもありでいいんだ、って納得してしまう。全てがおとぎ話のように、楽しく思える。

  • ひとりひとりのつらく悲しい健気さが、
    家族というフレームを通すことで、
    静かな温もりとなって心に沁みてくる。

  • ホモの長男、近親相姦の次男と長女。難聴の三男、小人症の次女。

    もう小説というものに含まれるすべてのトピックを含む小説。

    なのに、気持ち悪いおなかいっぱいにならない。かなしくおなかいっぱいになる。

    *「永久にねじで固定される」

    *「もう少しおとなになる必要があるわね。おとなは子どもみたいにすぐにはもどれないのよ、わかる?」

    *「結末は見たくないわね。母さんはハッピーエンドがいいわ」すると父さんが言った。「ハッピーエンドなんてものはないんだよ」

    *「開いてる窓の前で立ち止まらないことね」

    どうも私は本の言語選択を誤りがちだ。

    原書で読みたい。これは、原書で読むべきだった。

    だけど、中野さんの訳が、訳した本だなあという限界は見えるものの、いい具合の日本語を使ってくださっている。きっと中野さんはアーヴィングの感受性をすきなんだろうなと思った。

    *悲しみは物みなを親密にするp34

    *ソローは沈まないで漂い続ける。それはぼくたち誰もが知っていた。p87

    *「どんなものも愛より安全よ」p171

    アーヴィングは、どうもいけない。

    悲しさやむなしさと、闘おうとも、受け入れようとも、しない。ただ、ヨコに漂わせる、だけだ。

    上巻にペットのワンコがSorrow(ソロー;かなしみ)という名なのだけど、そのワンコのように、ヨコにおいておくだけ、だ。

    悲しみはただ、動物と違うのは、どこにもいかないこと、死ぬことがないこと、それだけが違うことだけれど。

    悲しみと漂って暮らす、こんな名作を読んだら、

    俄然生きる気を失う。

    頑張る気を失う。

    これでいいんじゃないのって思う。

    どうでもいいよって思う。

    悲しみはなくならないのねと思う。

    だけど、奥さんと子供を亡くしたお父さんが言うことばに救われそうになる。

    *「人間というものはすばらしいもんだ。どんなことでも折り合って暮らしていけるようになる。」父さんは僕に言った。「われわれが何かを失ってもそこから立ち直って強くなれないんだったら、そしてまた、なくて淋しく思っているものや、ほしいけれど手に入れるのは不可能なものがあっても、めげずに強くなれないんだったら、」父さんは言う、「だったら、われわれはお世辞にも強くなったとはいえないんにゃあるまいかね?それ以外にわれわれ人間を強くするものがあるかね?」p198

    もう、何も言わずに生きようと思える。

    おすすめは?って言われたら、迷わずしばらくアーヴィングを勧めます。

    村上春樹がすごく影響を受けていると、上の数ページ読むだけでも分かるから、春樹フリークの方に特にオススメ。

    あと、悲しみとの生き方が、江国香織にも影響与えていると思うのは、私だけかな?(確か、どれかのエッセイで書いていた気がする・・・「泣かない子供」か「泣く大人」あたりで)

  • 西加奈子のサラバに出てくることから興味を持ち読んでみた。アメリカ文学と言えば、トムソーヤの冒険やグレートギャッツビー、ライ麦畑でつかまえてなどに描かれる古き良きアメリカの印象があったが、この作品の粗野で下品でそれでいて幻想的かつ生き生きとした描写には驚かされた。自分はコネチカットとニューヨークに通算7年住んでいた事があるが、この本に描かれるベリー家の生活の生々しさって本当に当時のアメリカの北東部の雰囲気なんだろうか。むしろ作者が人間の生活を裸にして取り繕うことなくありのままに表現するとこういう作品になるのだろう。

  • 先月読んだ西加奈子の『サラバ!』で、主人公とその高校時代の親友が愛読していたのがこの本でした。セリフもいくつか引用されており主人公が立ち直るきっかけにもなる重要アイテム。それでジョン・アーヴィングは随分昔に『サーカスの息子』を読んだきりで、そういや有名な他の作品を読んでいなかったっけと思い、いまさらのようにホテルニューハンプシャー。

    父母の出逢いから語り起こされる、基本的にはベリー一家のファミリーヒストリー。語り手は次男のジョン。大柄なのに内向的で友達のいない兄フランク、気が強く個性的だが男にモテる姉のフラニー、大きくならない妹のリリー、まだ幼い末っ子のエッグ。ずっとラブラブな両親と、高校のフットボールコーチをしているマッチョめのお祖父ちゃん(父の父)ボブ、父がフロイトという謎のユダヤ人から譲り受けた熊のアール、おならばかりしている臭い犬のソロー、が一家の構成員。

    両親はハイスクール時代にリゾートホテルでの夏休みのアルバイトをきっかけに恋に落ち、それが最終的に父の「ホテル経営」の夢へと繋がる。序盤は熊のアールにまつわるエピソード中心で、何に驚くって熊をふつうにペットとして飼えること。もちろんこの熊は野性ではなくもとはサーカスで芸を仕込まれた賢い熊だけれど。家族の一員のようだったアールの最期は切ない。

    そしてなんやかんやでホテルニューハンプシャーを立ち上げた父、しかしハロウィンの夜、その魅力ゆえにフラニーをある悲劇が襲う。個性的なホテル従業員たち、セクシーなメイドとの初体験、悲しみ(ソロー)という名の犬が剥製になってなお巻き起こす騒動など、語り手のジョンが「第一次ホテルニューハンプシャー」と名付けた時代までの悲喜こもごも。

    そしてフロイトの招きでウィーンに引っ越すことにした一家を、またしても悲劇が襲う。上巻ラストはその悲劇のあまりのあっけなさに呆然とした。家族はある意味奇人変人だらけだけれど、彼らにとってはそれが家族というものだし、気の合わない相手がいたとしても兄妹たちは結局なんやかんやで仲が良い。『サラバ!』で引用されていた部分など、家族というものにたいする全肯定がさりげなくて良い。

  • どちらかというと淡々と物語は進んでいくので、ものすごく重大な事件もさらっと過ぎてしまうところがちょっとこわいというか、えーそんなことでいいのかよーと思ってしまう。それがこの小説のスタイルなのだろう。

  • アメリカに行ったことがないせいもあると思うけど、何があちらでの「普通」で、何が「普通でない」のかよくわからないから、アメリカ文学を読むと戸惑うことが多い。この一家はみんな変わり者のようだけど…?
    未来(夢)ばかり見ている父親、同性愛者で制服と剥製作りに夢中の兄、いろいろと奔放な姉、大人しい小人症の妹、年齢の割に言動が幼く耳の遠い弟。一家にこれだけ揃うのは珍しいかもしれないけれど、一人一人を見ればこういう人いるなあ、という気もする。母が一番大変だろうが、夫と子どもたちを愛しているようでさほど苦労人という印象は受けない。
    この変わった家族がホテルを開き、客をもてなすわけだけれど、うまくいくはずもなく…。周りにはなんとなく死がつきまとう。不幸な偶然とはいえ、ショック死が2人。母と弟は飛行機事故で死亡。これから残りの家族のメンバーでウィーンのフロイトのホテルをどう切り盛りするのか。下巻に期待。

  • よく分からなくて、二回読んでようやく、なんとなく分かった気がする。
    伏線がいくつもあった。悲しい出来事が多かったが、下巻では一体どんなことが起こるのだろう。
    キャラクターは皆多面的で深刻な問題を抱えている。この人はこういう人、と説明するのが難しい。
    成熟した女性陣、とりわけフラニーに対し、少しでも対等になろう、彼女を守れるようになろうと努力するジョンだが、雲をつかむようで、どうしても報われない結果になりそうな気がする。

  •  ザ・アメリカって感じ!!
     アメリカンドリーム!そしてセックスの話多すぎ。登場人物多すぎて軽くパニックな。。
     感想は下巻で。

  • どうせ読みづらいんでしょう?と手に取るのを避け続けてきたが、お、おもしろい!家族の会話も軽妙だ。
    「下見板張り」外壁に長い木材を、下辺が少し重なるように張る工法。
    「つんぼさじき」はまあいいや。
    「司直」法によって事の可否や善悪を裁く人。
    157、「フランクはあびくそいまいましいシンバルを思い切り打ち鳴らした(…)まるでわが家では、敵を血祭りに上げる前には、いつも儀式としてそういう踊りをしているかのようだった。」最高。

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ホテル・ニューハンプシャー〈上〉 (新潮文庫)の作品紹介

1939年夏の魔法の一日、ウィン・ベリーは海辺のホテルでメアリー・ベイツと出会い、芸人のフロイトから一頭の熊を買う。こうして、ベリー家の歴史が始まった。ホモのフランク、小人症のリリー、難聴のエッグ、たがいに愛し合うフラニーとジョン、老犬のソロー。それぞれに傷を負った家族は、父親の夢をかなえるため、ホテル・ニューハンプシャーを開業する-現代アメリカ文学の金字塔。

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