オウエンのために祈りを〈下〉 (新潮文庫)

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制作 : John Irving  中野 圭二 
  • 新潮社 (2006年9月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (597ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102273111

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オウエンのために祈りを〈下〉 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 何もかもが完璧な「物語」

    まさに教科書のように隅から隅までが出来上がった物語は、福音書と言って過言ではない。

    オウエンの周りを囲む人々、起こり得るストーリーと人々。どれをとっても言うことはない。

    若き頃のキリスト教演劇とクリスマスキャロルで示されたオウエンの選民意識。
    素晴らしき生徒でありながら、校長に本気の対抗意識を持って総代を降ろされるオウエン。
    大学に入ってからの彼の堕落っぷりとベトナムへの複雑な想い。
    僕の人差し指を落とすシーンのアルコールの香りと指の痛みは、まさに現実に残るものがある。

    そして偉大な文学への愛が遺憾無く発揮させられる。オウエンのハーディー分析や僕が教えるフィッツジェラルド。こうやって読者は一つの作品から偉大なる別の作品へと自分の文化圏を広げていく。

    何度でも読み返すことのできる、最高レベルの傑作の一つ。

  • 私にとって初のジョン・アーヴィング作品。上下巻を読み終えるのに時間とエネルギーをとても使ってしまった。非常に長い年月、誰かの(この場合、ジョンやオウエンやその他の登場人物達、実在しない彼ら)人生にずっと付き合うのはとてもエネルギーが要る。というのが上巻。
    そしてそれまで冗長なほど事細かに描かれた彼らの色々な時代のエピソード。それらがこの下巻でどんどん編み上げられラストに向かっていく様は圧巻だった。

    私は個人的に「全ての事には意味がある」という考え方はあまり好きではない。しかし、この作品はまさに私のような「信仰心」の無い者に、小説のカタチをとって「全ての事(エピソード)には意味がある」事を示そうとした。ただダラダラと書かれたように見える少年時代のシーンも、その全てがラストに繋がっている。見逃すような何気ない行動や台詞も。みなラストへの布石なのだ。例え私には感動や共感が無くても、それ故に評価するべき作品と言える。(星はいくつにしていいのかわからないからつけませんが……)ジョンはこの物語の後、彼自身の人生をちゃんと送ることが出来るようになるのだろうかというのが気掛かり。いつまでも傍観者であり続けるのだろうか。オウエンならどう思う?

    とはいえ本当に長かった……。

  • 主人公ジョニーとオウエンの友情をめぐる様々な出来事がそれぞれにクライマックスを迎え、衝撃的な「事件」で幕を閉じる。終わって欲しくなかった。ずっとオウエンの姿を見ていたかった。オウエンがクールすぎる。

  • 自らが死ぬ夢に捕らわれるオウエン。その夢を実現させるかのように運命は導かれていく。同時に語り手である友人ジョンの秘密も明らかになる。時間軸を往き来する構成の妙、全ての謎が解き明かされるラストシーンは息を飲む。

  • ☆3.5 2011年 秋
    スロースターターなお話だと思いました。下巻までいくと(そして、特にその後半にたどり着ければ)、後は一気に話が進む(収束していく)感じがしましたが。そして、その収束への感覚は、とても素晴らしかったです。
    前半は、自分自身が、宗教に特に興味がなく、またバックグラウンドを知らないために、読み難いと感じたのではないか、とも思いましたが、同時に、作者は、信仰者じゃないと面白く読めないとか、宗教的な内容を含んだ本だ、などとは思って欲しくない様にも思いました。その様な本として書かれた、それを狙って書かれた本ではないと思うのです。想像ですけれど。
    読後の感想としてですが、繰り返しになりますが、前半は少し辛かったですが、後半の収束していく様は、最後の最後まで素晴らしかったので、あきらめずに最後まで読んでよかったと思いました。分かっていても、最後が来るのが少し怖かったですし、本当に意味があって、そうなのかなと思いました。うーん、すごい。

  • 非常に長い話だった。単純にページ数が多いというよりも、正直に言えば読み飽きてしまうせいで感じるのだと思う。
    だが、人一人の人生を丁寧に第三者の視点から描き挙げた物語なのだから、時に冗長になっても当たり前だと思った。
    オウエンの運命を読者は中途で察するのだが、それでもラストはまったくひたすら圧倒される。

    精巧にきっちりと作り込まれた伏線の回収、というよりは、無駄なことなどこの世にはなにひとつない神の思し召しによって
    パズルのピースが次々と嵌っていくようなすべてが集約されていくある種の爽快感がある。

    オウエンがジョンに諭した”ちょっとした勇気”の凄まじさ。
    オウエンの言うことに従うジョンは勿論のこと、それを決行しようとするオウエンの決意の凄まじさ。決断はけして軽く行われたものではなく、彼自身どれだけ苦しんだ末だったのか。

    また、空港で己の”預言”を信じ疑うオウエンに、歳相応の普通の人間としての迷いに泣きたくなった。
    死なずに済むなら死にたくない、という痛ましいほどの悲しみ。しかしそれが定めでどうしようもないと悟り行動に移す冷静さ。
    それは正に磔になることを嘆き神に問い、真っ直ぐに受け入れて命を落とし
    後に復活したイエス・キリストである。

    また、本書では太字のゴシックで表されるオウエンの台詞だが、原書では全て大文字なのだという。
    彼の”ヴォイス”がここにあるのだ。
    原書で読めばより一層彼の言葉を感じられるかもしれないと思った。

    そして、オウエンを見届け彼のために祈るジョンの、
    友情という簡単な一言で言い表すには抵抗を覚えるほどの感情の緩やかさと激しさを見る。

    章タイトルもあまりに秀逸である。

  • 【概要・粗筋】
    「ぼく」とオウエンはグレイブズエンド学院に進学した。オウエンは学内誌『グレイブ』で論説を書き、それは校長の人事に始まり学院のさまざまな問題に影響を与えた。しかし、新校長との対立によってオウエンは卒業を間近に控えているにもかかわらず退学させられることに。その後オウエンは大学に入学し、卒業後はアメリカ陸軍に入隊する。”神の子”オウエン・ミーニーの信仰と奇跡の物語。

    【感想】
    キリスト教徒ほとんど無縁に生きてきた私にとっては、宗教色濃厚のこの小説はピンと来なかった。おまけに、ヴェトナム戦争やカトリック、アメリカ社会に対する批判色も強く、物語としての面白さはあまりなかった。さまざまな伏線がどう収まるのかということに関心が集中して、途中の部分に面白味を感じなかった。再読すればまた違う感じ方をするのかもしれないが、再読してみたいという気持ちにはならなかった。

  • やっと読み終わった♪

    アーヴィングは生まれてから死ぬまで一つの話で描いているので読了後、フラーっとしてしまうけど達成感もすごくある。

    オウエンの声の意味、ジョンのお父さんの正体、お母さんが『赤いドレスの女』として歌っていた意味、ヴェトナム戦争での事件、、、展開が速かった。

  • いまでもラストの一文を読むたびに身体が震えます。

  • すごくよかったー(ため息)。もしかしたらアーヴィングの作品のなかでいちばん好きかもしれない。これまで、キリスト教の知識がないと読みにくいのかなと思って敬遠していたのだけれど、確かに教会や聖書やキリスト教の話はたくさん出てくるけれど気にならず、むしろ興味深かった。まあ、信仰の話かもしれないけど、それもすべて人生の話、ということで。運命とか、人生の不思議さを考えさせられる。語られるのはおもに、主人公ジョンと、体が小さくてひどく変わってる親友オウエンの少年時代から高校大学時代。クリスマス劇や夏休み、いたずらの数々、学校のこと、ちょっと変わったエピソードはどれもおもしろおかしくて、せつなくて。アーヴィングは語るのが世界一うまい作家のひとりだと思う。変わっている人たちとかとっぴょうしもないこととか、不思議なできごととかが浮かずになじんでいて、すごくリアルに感じられる。「ほら変わってるでしょ?」っていうような自慢たらしさ?がないというか。説得力がある。そして、おもしろおかしかったり不思議だったりするたくさんのエピソードにすべて意味があることがあとでわかってくることがまた、すごい。茫然としてしまう。最初から結末というかジョンとオウエンの行く先はわかっていて、いつどうやってなぜそうなるのか?と、ぐいぐい引っ張られていくのがまた、すごい。最後まで読んで結末がはっきりわかったあと、また最初から読み返したくなる。そして、もっともっと続きを読みたいなあとも思った。語り手のジョンが自分のことを、自分の人生はただ玄関前に座って通りすぎるパレードをながめているようなもの、とかいうことをいっていて、そんなジョンの人生の続きをもっともっと読みたくて。ケネディ大統領やベトナム戦争など、アメリカの歴史みたいな部分もわたしにはすごく興味深かった。あと、学校のレポートを書くところや、ジョンが教師になって文学を教えるところで、ディケンズ、ハーディ、ブロンテ、ジェイン・オースティンなどなどについて語られるのもおもしろかった。出てくる作品をまた読みたくなったり。また読み返したい作品。あと、「サイダーハウス・ルール」「ガープの世界」「ホテル・ニューハンプシャー」も、もう一度読みたくなった。

  • 2009/9/25購入
    2010/9/12読了

  • 中盤は単調に感じてしまったが、それは全て結末に至るまでの布石にすぎなかったのだと震えた。 寓話めいた雰囲気の中、飲んだくれで無茶な性格のへスターが異彩を放っていて、好き。 その後の彼女の気持ちを思うと、胸がはりさけそうだよ。 祈ることの意味を考えさせられる、貴重な小説。

  • (上巻のレヴューより続く)アーヴィングの作品には非常に面白いものがたくさんある。で、この本は彼が書いた作品の中で「もっとも美しい」作品なんじゃないかと思う。上巻・下巻と長篇ですがお薦め。

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オウエンのために祈りを〈下〉 (新潮文庫)の作品紹介

オウエンは学校新聞編集長として活躍しながら、ぼくの面倒を見続けた。泥沼の様相を呈し始めたヴェトナム戦争行きを熱望し、一方ぼくには大胆な方法で徴兵を免れさせた。予知力を持つオウエンがひどく怯える夢の正体は?すべては神の計画という彼の言葉は真実なのか?そして一切不明だったぼくの父の正体は?謎が一挙に解明される衝撃のラストシーンへと、物語はなだれ込む。

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