不思議の国のアリス (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (181ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102401019

感想・レビュー・書評

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  • 映画等含め実は初読みの物語。
    子供から見た大人の世界なのかなと思って読むと、少し切なく感じますね。

  • 『不思議の国のアリス(Alice's Adventures in Wonderland)』は、元々は、作者ルイス・キャロル(本名チャールズ・ドジソン)が、仲良しの3姉妹、とりわけ次女のアリス・リデルのために書いた物語です。1865年に刊行されて以来、この不思議で愛すべき本は多くの言語に翻訳され、多くの人に親しまれてきました。日本語訳だけでも、翻案や抄訳も含めると、続編の『鏡の国のアリス』と併せて、150ものバージョンが存在するようです。
    挿絵ももっとも有名なものは原著初版時のテニエルのもの、それからアーサー・ラッカムのものがあげられるでしょうが、この不思議な物語は絵心を刺激するのでしょう。やはり数多くの画家が挿絵を描いています。
    個人的には子どもの時読んだ福音館の版がなじみ深いです。こちらは生野幸吉訳、テニエルの挿絵でした。

    川辺の土手で、姉さんの隣に座って退屈していたアリス。その彼女の前を、1匹の白ウサギが通り過ぎます。ところがこのウサギ、チョッキを着てポケットから時計を取り出し、「たいへんだ、遅刻しそうだ!」と言いながら、巣穴に飛び込んでいくのですね。驚いたアリスもすぐさま続いて飛び込みます。
    これが冒険の始まり。
    「ワタシヲオノミ」と書いてある薬を飲んだりキノコを食べたりして、大きくなったり小さくなったり。涙の海で溺れかけたり。水ぎせるを吸うイモムシと問答したり。ウサギとネズミと帽子屋のおかしなお茶会に同席したり。ウミガメモドキの哀しい歌を聞いたり。にんまり笑うチェシャネコに会ったり。
    最後には横暴な女王さまと対決しますよ。
    さあどうなるのでしょうか。

    文庫本も各社から出ていますが、この新潮社版は、矢川澄子さんの訳、金子國義さんの挿絵です。
    詩人でもある矢川さんは、地の文も話し言葉で綴ります。「~してね、~でね」と進む物語は、キャロルが少女たちに語って聞かせているようでもあり、矢川さんの語りのようにも思えます。
    金子さんの描くアリスはどこかコケティッシュで、洗練された雰囲気です。
    こうして読み進めていくと、本当に夢の中に迷い込んだように感じます。

    矢川さんは解説で
    『不思議の国』でも、『鏡の国』でも、アリスはみごとにひとりぼっちです。
    とすればアリスは、(中略)すべてを自分できめて、不測の事態に素手で立向かってゆかなくてはなりません。
    といいます。
    そこに矢川さんは「少女の孤独」を見ます。
    この観点は自分にはあまりなかったのでちょっと意表を突かれたのですが、なるほど言われればそうかもしれません。不思議で楽しい、でもどこか物悲しい。
    その奥には、どこか誰しもが持つ「痛み」が潜んでいるのかもしれません。

    永遠の少女、アリスは、今日も不思議の国をさまよっています。

  •  以前読んだ時はあまりにストーリーを重視し過ぎて、そんなに面白いと感じなかったが、今回はことば遊びや不思議な世界観を楽しむことができた。〜でね、と読者に語りかけるような文章で、小さな子に寝る前のお話として語りかけている光景が目に浮かぶ。訳者の方は世界観を壊さないよう、とても丁寧に訳されたことがよくわかる。苦労されただろうな。
     今再読すると、アリスの孤独をひしひしと感じた。世間一般に常識的な人がおかしいと思われる世界。裏を返せば、生きづらさを感じている人には世界はこんな風に見えているのか。
     ジョン・テニエルの挿絵バージョンも読んでみたい。

  • 【名作文学を読む】

    シュヴァンクマイエルの映画『アリス』を観て、あれ、これってどこまで原作に則ってるんだ? てか原作ってどんな感じやったっけ? と思ったので、この際きちんと原作を読んでみることにしました。

    『不思議の国のアリス』はあまりにも有名なゆえ、沢山の翻訳家がキャロルの世界を紐解いています(100種類以上はあるとかないとか)。そのため翻訳者によって少々印象の変わってくる『不思議の国のアリス』なのですが、自分は矢川澄子さんの訳を選びました。金子國義氏の挿絵も大きなポイントを占めていますね。

    気になる本文はなるほど「小説のシュルレアリスム」の嚆矢と言う人がいるのも頷ける内容で、狂っていると言うよりは絶妙な会話のズレ具合で、終始困惑したりクスッとなったり、忙しかった……。コロコロ場面は変わるし、突拍子もない展開もしばしば。ウミガメモドキのとことか、まじでなに言うとるんかわからんかった……。最後に呼んだのはいつだろう。とにかく、初読の時からはかけ離れたまでの違った印象を受けました。

  • 昔から大好きなアリス。
    王子様を待つお姫様よりも、好奇心旺盛で前へ前へと進んでいくアリスは大人になった今も私の憧れでヒーローです。

  • アリスって、つじつまが合うかを追う話ではなくて「何これ、変なの!」と笑う話なんじゃないかな。そもそもキャロルがアリス・リデルに贈ったお話なわけだし。面白がらせて、ツッコまれるのを待っている。だからこの話に意味を求めるなんて、そもそもナンセンス!

    場面場面の珍妙なキャラクターがおかしくて。イモムシやトカゲのビルなんて、最高。ハートの女王も「みんなクビを切っておしまい!」なんて、世間の大人が子どもに対して似たようなこと言いまくってキレているのにそっくり。

    案外子供の目で世の中を見ると、こんな感じに見えてる気がするよね。アリス(子ども)から見たら、不思議の国は今の大人社会のことなのかも。全くもって、ヘンテコだ!

  • 昔からよく聞く物語(童話?)だが、まともに全話を覚えてなくて改めて読んでみたら、こんなにも不思議な物語だったのか、と思った。最近、アリス症候群という子供特有の症例があるが、なるほどな〜と納得した。今からすると自分も子供の頃、実はあれはアリス症候群だったのかもと思える。


  • よく分からなかったっていうのが正直な感想だけど、アリスと動物たちの会話がすごい深い内容だったりして読んでて楽しかった。

  • 1865年(慶応元年)刊行。数学者ドドソン筆名ルイスキャロルが知人アリス姉妹のため創作した即興話。
    言葉をしゃべる白ウサギを追いかけて穴に落ち
    摩訶不思議なキテレツな世界の冒険物語。
    イメージできない所が多かったので当時大コケした1951年ディズニーアニメも視聴教訓的道徳的しかなかった児童文学に全く新しい世界観を切り開いた作品らしいが
    私にはよくわからなかった。

  • 「不思議の国のアリス」は小さい頃に一度読んでいる。
    改めて今回読んでみたのは単純に本屋さんで棚に並んでいるのを見て懐かしいなと手に取ったのがきっかけだ。

    改めて読んでみると思っていたよりも長く、こんな話だったっけと感じた。

    アリスの身体が大きくなったり小さくなったりばかりで、もっと違う変化があっても面白いだろうとは思うけれど、即興でこんな物語を考えるルイス・キャロルは凄い作家だと思う。

    どこか何かを風刺しているようにも感じたが、何をどう風刺しているのかはよくわからないので、考えすぎなのかもしれない。

    翻訳が古いのか、会話にやや古めかしさを感じてしまう。
    何か違うなという思いが最後まである。

    今回「不思議の国のアリス」を読んで「鏡の国のアリス」も読んでみたいと思った。

著者プロフィール

ルイス・キャロル (Lewis Carroll, 1832-98)
イギリスの作家。本名Charles Lutwidge Dodgson(チャールズ・ラトウィッジ・ドッドソン)。チェシャー州の牧師の家に生まれ、オックスフォード大学クライスト チャーチ学寮に学び、卒業後、同大学の数学講師となる。『不思議の国のアリス』(1865)、『鏡の国のアリス』(1872)の作者として最もよく知られているが、本来の数学者・論理学者としての、また最初期のアマチュア写真家としての功績も高く評価されている。

「2021年 『鏡の国のアリス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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