- Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102451038
感想・レビュー・書評
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ポールオースター好きだけどこの散文詩的なやつはちょっとまだ早かった
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ポストモダン。と言い切ってしまうだけでは、抜け落ちるものがある。苦しみがあるのだ。意味の無さには。
2部構成。最初は父について。次はメタ小説。
根底に記憶と親子への問題意識が。
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【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/758950 -
コロナ禍、古本屋の閉店セールでタイトルに惹かれて購入。ソーシャルディスタンス叫ばれ、人間らしいつながりを流行り病が断絶した2021年,そもそも孤独は"発明“出来るのか?と。
物語は著書の父親が逝去した家の整理より。本冒頭の写真も単なる家族写真と思っていたのは全然異なると読み進めると判る。なぜなら、その写真は切り貼りで父親が不在。即ち著者の祖父にあたる人物が切り取られ、幼い父親は犯人である祖母に抱き締められている写真だから。
犯罪被害者でもある父親はその心の傷が生涯癒されることもなく、そんな父親が親だった著書も理想の父親像を抱くことは出来ず幼い子供を残し離婚というのがなんだか毒親の呪縛を見ているようで苦しい。 -
見えない人間の肖像に出てくる父の人間性の本質をついてくる感じがおもしろかった。
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オースターの処女作。濃密かつ緊張に満ちたリアリズムの作品、私小説に近いでしょうか。そこで使われる言葉や、持ち出されてくる題材も豊富です。とくに結論が示されるわけではなく、記憶を巡る哲学的考察をそのまま呈示しています。「書く」ことへの根源的な姿勢、そして現実というものに対して真摯に向き合うこと、その「孤独」の発明を淡々と綴られた、美しい一冊です。
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記憶の書が素晴らしい たゆたう思考の滞留もそのままに。これは名著
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『ガラスの街』を読んで以来、軽くマイブームになっている柴田元幸訳のポール・オースターは今回が四冊目。書かれた時期からすると、本書が最も古いとのこと。
他の作品同様、これも非常に内省的。しかも、題材が父子であり、「僕自身をモデルにして、自己というもののなりたち方について探った作品」とのことで、内省度合いが他の作品よりはるかに強い。前半は、父親から愛情らしい愛情を示されなかったことを心に刺さる言葉で綴っている。内容は辛いはずなのだが、なにか美しささえ感じられる。一方、後半は古典などから様々な引用を交えた、小説というよりは散文に近いトーンで進む。正直、読むのにかなりの体力を要するが、愛情に飢えた心情を思うと読む手を止められない。
オースターの主な著作に一通り目を通したら、この初期の作品にもう一度戻ってこよう。