ムーン・パレス (新潮文庫)

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制作 : Paul Auster  柴田 元幸 
  • 新潮社 (1997年9月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (532ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102451045

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ムーン・パレス (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • クズはクズでしかないのか。

  • 波乱万丈の三代にわたる青春物語。ユーモアあふれる文体が読みやすく、一気に読んだ。コメディタッチではあるけれど、本質的には孤独を感じさせる、悲しみに満ちた物語でもあると思う。

  • 同じ状況に陥ったら同じように思い、感じるんじゃないだろうか。
    精神的に混乱しているときを含め、主人公の心の動きは自分にとって妙にリアルで、近さを感じた。
    そんな現実感で読んでいたところへ、エフィングの登場である。
    ひと癖もふた癖もある謎の老人。
    どこまで何が本当なのか。
    「このあたりもうちょっとはしょってもいいんじゃないか」と思い始めると、そこでググッと話が展開し引き込まれること2度3度。糸がつながってゆく。

    哀しくてあたたかい。
    すべてわかった今、少し時をおいたらもう一度読み直したいという気になっている。

  • オースターの作品のなかでもとりわけ人気が高いと言われる小説。
    端的に言うと自分探しのための生き方を一時期した青年の物語。
    それでいて最後まで読むと三世代の男たちの物語であることも分かる。

    大学生のフォッグが、唯一の肉親であるビクター伯父さんを亡くすことから始まる第一部が私は一番好きだった。
    大好きで拠り所としていた人を失い、悲しみのあまり自分の持っているものを全て失うように仕向け、そして全て手離して堕ちたところから再生が始まる。
    全て失ったように見えて、失っていないものの存在に気づく瞬間の温かさ。そしてまた再生していく、人間の力強さ。

    青春小説でありつつ謎解きのような要素も孕んでいるからあらすじは書けないけれど、第二部第三部と読み進んで少しずつ謎に気づいていくつくり。勘の良い人ならわりと早い段階で気づくのかも知れない。
    予定調和というか、あまりにも出来すぎた流れだと思うところもあるけれど、フォッグが大人になるためには必要な流れだったのだろうと思う。タイミングの妙みたいなもの。

    失う痛み、気づき、そして人を赦すこと。ひとつずつを経験して、人は自分を知っていく。

    ちょっと長くて正直読み進まなくなった場面もあるから、個人的にはもう少し物語が圧縮されてた方がより好ましい。
    しかしながら青春小説としては必読とも言える作品。圧巻。

  • 悪くない…悪くはない。むしろ良いと思う。
    けど好みじゃない。
    数冊読んで好みが出てきたからなんですが…

    たくさんの大事な人を得てそして失ってきたこの主人公の心はとても繊細で破滅的。
    主人公なのに彼のエピソードの部分だけが好きになれない。
    そして希望を見出したように見える最後のあのシーン…
    あのあと彼は色々な事とちゃんと向き合えたのか、これからの人生でおこるであろう様々なことに立ち向かえたのか。
    1冊分の彼の人生をみてきた後では不安が残る…

    キャラが好きじゃないなと思いつつこんなことを思ってしまうのは共感してしまったのか作者の描写がとても上手なのか。
    ああいう感じに終わるのはいいんですが、彼のキャラクターを考えるともう少し違うエンドが欲しかったかな。

    この作者は4作目ですが自然に読める翻訳には毎回感心してしまいます。素晴らしい。

  • なんともジャンル分けしにくい本を読んでしまった。
    中身じゃなくて、心がからっぽな人間の数奇な人生という感じ。
    私は読書に繊細さ、あるいは強固なものを汲み取るのだが
    この本は私とは性別が違うとはっきり言うことができる。

    おもしろいがあんまり共感できなかったので★3つ

  • 訳書は日本語のリズムにどう移植するかが命。この本はテンポ良く、荒唐無稽な世界に気持ちよく連れていかれる。偶然が多いかもしれないけど所詮人生はそういう要素の積み重ねだと思える。この作者にとっては特殊な書き方らしいので、他のとも比べてみたい。

  • マーコと世界とをつなぐ唯一の存在であった伯父が亡くなり、彼はゆっくりと落下していく。ゆるやかな降下の中、偶然の出会いから自身の出生の謎へと導かれる。
    物語性と現実感が調和した作品。

  • ふだんSFやファンタジーばっかり読むので、いわゆる文学系は初めてだったような?
    でも全然違和感ありませんでした。
    本の中が別世界で、別の時間が流れてるような気がしてました。
    なので大枠でファンタジーと言えないこともないのかも知れません。
    この小説にあるような月を実際に見たことがあるので、ラストはとても気持ちがよかったです。
    人生は偶然という名の奇跡の連続。
    海の上に昇る満月は、この世のものとは思えないくらい静謐で美しいですぜ~♪

  • まさに、青春小説。
    それも、部活とか恋愛に邁進するような「ザ・青春」ではなく、
    失い、迷い、傷つき、立ち上がってやみくもになってみたりする、
    青臭くてがむしゃらで、なんか痛々しくあるんだけど自分を重ねてしまうような「青春」。
    度重なる別れに傷つき悲しみながらも、何度でも人は立ち上がっていくんだなぁと思う。

    あやふやな土台に、頼りなげに立っている主人公。
    主人公の青年は、私生児として生まれ、母も13の時に事故で失い、
    大学生のときには育ててくれた叔父も亡くしてしまう。
    ひどい喪失感から、叔父のくれた大量の本をむさぼり読み、
    これを古本屋に売って生活費に充てていたが、やがて本はなくなり、
    家を追い出され、ホームレスとなる。
    朦朧とした意識の中、2人の友が彼を救い、やがて動けるようになってから、
    住み込みで老人の世話をするという仕事を始める。
    老人は彼に、自分の激動の半生を書きとめるという仕事を科した。――

    なぜかわからないけど、極貧生活をしている主人公が、
    最後の卵を床に落としてしまい、板の割れ目に卵が流れおちていくのを
    見たときの絶望感がリアルで、一番印象に残っているシーンだ。

    最後は少し失速してしまった感もあったけれど。
    普段、あまりこういった翻訳ものは読まないからわからないけど、
    この翻訳はとてもいいんじゃないかと思った。(偉そうでごめんなさい)

  • 不幸な主人公。家族も恋人も失ってどうやって生きて行くのだろう。しがみつくものがないなんて辛い。

    それにしても柴田元幸の訳がうまくてとーっても読みやすかった!ということで☆5つ!!

  • 小説だからこその人生の困難さと再生が繰り返されていて、
    また人との縁も「小説だからね、そんな偶然」というところだけど、
    この年齢になると、小説のような偶然が頻繁に起きていることを知ってるので
    「奇想天外な小説だったな~」と終わらせられないのです。
    生きていること、孤独であること。
    主人公と彼に関わる人たちの人生で描かれるそれらがギリギリなところまでいって、私たちにどういうことなのかを見せてくれている気がします。

    翻訳も違和感がなく、とても自然に読み進められて、驚きました。

  • 予想をはるかに裏切った。(いい意味で)
    とても面白かった。貧乏学生の境遇は自分にもよく分かる。(一日一食とか・・・主人公まではいかないけども。)
    後半やや失速した感は否めないが、前半はとても面白かった。
    こういう作品があるから読書はやめられない。

  • 高校3年生のたしかちょうど受験勉強をしていたころに一度読み、大学生のころにも一度読み、そして初めて読んでから10年以上たってもう一度読んだ。何度読んでも違う発見がある。
    過去に読んだときには、物語の面白さと切なさにノックアウトされたきりで、中盤のキティとのラブストーリーの記憶ばっかり残っていたのだが、いまあらためて読んでみると、この小説の形式面に驚いた。

    いくつもの口承の冒険譚(というかむしろほら吹き話に近いのだが)が入れ子の構造になっていて、さらに語り手と聞き手が実は偶然ではなく必然でつながっている。すべてが偶然の糸でつながっているかのような物語が実はずいぶん緻密な必然の結果であるということに舌を巻いた。

    しかしこのオースター流の感傷的で饒舌な文体は読むたび切ない。それからノスタルジックな60年代~70年代のNYの雰囲気や時代背景の描写、月のモチーフの使い方もオシャレ度高し。

    なんにしても、大好きな本です。

  • 人類がはじめて月を歩いた春だった。父を知らず、母とも死別した僕は、唯一の血縁だった伯父を失う。彼は僕と世界を結ぶ絆だった。僕は絶望のあまり、人生を放棄しはじめた。やがて生活費も尽き、餓死寸前のところを友人に救われた。体力が回復すると、僕は奇妙な仕事を見つけた。その依頼を遂行するうちに、偶然にも僕は自らの家系の謎にたどりついた…。深い余韻が胸に残る絶品の青春小説。

  • 偶然だけが物語を引っ張っていくことをご都合主義と思わずにいられない質だったが、あまりに重なりすぎる偶然はかえって必然であると思えるようになった。そもそも現実も偶然によって引っ張られていく、自らの作為のみでなんとかなるものではなく数多の事象の関わり合いによって紡がれている複雑な織物のようなものなんだった、と翻って考えた。

  • ちょっと壮大過ぎた。

  • 自墜落な青春時代から始まり
    リスタートして生き始めたら、
    偶然父と祖父の存在に辿り着く

    エフィングという老人が死に行くまでの数日間のくだりが好きだった。傘のところとか。

  • 変にプライドが高く、屁理屈が多く、超然とした態度を装いながらそれでいて自暴自棄的な、一言でいうと友達にはなりたくないタイプの主人公に必要以上な嫌悪感を抱くのが、昔のイヤな野郎である自分を見せつけられている気がしてならないことに気がついた。
    あくまで御伽噺的要素が強く、ストーリー展開として面白くはあるのだが、精神的に未熟な青年がさまざまな経験を繰り返しながら大人に成長していく過程を描くこの手の青春小説(「ライ麦畑」とか)は、実はそれ程好きではない。読んでいるとイライラし「お前、もっとちゃんとせーや!」と説教のひとつもしたくなるのだが、それ以上に、そう思う自分自身が若い時分に嫌悪していた「説教オヤジ」になりつつあることを思い知らされるからかもしれない(笑)。

  • ポール・オースターを読むのも、柴田元幸翻訳のものを読むのも初めて。アメリカの小説なのに、「清水の舞台から飛び降りるつもりで」って訳はアリなん?わかりやすいけども…。
    冒頭、いわくありげに「僕は自分の父親が誰なのかを知った」とあり、裏表紙にも「僕は自らの家系の謎にたどりついた」とあったから、絶対に伯父さんが父親だと思った。伯父さん情緒不安定っぽいし、母が頑なに口を閉ざしているのは禁忌を犯したからだろうと。で、伯父さんの残した無数の本を読んでいくうちに、とある本に挟まっていた何かを手掛かりにして出生の秘密が明らかになる…みたいな展開だとばかり。全然違った。
    訳者あとがきにもある通り、「途方もない偶然が重なって、思いもよらぬ方向に話が収斂していくあたりは、古典的イギリス小説を思わせるストーリー展開」。まさしく私は読んでいて『オリバー・ツイスト』を思い浮かべた。柴田さんは「そうした偶然も少しも御都合主義に感じられない」と言っているけど、そうか…?あんなにだたっぴろいアメリカで、お互い素性を知らない祖父と孫、父と息子が「偶然」出会って、家系がつながる…?キティに捨てられるというのが唯一現実的だったかな。エフィングの西部での話(ジュリアン・バーバーからトマス・エフィングになる経緯)が話中話として面白かった。ブレイクロックの「月光」見てみたい。

  • 「え、偶然なん?ほんまに? えー・・・そんなんいらんわー」っていうのが読み終わったときの感想で。
    個人的には、エフィングとマーコは(ソルとマーコも)、赤の他人のままの方が良かったなぁと思う。なんとなく。

  • とにかく、文章が綺麗な作品。

    それによって、
    主人公の目の前にあるものや起こることをありありと体験し、
    自分で自分を追い詰めていく時の感覚を体感し、
    エフィングの声を実際に聞き、
    キティが目前で舞う。

    そんな作品だった。

    みなさん書かれているが、書き出しは少し退屈にも感じる。
    でも、読み進めていくと、ページをめくる手が止まらなくなった。
    読み始めたら、ぜひキティが出てくる頃までは読んでいただきたい。

  • 3人の男の転落から再生の物語
    どこからわかってたの?
    偶然すぎない?

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