ナショナル・ストーリー・プロジェクト〈2〉 (新潮文庫)

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制作 : ポール オースター  柴田 元幸 
  • 新潮社 (2008年12月20日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (359ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102451120

ナショナル・ストーリー・プロジェクト〈2〉 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • オースターがラジオ番組のために一般の人々から募集した実体験集の続編。数ページといえど物語の原型といえるような体験談が詰めこまれ、お手すきの合間に大満足な読書ができました。

    印象に残ったのは『一九四五年八月』。死の運命から逃れたと思った選択が、死を呼び寄せてしまうのはまさに"サマーラの死神"の現代版です。これが実話だとは…。ほかにもニューヨークに大寒波が到来した日にスケートに出かける兄妹の物語『雪』。猛暑日だろうが心がほっこりするのはいいものですね。そして、オースターのラジオ番組をきっかけに自分に目覚める『ありきたりな悲しみ』。平凡な日常にだって物語の端緒となるような機会があちこち転がっているのかも。

  • なんとシンプルな企画でこれほどまで効果を挙げたものだ。特に最後の「瞑想」カテゴリーの秀逸さはまさに玄人はだしの領域に達す。ひとつひとつ密度や出来栄えや深さに差こそあるものの完成度はすばらしく高い。翻って此岸のたとえば新聞投書欄、たとえばブログのテキストなどの貧しさ乏しさ狭さを思うに、寂莫たるものを禁じえない。

  • 高校生の頃、図書館で勉強を放り出してむさぼるようにこの本を読んだことを思い出した。あの時代の、あの頃のアメリカ。それも草の根レベルの、非常に小さくて、馬鹿で、でも人間臭くて、愛すべきアメリカ。これこそが物語だと、こういうものこそが真の物語だと心底おもう。ベトナム戦争がアメリカ国民のこころにどのようにしこりを残しているのか。それをダイレクトに率直に伝えるのは溢れる文体でヒロイックに戦争を描いた物語ではなく、こういった小さな庶民のささやかな物語であると。当たり前のことだけれどもそれぞれの人々がそれぞれの関係性をもって、それぞれの気持ちをもって、生きているその生き生きとした物語を読むということは、何にもかえがたい喜び。

  • 面白かった。街の噂話を聞いている感覚に近いものがあるかもしれない。現代のフォークロアだ。

    この巻だけに限定すると、各パートにトーンみたいなものがきちっと現れていた。「瞑想」は思索的な文章が並んでいて、哲学的マティーニの話が最高。「死」は偶然の出来事がほとんどで、いかにもオースターの下に集まった物語たちといった感じ。「戦争」は劇的で面白いのだけど、ときどき上手すぎて疑いを挟みたくなる(特に「暗がりの一発」とか)。「夢」が一番良かった。「天国」と「父の夢」はマティーニと合わせて個人ベストの三つにしたい。

    夢と錯覚して支柱から落ちていく話「ハーフボール」と、黒人少女の幸福を願う「エラ・ローズ・ロドスタはどこに?」も良かった。

  • 事実は小説よりも奇なりという使い古された表現は使いたくなかったけど、そうとしか言いようがない草の根レベルのアメリカが見えた。

  • 最終章「瞑想」が素晴らしく良い。
    人生への欺瞞と諦念、歓びに満ちている。
    まるで自分が書いたもののようだし、限りなく遠い彼方の他人の文章でもある。

  • ずっとベッドサイドに置きっ放しにし、読んだり読まなかったりしながらかれこれ5年以上経った。その間に4つの家に住み、3回の引越しを経験した。最後は一気に読み切った。ようやく、数年ぶりに晴れて本棚に戻ります。

  • 誰もがもっているとっておきの話だったり,不思議な話だったり,怖い話だったりを集めた第2弾。それは誰かに語るときに意味の広がりが現れるのかも知れない。聞いた話をきっかけに何かを思い出し,何かを考え,誰かに近づこうとするのかもしれない。

    愛と死という人生の重要なテーマが含まれているこの巻。そこは読んでいて面白かった。最後の瞑想は「で?」ということが多かったが,それは私の心に内襞が少ないからであろう。

  • ラジオ番組により全米から集めた小話を基にした短編集。たしか日本でも内田樹氏が同じようなものを制作したと思う。

    いきなりⅡから読み始めたが、思った以上に面白かった。

  • こういうのを珠玉のストーリー集というのだな。先にⅡから読んじゃったけど。
    まさに“事実は小説より奇なり”。
    もし日本で同じことをしたら、もっととんでもなく湿っぽい、編者の作為が透けて見える“さぁ、泣いてください”的なものになるだろうなぁ……(うへぇ)。
    ポール・オースター。『幽霊たち』しか読んだことがなく、映画はまぁまぁ好きだけど、何となく苦手な作家だった(イケメンだけどw)。
    でも、これを機に、多作品を読んでみる気になっている。手始めは『ティンブクトゥ』。

  • 事実は小説より奇なりなんだねえ。
    ほんわかしたりぞくっとしたりわけわからなかったり、いろいろ楽しめました。

  • 考えさせられる話、いい話、びっくりする話が満載です。日本の本でもこういういい話し集ってあるよね。国は違えど人間の心は一緒だと思いました。

  • 単行本が文庫化されて上下2巻となっているのだが、こちらはその下巻にあたる続きの「2」。編者の米国作家ポール・オースターによって、読みやすいようにいくつかの章にカテゴリー分けされている。こちらの「2」に収録されているのは、「見知らぬ隣人(「1」からの続き)」、「戦争」、「愛」、「死」、「夢」、「瞑想」の6章。 次から次へと語られる無名の人が書いた話を読み続けていくうちに、それぞれの人々が出会う人生の不思議に感動する。人が生きていくということは、かくも不思議な驚きに満ちているのだと思わず感嘆してしまうのだ。楽しい話や感動的な話ばかりではない。中にはどうにもやるせないあきらめもあれば、教訓めいた話もある。そのひとつひとつが集まって、まさに現代アメリカの実話のアーカイブスとなっている。

  • ⅠとⅡで間があいてしまいましたが、面白かったです。
    オースターの色々な偶然を読むのも面白かったのですが、
    アメリカ人の今を感じられて、もっと身近に感じられました。
    普通の人の中にもストーリーがある。
    自分が書くとしたら・・・何を書こうかなと考えました。

    でも良く考えると人それぞれ偶然の産物みたいな経験ってあるのかもって思いました。通勤にはこのようなショートストーリーがあっている気がします。一瞬で違う世界に行けるようで・・・・

  • 柴田さんの訳者あとがきを読むまではアメリカの人々というより国とか関係なく生身の声が語るすばらしい物語たち、として読んでたんだけど、9.11の直後に出たことを知って、見方が少し変わったというか増えたというか。いずれにせよ最高の本でした。

  • 上巻とあわせて
    何十億の人間がそれぞれの物語を抱えている。

  • 偶然か必然かなんてこと。

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ナショナル・ストーリー・プロジェクト〈2〉 (新潮文庫)の作品紹介

失業、戦争、身近な人の死。誰の身にも起こりえる、だが決して「普通」ではない瞬間。少女の日のできごと、戦時中の父との逸話、奇怪な夢と現実の符合。深刻だったり、たわいもなかったり、茫然とするほどの暗合に満ちていたり-無名の人々が記憶のなかに温めていた「実話」だけが持つ確かな手触りを、編者オースターが丁寧に掬いとる。無数の物語を編み上げた、胸を打つアメリカの声。

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