オラクル・ナイト (新潮文庫)

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制作 : Paul Auster  柴田 元幸 
  • 新潮社 (2015年12月23日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102451168

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オラクル・ナイト (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 現代アメリカ文学を代表する作家ポール・オースターの長編小説。

    病み上がりの作家シドニー・オアは、ブルックリンの街の文房具店で青いノートを見つける。
    そのノートに物語を書きつづるシドニー。
    次第にその物語は、シドニーの現実を侵食していく……

    作中で主人公が紡ぐ小説、さらにその中で『オラクル・ナイト』という小説が語られるという多重構造になっています。
    作中の注釈までもが物語を形作る要素となっている、入れ子細工のような作品で、読み手はまるで迷路に迷い込んだような感覚になります。

    作品のキーワードとなる「青いノート」は、同じ作者の代表作『ガラスの街』に登場する「赤いノート」を連想させます。
    『ガラスの街』では、主人公のピーター・スティルマンは、赤いノートとともに姿を消しましたが、この作品ではどうなってしまうのか……

  • 青いノート
    不可思議な妻の言動
    心の師が語らぬ裏切り

  • 描写が美しい。映画を観てるような感覚だった。
    訳も良いのだと思う。複数のストーリーが折り重なる。自分も物語が描きたくなる。書けないけど…

  • 不幸や不運はいろんな顔でふいに現れるけど、ひとつの愛があれば、それらを凌駕できる。というたいへんシンプルでゆるぎない構図。こう書くと安直でメルヘンチックに聞こえるけど、世界の秘密に触れそうで触れられない、見えない影を追うような、なにか力強い何者かに突き動かされるような寓話。

  • いままでのオースター作品で重要な役割を担ってきた様々なアイテムがこれでもかと投入されミキサーにかけられ、予想だにしなかった結末を示された、そんな混乱。さすがだ。

  • 物書きを生業にする男とその男の知人であるやはり物書きを
    生業とする男の物語(現実)、
    その男が奇妙なノートブックに綴る物語、
    その物語の主人公のもとに送られてくる物語の中の物語、
    知人の男が過去に描いていた物語、
    男が映画原作のために描いている物語、
    男の妻や近所の文具店店主に対する虚実入り乱れた想像、
    それらが緻密に組み上げられ描かれた、
    言葉と愛情をめぐる一篇の物語。
    最近のオースター作品の主人公、
    触れようとしたら触れられそうなくらいには現実感が伴っている
    (実在してそうな感じ)。
    初期作品群を覆っていた、絶対的な孤独感、
    透徹とした喪失感が
    ちょっと恋しくなったりもする。

  • ポールオースターは随分前に読んだ「偶然の音楽」以来の2作目。1作目もかなり好印象だった。日常的とも言える出来事の積み重ねの中に 少しずつある種の物語が浮かび上がってくる。特別な事件は何も起こらないのに 引き込まれていく。う〜ん、なかなか読後感も良かったです。
    他の著作も読みたくなります。

  • ポール・オースター氏初作品。

    ありきたりで陳腐な言い方だけど、ジェットコースターの様な作品。序盤は中々引き込まれなかったが、退屈だからというわけではなく、場面を仔細に描写し、世界に引き込もうとしている段階だから、退屈と、早合点してしまったのだと思う。

    で、まんまと世界観に引きずり込まれたら、読む手を抑えられない。ストーリーが急速に動き、登場人物達がうねる様に暴れる。先にも出したけど、ジェットコースターと言う他ない。

    キャッチャーな話にも見えたけど、読み終わってみると、とんでもない大作を読み切ったようなズッシリとした読後感。本書は左程ページ数が多い訳でもないし、物語も数週間という短い期間で展開されている。けれど、とてつもない密度。情報が多すぎるわけじゃなくて、物語に物語が絡みに絡み合い、複雑な層を成して物語が作られている。

    雨の日にしっとりと読みたい本でした。

  • ポール・オースターが2003年に発表した中編作品。ブルックリンの街を舞台に、一人の男性作家を主人公として、偶然の連鎖による重層的なストーリーテリングを満喫できる傑作。主人公、その妻、作家の友人というトリオを基本構成としながらも、衛星的に周辺人物が物語を引き立て、柴田元幸が評するように「室内楽的」な美しさを醸し出す。室内楽的とは極めて的確な表現であり、特に弦楽四重奏のように、4人の奏者のフレーズに一切のムダがなく、音楽が持つ基本構造を全て網羅するかのような世界観に近しい。

    そして物語を一層複雑にするのは、主人公が作中で執筆する小説であり、古典的な”小説内小説”(しかも小説内小説の中で「オラクル・ナイト」と題された別の小説が語られることとなり、マトリョーシカのような様相を見せる)の技法でありながらも、現実世界と奇妙なリンクを見せる小説内小説の描き方が見事。

    オースターの作品は一通り読んでいて、一番の傑作は「ムーン・パレス」だと思っているが、それに次ぐ出来のような気がする。様々な偶然の連なりが半ば必然のように描かれながら、物語をドライブさせていく手腕は安定のオースター節という他ない。

  • 最初の15ページ程がとにかく美しい。本の中で、主人公は別の物語の続きを書こうとしているけど、最初の数ページがあまりにも素敵で、もし自分に文才があったら、この本の続きを自分で自由に書いてみたいと思うほどだった。

  • 大病から生還した作家は、ふらりと入った文具店で青い布装のノートを買うと、そこに小説を書き始めた。『波』2016.1にて。

  • いくつもの物語が重なり、響きあう物語。クライマックスの疾走感がすごくて、読み終わった直後は茫然自失の状態に陥った。

    とてもおもしろかったのだが、我に返ったあと、なんとも言えない無力感が漂った。今まで何冊かポール・オースターの小説を読んできたが、どの小説も読み終わったあとに漠然とした不安感を感じていた。ポール・オースターの小説は、読中・読後といつも同じ心の動きをたどる。どうしたらいいのだろう?

    言葉は未来を創りだすという予言をして、わが『オラクル・ナイト』は幕を閉じる。テーマとしてはこれでいいのかもしれないが、読者としては置いてけぼりを食らった感じがした。

  • 物語に次ぐ物語に引き込まれ、気づけば残り数ページ――そのような心地いい読書を久しぶりにできました。同作者の『ムーン・パレス』が好きなら、本作も楽しめるはずです。

    余談ですが・・・
    退学を余儀なくされ、堕落した毎日を送り、両親を悩ます救いようのない息子が登場しますが、これは作者の配偶者であり小説家であるSiri Hustvedtの長編What I Lovedに登場する息子を想起させます。

  • 待ってました、文庫化。単行本で一度読んだのだけれど、返却期限との兼ね合いで流し読みになってしまったので。装丁は青いノートブックのようだった単行本のほうが素敵だ。序盤は引き込まれないところもあったが徐々に引き込まれ、ハッとする場面も。文房具屋の中国人のキャラクターが良い。

  • 久しぶりのポール・オースター。
    凝った構成と作中作が絡み合い、オースター独特の、『現実なんだけど現実っぽさのない世界』を作り上げている。と、同時に、主人公とその人間関係にも複雑さや暖かみがあって、これまでの無機質な作品とは一線を画しているように思う。面白かった。

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オラクル・ナイト (新潮文庫)の作品紹介

重病から生還した34歳の作家シドニーはリハビリのためにブルックリンの街を歩き始め、不思議な文具店で魅入られたようにブルーのノートを買う。そこに書き始めた小説は……。美しく謎めいた妻グレース、中国人の文具店主Ⅿ・R・チャン、ガーゴイルの石像や物語内の物語『神託の夜(オラクル・ナイト)』。ニューヨークの闇の中で輝き、弦楽四重奏のように響き合う重層的な愛の物語。

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