オラクル・ナイト (新潮文庫)

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感想 : 32
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  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102451168

感想・レビュー・書評

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  • 病み上がりの作家「私」の視点で描かれる物語。
    「私」は色々な意味でふわふわと不安定ですが、関係ないようでいてやけに印象的な挿話の数々がテンポを操りながら、層を織りなし、主旋律である「私」をより立体的に浮かび上がらせます。
    ポール・オースターのこの不思議な雰囲気をまとった物語を紡ぐ、柴田元幸氏による訳文の一語一語も目から入る滋味のようです。
    久々にこの世界を堪能しました。
    面白かったです。

  • 作中作小説にすら掌編が存在する稀有な構成に加え、ハードボイルドの古典「マルタの鷹」が引用されていたりと、今作も随分とディテールに趣向が凝らしてある。三角関係の件は途中で予想がつくものの、この巧妙なストーリーテリングは正しく唯一無二だろう。悲劇的で痛ましい物語だが、決してその印象だけでは終わらない。このタイトルの意味合いは読了して初めて理解出来る。主人公のシドはこの14日間の数奇な体験を通し、肉体的だけではなく、精神的にも【再生】したのだろうな。こんな凄い小説家を今まで知らなかったのは本当に勿体ないぞ、私。

  • 長編だけど、小さな範囲を丁寧に書いてくれている小説。小さな範囲だけど、悪い意味での箱庭感はない。文章がすとんと心に収まる感じがしました。不遜ながら、今の自分の身の丈に合った小説だなあと思って、すごく心地よく読めました。【平成30年10月2日読了】

    • kawabatatさん
      ポール・オースター読まれたんですね。ニューヨーク3部作からずっと読んできたけど、本作は未読。面白そうなので今度読んでみたいと思います。
      ポール・オースター読まれたんですね。ニューヨーク3部作からずっと読んできたけど、本作は未読。面白そうなので今度読んでみたいと思います。
      2018/11/12
  • ばりおもろすぎる

  • 数年前に一度手に取り、『だめだ…頭に入ってこない』とその重層的な物語に弾き飛ばされてしまったのだが、久しぶりに読み返してみると、するすると物語の重なりに溶け込めた。オトナになったんですかね…

  • 面白かったけど、どうにも私には「繊細すぎる男の譫妄状態の譫言」という風にしか読み取れず、死の匂いのするこの小説の中で、ただ主人公が最後に幸福になれますようにと祈りつつ読んだ。
    さてその結果だが…

  • 高校生のとき「ムーンパレス」を読んで感動して以来、20年ぶりのオースター長編。漂う空気、人物の輪郭、優しさの漂うストーリーはやはり良い。ラストはやや急速に悲劇的に収束していくが、オースターが人間に向ける眼差しが常に優しいためなのか、最後まで慈愛に満ちた物語のように感じる。おそらくそこがこの作家ならではの魅力なのだろう。映画「スモーク」が好きなら本作もやはりおすすめだ。

  • 青いノート
    不可思議な妻の言動
    心の師が語らぬ裏切り

  • 描写が美しい。映画を観てるような感覚だった。
    訳も良いのだと思う。複数のストーリーが折り重なる。自分も物語が描きたくなる。書けないけど…

  • ポール・オースター氏初作品。

    ありきたりで陳腐な言い方だけど、ジェットコースターの様な作品。序盤は中々引き込まれなかったが、退屈だからというわけではなく、場面を仔細に描写し、世界に引き込もうとしている段階だから、退屈と、早合点してしまったのだと思う。

    で、まんまと世界観に引きずり込まれたら、読む手を抑えられない。ストーリーが急速に動き、登場人物達がうねる様に暴れる。先にも出したけど、ジェットコースターと言う他ない。

    キャッチャーな話にも見えたけど、読み終わってみると、とんでもない大作を読み切ったようなズッシリとした読後感。本書は左程ページ数が多い訳でもないし、物語も数週間という短い期間で展開されている。けれど、とてつもない密度。情報が多すぎるわけじゃなくて、物語に物語が絡みに絡み合い、複雑な層を成して物語が作られている。

    雨の日にしっとりと読みたい本でした。

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