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- Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102901649
感想・レビュー・書評
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著者の「津山30人殺し」で有名な著者。事件描写が得意で犯罪ドキュメンタリー作が多い。
本著は日本犯罪史上有名な事件を警察調書を軸に展開。犯人が捕まってから立件するまでの警察の苦悩を描く。
警察の調べに対して、「俺をこういう悪事に走らせた社会や身内と対決する」とし頑として話をしない。それをあの手この手でしゃべらせる。
警察調書から見えてくる犯人の姿が面白い。犯行は自分のせいではなく兄のせい。妻のせいで両親のせい。そして婦女強姦の初犯で刑務所送りになった時の、訴えた女が悪い。と、身勝手、短絡、幼稚な犯人像が浮かび上がる。
犯人の小学生の頃の通信簿のコメントがあるが、協調性やら何やらの項目に対して、悪の権化のような書き方がしてあったのが印象的。
知能は普通だったという犯人だが、女性に何十人も声をかけて6割の成功率だったという。ほかの強姦犯罪者にも同じ特徴が見えるが、とにかくしゃべりまくるという特技を持っていたようだ。
本作全体を通して受ける印象は、「津山三十人殺し」のようなスピード感に欠け、調書のみで書き上げた感がある。もっと犯人の世に対する恨みのひだを克明に描き上げたら名作になっただろうに。詳細をみるコメント0件をすべて表示