金春屋ゴメス

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 85
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103003113

感想・レビュー・書評

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  • 現代の日本、世界から敢えて、江戸の生活を貫く江戸の国と江戸の人々。電気や車や所謂文化的な物はないけど、人と人との繋がりが厚くほのぼのとさえ感じた。
    そんな中でも医療は近代日本、世界の力を借りたい、借りてもいいではないかという考えから大きな犠牲に目を背けてしまった者たちに、ゴメスや裏金春の男たちが追い詰め真相を暴き、裁きをする。
    こんな簡単なタイムスリップもないけど、一度江戸を出国したら二度と入国できない。とか妙にリアリティがあって面白かった。

  • 2009年発刊の本だが、テーマは鎖国状態になった出島状態の江戸に蔓延する鬼赤痢。それを抑える薬はあるのかないのか。まさに15年後のコロナ禍の人のとまどいを描いたような物語。

    未来にはこんなことが起こりますという予知能力があるというか、逆に奇想天外なる物語を描いたつもりが逆に現実となったしまったと。

    コロナ禍と言いウクライナ侵攻といい、今の世の中は未曾有の出来事の連続です。

    日頃から、なにがあっても、強く生きる、その心構えが必要ですな。

  • ところどころ辰次郎の記憶の戻り方が都合いいなーとは思ったり、江戸時代に現代日本の情勢をスイッチさせなきゃいけないのに戸惑ったけど面白かった。
    ラストの方の未知の病気で世相が荒れる様はまさに数年前のコロナ禍。
    もっとゴメスの活躍見たいので、続巻も読む!

  • 2冊目の西條奈加さん。
    直木賞受賞作はしばらく無理なので、高校の先生が推薦してたこの本を。
    前回の作品とはまた違ったイメージでした。面白かったです。続編読むと決めました。

  • 仕事の都合で読むのに時間がかかったが、気になって気になって頭から離れない感じがした。最後の追い込みは、ページをめくる手が止まらなくなる。

  • 面白かったです。時代モノかと思ったらファンタジーだったのですね^^
    日本国から独立した“江戸”というのも面白かったです。 このタイトルでどんな話なんだろうとワクワクしました。
    ゴメスってまだまだこんなものじゃない気がしているので、続編も楽しみです^^

  • 現代の日本にある、異様な独立国、江戸。文明の利器を否定し、自然と共に生きることを選び、昔ながらの暮らしを守り続ける人々。そこに、鬼赤痢と呼ばれる疫痢が発生して…。


    本の雑誌の時代小説特集で載っていて、手にとった一冊。
    うーん、面白い設定だとは思うけど、時代小説の中には入れて欲しくないと思った。都合がいいなぁと思うところや、キャラもいまいちたってない感じがして、あまり合わないと感じた。

  • すっかりフアンになった西條奈加さんのデビュー作。デビュー作らしい荒削りさと意欲あふれる斬新な設定が楽しかった。
    今の西條奈加さんなら、どんな作品に仕上げられるのだろうか。続編という形で見てみたい気がした。

  • 江戸府内に突如として蔓延した「鬼赤痢」。 
    その謎にせまる長崎奉行所の面々。 
    奉行の名は通称「金春屋ゴメス」ん?ゴメス? 
    実は、この江戸 日本国内に存在する独立国なのである。 
    建国から30年あまり。江戸時代の風習そのままの世界が維持されている。 
    「鬼赤痢」解決のヒントを握っていると思われる主人公が裏金春で鍛えられ成長する。 
    謎解きミステリーというよりも江戸情緒満載の人情物語でしょうか。 
    なかなか展開も面白く。読ませます。 
    さすが第17回日本ファンタジーノベル大賞受賞作です。

  • 近未来、日本の中に「江戸国」が存在。そして、江戸時代のような生活をしている? この設定だけで1冊の本ができました。なんか、ゴメスですら脇役のような気がする。

    突飛な設定とテンポの速い展開に、どんどん巻き込まれてゆきます。
    私たちが”昭和”に想いを馳せる時、究極のノスタルジーはやっぱり”江戸”時代だと思わせる。時代劇で繰り広げられる、人情や喜怒哀楽、そして時間の流れと失われてしまった自然。

    何度も「江戸の理」という言葉が出てくる。この”時代”そして”環境”を享受するために、受け入れなければいけない”不便”さと”掟”。江戸の暮らしは、自然と人力だけだ、と。
    憧れるけど、悩む。電気がない。携帯がない。医者がない。コンピュータが、クルマが、マンションもない。結局、二の足を踏むでしょう、私にはそんな生活は無理だ!と。

    エンディングで、旅行マニアの奈美が「いつも感じていた、”ここで何をしてるんだろう”感がない」と語り、江戸に残る。自然と人の力があれば、何もいらないのかもしれない? どうだろうか、悩ましい。

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著者プロフィール

1964年北海道生まれ。2005年『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。12年『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞、15年『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞、21年『心淋し川』で第164回直木賞を受賞。著書に『九十九藤』『ごんたくれ』『猫の傀儡』『銀杏手ならい』『無暁の鈴』『曲亭の家』『秋葉原先留交番ゆうれい付き』『隠居すごろく』など多数。

「2023年 『隠居おてだま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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