片眼の猿 One‐eyed monkeys

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 251
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103003328

感想・レビュー・書評

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  •  道尾秀介さん。いやあ、作品を読むたびに、この作家の芸達者振りには驚かされる。『龍神の雨』『ノエル』等の作品では、子どもたちの心の内面までもを見事に映し出し、また、独特の世界観で描き切っている。かと思えば『カラスの親指』『透明カメレオン』等の作品では同じ作家が書いているとは思えないタッチでテンポ良く読ませ、最後にはどんでん返しで読者を満足させてくれる。新堂冬樹で言うところの『白新堂』と『黒新堂』といったところか。
     さて、この『片眼の猿』は『カラスの親指』等の作品に見られるタッチで、スラスラと読ませ、読者をあっという間にラストへと連れて行ってくれる。やはり面白い作品というのは、内容だけではなく、登場人物をいかに魅力的に作り出すかというのがいかに大切かと思わされる。
     物語は、耳に特徴を持った探偵が音楽会社の依頼でライバル会社の盗聴を依頼され、その過程で、目にある特徴を持った女性と知り合い、思いもよらぬ事件に巻き込まれていくというもの。登場人物にしろ、物語の筋にしろ、色々な仕掛けが用意されていて読む者にとったらかなりオイシイ作品だ。

  • 劣等感は誰もが持っている気がする。それを生かすか殺すか。それはその人自身。でも、まわりから植えつけられる劣等感は辛いなぁ。人と違うことが、個性だとおもえる世界になったらいいと思えた小説。

  • 先入観や思い込みとは怖いものですね。気が付けば今回もすっかり騙されていました。ミステリとしては物足りなさも感じますが、自尊心を失わずに生きることの大切さ等の作者のメッセージが伝わってくる作品でした。

  • あたしはたぶん片眼の猿だと思ったら泣けてなかなか進まなかった。いつか大事な人に話せるだろうか。トランプの話はいちいち面白かったな。自殺キング。干支シリーズを2つ目。

  • いい裏切りにあいました。
    軽い感じなのかなって初めは思いました。
    ミステリーで主人公が探偵という設定だけを感じればどこにでもあるお話と変わりないですもんね。
    けれど、読み進めると深みがわかります。
    (道尾さんの本は好きだけれど、作品を全部読んではいないので大きな顔してコメントできませんが・・・。)
    ラストの結末や真相でうるっと来て、読み終わってから、人物や風景の描写で読者を引きこむ道尾さんの得意な部分に引きこまれたんだ、と思いました。

  • 確かに。だまされた僕の想像のほうが、非現実だと気づく。

  • 帯であんなに騙されるよ?みたいなことが書いてあったので、ちょっとした文章にも気をつかって読んでたのに完全に騙されてしまいました!読み返してみると、伏線もいっぱいあったのに・・・(笑)でも最後の方は気持ちよく騙されたというか、人の痛みを言わなくても理解してそれを受け入れているローズ・フラットの人たちが大好きになりました。

  • とても考えさせられる内容だった。目に見えるものが全てではないということを考えながら自分も生きていきたいと思う。

  • 道尾秀介の干支シリーズ
    もう、何もかも騙されてた

  • 107:はい、またしてやられた……と心地よい敗北感にorz、なのですが、フェイスカードの謎かけが最後まで引っ張られたのが一番悔しかったです。考えてみれば、ローズフラットという建物そのものが不自然で、何らかの作為があったに違いないのに……! 悔しいなあ(笑)

  • 警【Caution!】告
    まず断言してしまいます。
    どれだけ眉に唾を付けて読んでいただいても、筆者の企みを100パーセント見抜くのは不可能でしょう。(以下省略)

    と帯に書いてあるこの作品
    よ~し!この挑戦うけてたつ!と張り切り、気になる部分はメモをとりながら読み進めました

    結果、そうきたか!の連続で、ちょっとした違和感からのそうだったのかと綺麗に回収するあたりは気持ちよくスッキリしました

    色んな作品を読むときも、なんとなくこうなるよねって結末を予想しながら読んだりするけど、最初から挑戦待ってますみたいな帯、面白かったです

    ただ、冬絵はあまり好きになれないキャラだったな
    そう言えば前に女性を主人公にした作品の時もキャラに違和感があったような

    道尾さん、もしかして女性は苦手ですかね?

  • 読了日2009/12
    軽いミステリー
    アパートの住人がとても魅力的で愉快な人々で思わずプッと笑ってしまう所がたくさん。
    楽しく読めました。
    そして、今回もすっかり騙されました。
    人の思い込みってすごいなぁ。思わず「えっ、そうじゃなかったけ?」って前の方を読み直してみたりしました。

  • 道尾さんの作品は何作か読んでますが、これはちょっと微妙でした。騙しの箇所が事件のト

  • 2016/10/6
    おもしろかったねぇ
    地獄耳や千里眼的な不思議な力が存在する架空の世界かと思いきやそうでなく。
    何かうっすら物悲しいフィルタがかかってるような見え方が新鮮というか独特というか。
    悲しいのに気分悪くはないのが不思議。
    それぞれの登場人物もいいんだな、これが。

  • 面白かったー!!
    一気に読んでしまった。
    片目の猿…。意味がわかったとき
    おおー!!ってなった。


    世間の人間は鳩を見て、ただ「鳩」だと感じる。雄だとか雌だとか、そんなことは気にしない。

    このアパートの連中は人を見て、ただ「人」と感じる。それだけなのだ。簡単なようで、手に入れることの難しいその大切な感覚を、彼らはしっかりと持っている。


    きっとそうあるべきなんだなぁ。

  • アパートの住民の個性すごすぎる。目も耳も大きくなかったのね。

  • 主人公は、東京で小さな探偵事務所を経営する男・三梨。
    超人的な聴力を武器に、企業から依頼された産業スパイの尻尾をつかむミッションに取り組んでいる。
     ところが、その調査の渦中、調査対象が殺されてしまう。事態は、ヤクザまがいの悪徳探偵事務所の怖い面々達を巻き込んで、急展開してゆく…。
     殺人の凶行を犯した真犯人は、私としては、それほどの大衝撃は受けなかった。
    むしろ本作では、登場人物たちの人物造型の仕掛けが面白い。
     読み進めるうちに、主人公はじめ探偵事務所の仲間や、三梨を支える多彩な人物達のイメージやキャラクター像が(読者である私の)頭の中に形づくられていくのだが…。

     主人公三梨は、にぎやかで個性豊かな仲間達に助けられ、力を合わせて難局を打開してゆく。
    「カラスの親指」と共通する、仲間達のほろりとさせる友情。 きもちがほっこりする読後感と爽快感がある。

  • 15/10/11
    なんかあんまりしっこりこなかった。
    完全に女だと騙されたけど。
    ・帆坂くんはときたまこうして優しい嘘をつく。しかし、それがじつに下手くそなものだから、これまでばれなかった例しがない。(P103)
    このシーンがすき。

  • やたら伏線がはられてて、ラストスパートの意外性はあった。けど流れ的にはなんか読んだことあるような話。読み返したくはなるかも。

  • 特殊な能力を持つ人の話じゃないって
    なんか素敵だな

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著者プロフィール

1975年生まれ。2004年『背の眼』で「ホラーサスペンス大賞特別賞」を受賞し、作家デビュー。同年刊行の『向日葵の咲かない夏』が100万部超えのベストセラーとなる。07年『シャドウ』で「本格ミステリー大賞」、09年『カラスの親指』で「日本推理作家協会賞」、10年『龍神の雨』で「大藪春彦賞」、同年『光媒の花』で「山本周五郎賞」を受賞する。11年『月と蟹』が、史上初の5連続候補を経ての「直木賞」を受賞した。その他著書に、『鬼の跫音』『球体の蛇』『スタフ』『サーモン・キャッチャー the Novel』『満月の泥枕』『風神の手』『N』『カエルの小指』『いけない』『きこえる』等がある。

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