噂の女

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著者 : 奥田英朗
  • 新潮社 (2012年11月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103003526

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噂の女の感想・レビュー・書評

  • 特別美人という訳ではないが、肉感的で男好きのする女 美幸。高校時代は目立たず地味でもっさりしていたのに、羽化するごとく、化粧を覚え、男を操ることを覚え…

    蝶が花の蜜に吸い寄せられるように、彼女の色気にふらふら…引き寄せられる男たち。
    身体を資本に成り上がる美幸、そこにつきまとう黒い噂…
    昔とある番組で「ドすけべホイホイ」なる企画がありましたが、まさにホイホイっとつられていくのですね。
    悪女であるはずの美幸なのに、見事な男捌きにあっぱれ。

  • 桂望実さんの『嫌な女』を彷彿とさせるのですが…
    ”噂の女”は”嫌な女”よりもっと嫌な女だった~!!

  • 連作長編。最初の「中古車販売の女」と「麻雀荘の女」を読んだときはありがちな男目線の”謎の女に振り回されたい願望”丸出しの作品かと思ったけど、作を追うごとに息が詰まるほどの中途半端な田舎の地方都市のリアリティが「女」の素行の面白味に役立っていて、惹きつけられた。
    美幸が絶世の美女じゃないってところもいい。
    公務員、議員、建築関係云々。あと市営住宅の割り当ての裏金せびろうとする女とか。いそういそう、と思えるさもしい人間ばかりで織りなされる地方小説。

    道新の書評にバルザックのウージェーヌみたいって評があったけど確かにそんな一面もうかがえる。

    こういうクソ田舎の価値観の中だからこそ輝ける美幸を楽しんだ。

    きっと都市部にしか住んだことなかったら面白さは半分もわからなかっただろうな。

  • 本屋さんで見つけた瞬間に、表紙と帯だけ見て「あ・これは私好みのするやつだ」と、確信した。
    奥田さんの作品で一番好きなのは「ララピポ」だ。
    奥田さんは、面白い作品を沢山書かれているが、こういった毒のある話は特に面白い。
    というか、奥田さんの毒は、なぜか暗くない。
    太宰や川端、安部公房のような純文学から漂う匂いが全然しない。

    木嶋佳苗をモデルにしたのは言うまでもないが、
    奥田さんが一番描きたかったのは、
    木嶋に憧れずにはいられない私達凡人女子達の心理だ。
    「スカイツリーの女」がそれを実に分かりやすく述べてくれている。
    線引きしたい箇所が多数有りすぎる!

    犯罪だろうが、猟奇的だろうが、淫乱だと罵られようが、
    美幸を応援してしまう取り巻き達。

    このモデルになった事件を知った時、直感で思った。
    誰も苦しんで死んでないんじゃないかって。

    木嶋は死刑になるのかどうか分かんないけど、
    もし出所するようなことがあったら宗教とかやるの向いてると思う。

  • *「侮ったら、それが恐ろしい女で」。地味な高校時代を経て、短大時代に恐るべき能力を開花させる。手練手管と肉体を使い、店員を振り出しに玉の輿婚をなしとげ、高級クラブのママにまでのし上がった、糸井美幸。彼女の道行きにはいつも黒い噂がつきまとい――。ダークネスと悲哀、笑いが弾ける、ノンストップ・エンタテインメント! *
    文句なしに面白かった!物語は美幸側から語られることはなく、様々な登場人物を通していかに美幸がのし上がっていったかが浮き彫りになる展開もさすが。悪女と言っても、田舎の男社会を逆手に取るやり方が小気味いいためか、むしろ喝采を送りたいほど。痛快な一冊。

  • 糸井美幸という女性からいつのまにか目をはなせなくなる、そんな感じ。悪女だと思いつつも応援してしまう気持ちもどこかにあって…不思議だ。
    最後はハラハラしつつ読んだけれど、さすが!糸井美幸!
    痛快にすら思える作品でした。

  • 美人では無いが妖艶な色気、肉体、メイク術を持った女が男を手玉に取りながら成り上がる人生。貧乏で地味だった中学生時代、短大進学でメイク術を武器に派手な女に変身する。それからは金持ちの男をターゲットに貢がせたり結婚して遺産相続したりして自分の店を持つまでになるが、そこには殺人容疑も隠されている…話が途中で終わり中途半端な内容だが、こういう女は一定数はいると思った。女の容姿は壇蜜を想像しながら読了。

  • 噂の女、糸井美幸をめぐるオムニバス。
    奥田英朗は短編がうまい作家だなーとつくづく。
    この作品に限らないけれど、登場人物ひとりひとりが
    あーこういう人いるよねぇ…って感じでリアル。特に女性が。

    ひとりの女のサクセスストーリーでもあり
    ちょっとしたミステリでもあり
    楽しみ方もいろいろ。
    冬の夜の酒の肴にぜひ。

  • 中古車店にクレームをつけに行った時に出会った色っぽい事務員、「中古車販売店の女」
    麻雀荘で働く肉感的な女「麻雀荘の女」
    料理教室の裏を暴く強気な女「料理教室の女」
    65歳の老人と結婚した24歳の若妻「マンションの女」
    続く「パチンコの女」、「柳ケ瀬の女」、「和服の女」、「檀家の女」、「内偵の女」、「スカイツリーの女」。
    実はこれ全部同一人物。
    糸井美幸という「噂の女」。
    彼女のことを異なる登場人物が各話ごとにあれこれと噂するという連作小説になっています。
    最初は短編集なのかな?と思ってました。
    それにしては1話はかなりあっけない終わりだな~と思ったけど・・・。
    でも2話目の途中で、「あ、この女性って先に出てた中古車販売店の女だ」と気づき、全ての話が「噂の女」で繋がっているんだと気づきました。

    最初登場した時は23歳で、ただ色っぽい女という印象だったのが、話が進む毎にどんどん恐い面が見えてくる美幸。
    どこそこの高校を出た、短大を出たに始まり、複雑な家庭環境で育ち、弟はヤクザだとか、社長の愛人をしていただとか、ヤクザや右翼と関係があるだの、そして殺人疑惑まで・・・。
    たった数年の内に高級クラブのママにおさまり、黒い噂の絶えない凄みのある女になっていた。

    物語の舞台は地方都市で、美幸以外の登場人物は皆平凡な人々。
    だから噂が飛び火して回るのも早い。
    そして平凡で退屈な地方都市を舞台にした事で、さらに美幸のセンセーショナルな姿が際立つ。

    これ、最初は美幸に鼻の下を伸ばし下品な噂をする男共を見て「しょうがねえな~。男って・・・」くらいの気持ちで読んでました。
    文章もコミカルで軽いテンポだし、そういう小説かな?と思ってた。
    でも読んでいて、これって結構深いテーマも含んでる話なんだ・・・と思えてきました。
    地方都市の抱える・・・というか今の日本の抱える問題-役人の横行、ワーキングプア、役人と地元企業の癒着、優遇される地方公務員の様子などをさりげなく描いていて、今の時代をリアルに描いていると思いました。

    そんな閉塞感と低迷感が漂う中にあって、一人別世界で生きている「噂の女」。
    作中、彼女目線の文章が一切ありません。
    この本の内容は全て人の噂。
    どれが本当なのか?
    どこまでが本当なのか?
    ホントの所は分からないままに、噂が噂を呼び、大きくなっていく様を上手く描いてるな~と感心しました。
    それにラストがすごく良かった。
    余韻の残るラストでした。

    個人的に一番印象的だったのは「料理教室の女」で、不正をしている料理教室に抗議に行くのに躊躇した女性に美幸が言ったひと言。
    「変われるチャンスなのに」
    変化し続ける女の言葉だけに、心にズーンとくる言葉でした。

  • この前の練炭結婚詐欺の事件からインスパイアされたドラマや小説が結構あったけど、どれも当然ながら事件内容以上のドラマを見せる訳でもなく、ただ下世話な物語に終わっているものばっかりだった。しかし、この作品は違います。主人公の女のキャラクター以上に、その女に振り回される人びとのドラマがほんと面白い。最終的には悪女からうだつがあがらない女にとってのヒーロー的存在に転換させる痛快っぷりは、読書速度を十分に加速させます。
    ぜひ、ドラマにしてほしいな。女の顔は鼻からした、あとは体だけしか映さないという演出つきで!

  • 糸井美幸は、とかく噂に上がる女。妙に肉感的で男心をそそる上、男の扱いもうまい。そして、なぜか美幸が付き合う男たちは風呂場で溺死しているのだった。巧みに男心を操る美幸はどんな女なのか。誰もが噂をするが結局誰もが、手玉に取られ、本当の美幸は分からない。すごい悪女で、絶対近寄りたくない感じがリアルに描かれている作品だけど、ちょっともやもやしたまま終わって残念。

  • やっぱり、奥田英朗はこういうのがうまい!噂の女=糸井美幸、彼女自身の視点は一度も描かれず、常に彼女の周囲、しかも直接的接点の薄い、ある意味一方的に彼女に興味を抱いた人間ばかりが話者になっていることで、読者も噂話を聞いているような気軽な高揚感を味わえる。
    また、糸井美幸にはなぜか悪女モノにありがちな嫌悪を抱かない。その絶妙なさじ加減が、さすが!

  • 短編なのかと思いきや同じ女性の話で興味しんしん。
    下世話な話が多くて読んだあと少し気持ちが沈んだ。
    でも展開が気になってどんどん読んじゃうはなし。
    悪女だなー。

  • 新聞連載を夢中で読んでた「沈黙の町」が単行本になり、その紹介記事の中で奥田さんが「誰も裁かないことを大事にした」という趣旨のことをおっしゃっていた。まさに「沈黙の町」は、何が正しく何が真実なのかなど容易にわかることではないのだという現実の有り様を、息苦しいほどに浮かび上がらせた小説だったと思う。

    この「噂の女」はタッチもテーマも違うけれど、やはり複雑な感慨を抱かせる「オトナの小説」だなあと思う。ある女性の何年間かを、彼女に関わりを持つ周囲の人に次々スポットを当てて、時の経過を追って書いていくというスタイルで、彼女のしてきたことが次第に明らかになっていく一方、その内面については一切語られない(ここら辺ちょっとだけ「火車」を思い出した)。彼女の行為について、作者は断罪もしないし、弁護もしない。
    これはなかなかできないことではないかなあ。

    出てくる人は、まあいかにもその辺にいそうな人たちである。気弱だったり、好色だったり、厚かましかったり、欲深かったり、要するにありきたりな愚かさの持ち主ばかりだ。うんざりしつつ、その気持ちはよくわかる。ここにも作者のちょっと突き放したような、でも基本的にそういうどうしようもなさも含めて人間なんであるという思いを感じる。

    またこれは「地方」というものの有り様を描いて秀逸だと思った。地方都市は日本中どこへ行っても同じようなものだとか言うけれど、「地元民」にとってはグローバル化なんてどこの世界の話かってなもんなのだ。

  • 噂の女、糸井美幸をめぐる連作長編。美幸がどんどんドス黒くなっていって惹きつけられた。美幸の大胆さ、奔放さに応援する女子も。わかる。

  • いそうな女性ですね

  • 2017.2.12-14
    その都度何人もの男を手玉にとり保険金殺人をも企ててきた噂の女 糸井美幸。ここまでやったらむしろ天晴れかも。

  • 主人公が激変した(らしい?)短大時代を知りたい!犯罪なんだろうけど、ちょっとかっこいいってわかる。

  • 奥田さんお得意の「軽い」のと「悪い」のがミックスされてたよ。
    両方くるかー。

  • 噂の女、糸井美幸。
    ヒールだけど憎めないのは、彼女の視点で何も語られてないし、主人公の一人一人は特に彼女に何もやられてないからだろうか。あくまでも噂の女だから。
    やっぱりこの岐阜弁に親しみがわく。

  • 周囲の男どもを手玉に取ってのし上がっていく、一人の女性を巡る連作短編集風の長編。

    各編の主人公となるのは、その都度女性の周囲にいる人たち。財を成していくためには非合法的なことも厭わない女性の姿が、彼らの視点から浮かび上がってくる、という手法だ。
    徐々に女の行動は明らかになるが、動機につながる過去や心のつぶやきは一切明かされない。さらに煙に巻くような終わり方も悪くはないが、やはり全体的に少しもの足りないと感じた。
    直接的に当人を描かなくても、例えば桜木紫乃の作品のように、もっと生々しく人物像を浮かび上がらせることもできたはず。人間ドラマとしてもっと厚みがあると、おもしろかった。

    それにしても、肉感的な容姿を武器に男性を次々と絡めとっていく悪女振りもなかなかだが、その一方で周囲に登場する人たちもことごとく情けない。
    地方の悪習やコネがはびこる腐敗した狭い世界、とくに男どもは徹底的に下劣に描かれていて、うんざりするほど。でも、現実として多かれ少なかれ、こういう一面があちこちに存在しているんだろうな。

  • (2015.06.20読了)
    最近時間がなくて、読み終わるまで3週間もかかってしまった(・_・;
    中途半端なエンディングに納得いきませんが、気分転換というか娯楽としてはまあまあ楽しめました。
    でも、「感動」とか「読んで良かった」とかはありません(^_^;)
    この本、各章ごとに主人公が違うので短編小説みたいな感じですが、それぞれの話で毎回「糸井美幸」という女が噂に上り、この女の長編物語を構成しています。
    この女がとにかくひどい‼️とんでもない悪女です囧rz
    「良心の呵責」というものがありません。
    まぁ、こういう女が相手では大抵の男に勝ち目はないですね(;´Д`A

  • 奥田英朗は人間のドロッとした面をユーモアで描く作家だと思っている。
    この作品では、物足りなかった。
    魔性の女?「糸井美幸」という女性を軸に展開していくストーリーだけど、彼女に何があったのかは描かれていない。「噂」だけで「糸井美幸」像が出来ている。「噂」を語る人物は、閉そく感を感じている人ばかり。だからといって「糸井美幸」に魅力を感じれなかった。

  • 色気を武器に、男を次々と手玉にとり のし上がっていく
    「噂の女」糸井美幸。
    器量は十人並みなれど、豊満な肉体と必殺の流し目で
    狙った男はいとも簡単に手中に収めてしまいます。

    まぁ・・・その結果男たちは
    莫大な保険金を美幸に残し、
    次々とお風呂場で謎の死を遂げてるんですけどね。。。(怖っ!)

    最後まで読んで印象に残るのは
    美幸の狡猾さよりも、
    男たちのアホさ加減。

    美幸のボン・キュッ・ボンのナイスバディでシナを作られるやいなや
    男は揃いも揃って鼻の下を伸ばし、
    『デヘヘヘ・・・』 となってしまうのです。
    こいつら、馬鹿じゃなかろか・・・と、なんだか妙にむかつくのは
    ワタシがとことん色気とナイスバディに縁遠いための嫉妬かと思われます(笑)

    男性陣に評判の良い小説のようですよ♪

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噂の女の作品紹介

中古車店に毎晩クレームをつけに通う3人組、麻雀に明け暮れるしがないサラリーマン、パチンコで時間をつぶす失業保険受給中の女、寺への寄進に文句たらたらの檀家たち-。鬱屈した日々を送る彼らの前に現れた謎の女・美幸。愛と悲哀と欲望渦巻く連作長編小説。

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