消された一家―北九州・連続監禁殺人事件

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著者 : 豊田正義
  • 新潮社 (2005年11月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103005117

消された一家―北九州・連続監禁殺人事件の感想・レビュー・書評

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  • もし、緒方順子受刑者が松永の思い通りに動かなければ。そう思うのは簡単だけれど、人は残念ながら弱い。
    松永死刑囚のような、虚言癖のあるヤバい人間にあったら脊髄反射で逃げようと思った。ほんの少しの違和感も見逃さないでいたい。『影響力の武器』のおかげで、人間の直感が意外と優れていることを知っている。「私だけは大丈夫」という思いが、屍の山を築いた原因のひとつ。だれしも、他人にとってはささいなことだけれど、本人にとっては秘密にしたいホコリのひとつやふたつある。それをこういう人間に知られたら、逃げられなくなって強請られるのだから。

  • 挫折した「異常快楽殺人」よりもずっとずっと恐ろしく、
    文字通り身の毛のよだつ内容の本です。

    大きな事件のようなのに、ほとんどその内容が報道されないので、
    報道できない内容易なんだと薄々は想像していましたが、
    本当にひどかった。

    人が人にこんなことができるのか。
    想像力の域を超えていました。

    被害者たちはどうして逃げ出せなかったのか、と考えるのは、
    まだ想像力の内側にいるからです。
    死んだほうがまし、と思えるような環境に落としていく、その巧みさが
    恐ろしい。
    そしてこんな精神性がどうして生まれたのか。

    こんな人物と知り合わなくて良かった、これからも知り合いませんように、と神仏に祈りたくなるような事件です。

  • 現実とは思えない話。
    極限状態に置かれたら人は何をするかわからないという怖さを知った。
    松永は頭がおかしい。だけど他の人もどうしてそのようになってしまうのかが理解できない。
    なぜ松永と男女関係になるのか。そして離婚してしまうのか。女の場合はそこから狂っている。

    私は大丈夫と思っている人ほど危ないのかもしれない。また、下手に頭の良い人間、今まで穏やかな人生を送ってきた人間ほど、刺激的なことに手を染めてしまうのか。

    ある宗教集団の持っている狂気も垣間見えた。そして戦争中にやはり不本意にも命令で人殺しをしてきた人たち。命令だったから、やらないと自分が殺されるから。ナチのカポーが良い例のようだ。そもそも戦争という場を作ってはいけない。
    だから、何が何でも現在の首相の思い通りにさせてはいけない。日本人は戦争放棄だ。他の国に何を言われて良いではないか。今までたどってきた間違いを何の教訓にもできないようでは日本はおしまいだ。

    人は極限に置かれれば何でもする。それを強く思った。

  • 緒方一家の不幸の全ては、松永との出会いから始まった。
    松永の支配下に置かれた人たちの行動に疑問は尽きないが、ナチスのカポーを例に挙げられると、マインドコントロールの恐ろしさの尾を掴むことができる。
    最初に殺害された男性の娘が二度目の脱走に成功しなければ、完全犯罪に成り得たと思うとぞっとする。
    どのように松永の人格形成がなされたのかが明らかにならないことが、残念。
    図書館借り出し。


  • 2017.6.3
    胸糞が悪くなるような殺人事件のノンフィクションを読むのがたまらなく好きなのですが、さすがの私も読んでて気分が悪くなり、何回も気分転換しながらじゃないと読み終えられませんでした。
    あまりに凄惨すぎて報道規制されたというのも納得。
    そんきょのポーズは完全にトラウマです。
    金を巻き上げられ、汚物を食べさせられ、通電され、家族で殺し合いをさせられてもなお松永に従い、逆らいもしない被害者の姿にも戦慄を覚えます。マインドコントロール怖い。怖すぎる。
    少女が逃げ出すことに成功しなければ、この犯罪が完全犯罪になっていた可能性が高いことが何より恐ろしいです。
    今までで知った中で間違いなく一番胸糞の悪い事件です。
    いったい松永のマインドコントロール術とは…想像もつきません。
    もし、松永のような人物が自分の近くに現れでもしたら…どうしたらいいのでしょうか?逃げられる気がしません…。

  • 凄まじい本だ。一気に読了してしまったが、途中に何度も本を閉じ、吐き気目眩に襲われた。かつてこんな症状が出たのは、野蛮人ヤプーという小説ぐらいであった。しかしヤプーはあくまで小説であり、著者の欧米コンプレックスに苦笑いし、ここまで描ける著者に圧倒されたが途中で読むのをやめてしまった。しかし本書は事件が明るみになってから10年程度しか経過していない、現代の日本で起こった実際の事件である。日本特有の家の恥、という側面が強調されたこれ以上ないぐらいの凄惨な事件である。
    出来ることならこの本を読まない頃に戻りたい、最悪の読後感だ。

  •  図書館より

     北九州で起こった7人の人間が監禁、殺害された事件。残虐さと異常性から、報道規制も行われた事件の深層に迫るノンフィクション。

     愛想よく近づき相手の懐に潜り込むいなや、態度を一変させ通電などの虐待行為と共に、相手の弱みを徹底的に攻め、虐待や殺害、死体遺棄を監禁した人たちにさせることで罪の意識を植えさせ、逆らえないようにする、その手口の悪質さ、残虐さに寒気がします。

     虐待、あるいは拷問の著述はかなり表現を抑えているように思いますが、それでも読み進めるのは辛くなります。大人だけでなく、子どもにも容赦なく加害者の毒牙は伸ばされ、こういうのを読んでいると、神も仏もいないんだな、と思わざるを得ません。

     犯人の裁判での様子も書かれていますが、それもまた異常です。なんでも犯人が証言をすると、その冗談やユーモアで傍聴席から笑いが起こることもあったそうです。そうした話術があったからこそ、こうした犯行も行われたのだと思うとその外面の良さの下に、どんな素顔があったのかと思うと余計に恐ろしいです。

     また裁判で犯人が自分は殺していない、なぜなら彼らは利用価値があったからだ、と述べるところも寒気がしました。例えば「彼は生かしておけば、サラ金で金を借りさせられたから殺す必要はなかった」「彼女なら水商売で金を作れただろうから、殺す必要はなかった」だから自分は殺さない、と言うのですが、
    普通は「仲が良かったから自分が殺すはずはない」と感情面に訴えると思うのですが、犯人はひたすらに金を作れるかどうかを理由としているのです。犯人にとって人は自分に利用価値があるかどうか、でしか見ることができなかったのだろうな、と思いました。この簿面を読んでいて自分は貴志祐介さんの『悪の経典』を思い出しました。

     著者あとがきでも触れられていますが、主犯の男の親族に関しては一切取材拒否ということで、事件の流れや被害者たちの状況はだいぶ分かりやすく書かれているものの、なぜ犯人がこうした犯行を起こすに至ったか、その半生が分からなかったのが残念でした。

     彼は生まれながらの悪だったのか、それともなにかしらの要因があってこうした人格になったのか、それは結局闇の中です。

     数年前に尼崎でも同じような事件が起こりましたが、いつの時代だってこうした人の心理につけこむ殺人鬼はいるということだと思います。

     自分も含めた人間の心理の弱さを理解して、少しでも隙を減らすことでしか、こうした悪には対抗できないのかもしれないです。

  • いろいろひどすぎて、TVでは触れられることがなくなった事件です。
    証言ベースの本ですが、いろいろとほんとうにひどいです。
    自然と他人を洗脳したり従えたりする才能を持っている人間が、それを悪用するとこうなるという結果でしょうか。
    他にも似たような事件はあって、それらはなんだかんだとTVでも取り上げられるんですが、こちらはさっぱり取り上げられないんですよね。
    なんというか、ミステリーやサスペンスを読んでいるような気分でした。
    中身については、胸糞悪くなる内容が多々ありますので、読んでみようと思った人はご注意を。

  • 2004年5月の一審から2011年12月の最高裁判決の確定まですべての公判を追ったではないにせよ、230ページの本文では情報量が少なすぎるように思えるが、非法曹界人、非心理学界人の自分が事件のあらましを知るには充分だった。 虐待内容など表現は必要最低限に抑えられている。それでも胸が悪くなるので気が弱い人は注意。 本書を読むと主犯松永太の緒方一家惨殺に至る以前の来歴、布団販売や結婚詐欺などについても、知ることになる。 販売詐欺に始まり名家の一家から財産を絞りとって惨殺するまで、一体何をどう学習したのか気にな

  • 2014/3 読了

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