連れ猫

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103006343

作品紹介・あらすじ

二匹の名は、いい孤独・ソリチュードと悪い孤独・ロンリネス。恋人に暴力をふるうDV男、好きでもない男と契約結婚する女、整形して過去を捨てた青年。貰われる先々で二匹は、寂しさで破裂しそうなヒトという生き物を見つめる。ふたつの「孤独」から、生きる真理を問いかける。心揺さぶる、最新長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • 『本屋さんのアンソロジー』で気になった作家さんを追いかけよう!第2弾は
    ドラマの脚本家でもあったという、吉野万理子さん。
    さて、どの本から読もうかな~とわくわく検索したら、なんと最新作が『連れ猫』!
    これはもう、読むしかありません♪

    喜び勇んで読み始めたら、いきなりヒロインの阿沙美は
    モデルルームのような家に釣られて、打算的な同棲を始めるし
    相手の有也は、「俺の孤独は誰にもわからない」とばかりに
    猫たちにソリチュード、ロンリネスなんて命名する自意識過剰のDV男。
    こんな二人に飼われるなんて、なんて気の毒な猫たち!
    このまま読み続けられるかしら。。。と不安がこみ上げたのですが

    猫好きのみなさま、ご安心を!
    第2章から、物語は猫目線に切り替わって、飼い主たちの不毛なやり取りさえも
    猫たちの可愛い会話を通して描かれると、ずいぶん濾過される感じがします。

    「つながったときだけ人は孤独から解放されるんだ」と言う有也の言葉を真に受け
    避妊手術されて、大好きなソリチュードとつながれなくなったことを
    ちょっぴり残念に思っているロンリネス。
    「和ませるのは猫の仕事だからね」というソリチュードの教えも忠実に守った結果
    有也と阿沙美の関係が破綻したとき、なぜか猫嫌いの阿沙美に引き取られ
    離れ離れにされてしまうとは、なんたる運命の皮肉!

    いろんな飼い主の許を転々としながら、猫ならではの波長で交信し続け
    「身体と身体をつなげなくても、つながれるんだ」と知る二匹が愛おしくて。

    猫たちが結んだ不思議な縁のおかげで、どうしようもなかった人間たちが
    自分を見つめ直し、ほんのちょっと成長するのがうれしい物語です。

  • ロンリネスとソリチュード。どちらも「孤独」という意味の名前を持つ二匹の猫を中心に描かれる。現代を生きる孤独で不器用な人間たちの姿に、読んでいて苦しくなる。動物目線というのは、案外心に突き刺さるな。

  • 同居人の顔色を伺いながらビクビクして毎日張り詰めた状態で
    暮らしていくなんて神経おかしくなっちゃう。
    孤独より、そっちの精神的苦痛の方が私はイヤだと思いました。

    DV・幼児虐待は人間として許せない。
    そんなヤツは誰かと一緒に暮らすなんて考えちゃいけない。
    ず〜っと孤独でいればいい。有也に対して嫌悪感バリバリっ!
    出て行く亜沙美に猫の片方を押しつける有也の理由もいまいち
    理解できなかった。仲がよかった二匹の猫ちゃんは人間の
    身勝手さで10年も離れ離れにされに…。本当に腹立たしかった。

    権輔も何だか冷たい人だなぁと感じました。
    それなのに最後の方は有也や権輔、いい人っぽく描かれてる
    気がするのが、ちょっと納得できないような…。

    私は猫のかわいさを飼ってみて初めて知りました。
    猫って人間の言葉を理解してるみたいとか、よく周りを観察
    しているなーと感じることが多いし、お利口です。
    とてもとても手放すことなんてできないです。

  • ネコ☆ネコ☆ファンタジア。

    とかいうタイトルなら納得。
    それが「連れ猫」なんて意味ありげなタイトルがついていて、ついつい読み始めてしまった。


    まず冒頭のシーンで、手が砂糖でベタベタになった描写のところから、だから何なのっと思ってしまい、完全にネガティブモードに入ってしまった。そこから虐待と何の魅力もない女性の話、しまいには猫語りが始まった…!

    猫語りなんだけど、テレビを見たとかで人間社会のことをよく知っているから、猫目線というのも何か違うし…何を表現したかったんだろうか…。


    猫好きからしたら、人間の都合でころころ移動させられ、傷つく猫に大変心が痛む。他の猫とテレパシーを使っていて、しかも不妊治療後にエッチしてみたかった、なんて話していると思うとホラーだし、申し訳なさで辛い。

    大人が読むには、猫同士の会話は寒い。ソリチュードとロンリネスという、絶望的なネーミングセンス(有也くんが悪いのよね?)。結末はもやもやする。自分勝手な仮面夫婦が、いい関係っぽく離婚?豚丼屋のオーダーで、昔飼っていた猫を採用するデザイナー?猫が幽霊生活スタートして、生きている猫とまだテレパシー?

    子どもが読むには、未来に希望がなさすぎる。


    つまらんことを長々書いてしまう、自分との同族嫌悪かも。
    偉そうにすみません。個人の感想です。

  • 登場する主要な人物達が皆、浅慮だったり身勝手だったり頑なだったりと、神経を逆撫でさせられるような読み心地でありました。救いはソリチュード・ロンリネス、2匹の猫達が何とかそれなりに自分の居場所を見つけられた事でしょうか。最後は登場人物たちが大団円に納めようと急に“いいひと”っぽく変ってしまったのが、人生経験を積んで丸くなったと言えばそれまでだけど、どうも…。

  • 男が酷過ぎて亜紗美が何故一緒になるのか理解できず…
    亜紗美がソリとロンリーを会わせてあげようと思った理由も分かりづらいかな。

  • 二匹の感動の再会があっさり描かれていて良い。

  • いいお話・・・だけど
    ちょっと無理があって
    でもハッピーエンドでよかった

  • 連れ猫
    題名と装填から 勝手にほんわかした話かと思っていた。
    読みはじめてすぐ
    えっ
    社会派な作品だなぁ
    ところが また違って 二匹の猫を主人公にした
    人の暖かさ 怖さを表した 面白い1冊でした。

  • DV男とか吉野先生にしては、痛々しい人間の内面が多かったかな。
    あと人間の目線と猫目線で交互に話が進むのがね、新鮮でしたね。最近はこういうの読んでなかったなあ。
    あとわりとスピリチュアルなオチというか・・・猫だからかなあ、霊的な展開は・・・。

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著者プロフィール

神奈川県出身。2005年『秋の大三角』で新潮エンターテインメント新人賞を受賞。『劇団6年2組』で第29回うつのみやこども賞受賞。作品に、『チームふたり』からはじまる「チーム」シリーズなど多数。

「2014年 『新装版 チームシリーズ 全6巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

吉野万理子の作品

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